不動産エクイティ証券／デット証券 パフォーマンス・インディケーター（2021年3月末基準）

要約

上場不動産証券は、平均すると推定正味価値（NAV）に対してわずかにプレミアムで取引を終了しました。 

米国のREITはプレミアムで取引されていますが、欧州地域では長期平均に比べて大幅なディスカウント水準で取引されています。

2021年の利益成長はプラス成長が見込まており、構造的な成長機会を有するREITに、シクリカルな回復と経済の再開による成長の恩恵を受ける可能性のあるREITが加わったため、加速しています。 

米国REIT優先証券やCMBSなどの不動産債券のスプレッドは、上期のより厳しい状況を受けて引き続き縮小しています。 世界的な低金利環境下では、不動産の資本構造全体のインカム水準が魅力的に見えると考えています^¹。

1. 出所：コンセンサス・データに基づくインベスコ・リアル・エステートの推測

平均すると、上場不動産企業の株価は推定正味資産価（NAV）で取引されていますが、アジア市場全般が大幅なディスカウントとなっていることが注目されます。

不動産の投資利回りは、10年国債にプラスの利回りスプレッドを上乗せした水準となっています。

今後12ヶ月の賃料成長率見通しは、物件タイプと市場の組み合わせレベルで幅広いばらつきを示しています。物流施設と構造変化関連セクター（データセンターやインフラなど）は、その他の困難な市場環境において回復力を示し続けています。

米国REITの配当とファンド・フロム・オペレーション（FFO）の成長は、堅調な景気拡大と緩和的な金融政策を背景に加速しました。

米国REITの株価は、推定NAVと比較して13%のプレミアムとなっています。長期的には、平均すると小幅なプレミアムで取引されています。

ネットリース、データセンター、産業施設などの構造的に良好な事業環境にあるセクターでは、推定NAVに対して大幅なプレミアムで取引されています。オフィス・セクターでは、推定NAVに対して大幅なディスカウントで取引されています。

米国不動産証券は、利益対比バリュエーションでは一般株式より7%のディスカウント水準で取引されています。2006年以来の平均バリュエーション水準は1%のディスカウントです。

REIT企業はシクリカルな回復と経済の再開の恩恵を受けると予想されており、2021年の利益成長見通しはプラスで推移しています。

欧州地域では株価は現在平均すると純資産価値に対して一桁台後半のディスカウント水準で取引されています。 英国の株価はバリュエーションは推定NAVに沿って取引されていますが、欧州大陸の株価は推定NAVに対して著しく大幅なディスカウント水準で取引されています。

欧州では、利益対比バリュエーションで不動産証券は一般株式市場を上回る水準で取引されています。

アジア太平洋地域のほとんどの国では新型コロナウィル禍（COVID-19）が落ち着いた状況にあり、経済活動が回復し続けているため、当地域全体で利益成長が加速しています。

アジア太平洋地域では、株価は推定NAVに対して9%のディスカウント水準で取引されており、長期平均に沿ったものとなっています。

アジア太平洋地域では、利益対比バリュエーションで不動産証券は一般株式と概ね同程度で取引されています。

2021年初来では、REIT投資適格社債がCMBS「BBB」格を下回っています。

2021年1-3月期を通じて、CMBS「BBB」格のスプレッドは引き続き縮小しました。

CMBS全般の債務返済遅延発生率は、ホテルと小売施設セクターを中心に高まった状況が続きました。

米国REIT優先証券のスプレッドは2020年1-3月期以降引き続き縮小しています。

C2021-05-571