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一生日本に住む人に海外投資は必要ない?

世界の株価指数の本質はどれも同じなの?

金融資産の投資先を生活の基盤という観点から考えてみる

人生100年時代における資産形成を考えるうえで、海外の資産に投資する必要があるの?と考える方がいらっしゃるかもしれません。 今回は、前回に続き海外投資に関わる話として、以下のマインド・シフトを紹介したいと思います。

今までのマインド:生活の基盤と、金融資産の投資先を一致させる

新しいマインド:生活の基盤と、金融資産の投資先を分ける

海外投資について、「私は一生、日本に住み続けるので外貨預金や海外への投資は必要ない」という声をよく聞きます。日本は、治安、おもてなし、健康・長寿、文化、インフラなどの点で、世界に比較して大変素晴らしい国です。他国では移住を望む方が多くいますが、日本では自国で生活の基盤を築きたいと思っている方が多いのではないかと感じます。そして、「自分の生活の基盤と金融資産の投資先を一致させる」という考えは、とてもシンプルで分かりやすいといえます。

例えば、米国人の多くは生涯を自国で暮らし、米国株と米国債という自国の金融資産への投資で人生を送ることが一般的です(加えて金(ゴールド)も人気がある資産です)。

金融資産の投資先を生活の基盤という観点から考えてみる

かつてのヨーロッパ貴族や昭和の日本を振り返る

前述の米国の例と異なり、かつてのヨーロッパ貴族は、子供の教育や一族の資産を自国外へも分散させていました。ロスチャイルド家の話などが有名ですが、これは自国が戦争に負けるなどにより財産を失ってしまう可能性へ備えるための行動でした。

そして、現代のヨーロッパや新興国の人々は、かつてのヨーロッパ貴族の知恵を参考にしているようにみえます。自国の経済が不安定な新興国では、米ドルやユーロなどの世界の主要通貨で資産形成を組み立てるのが一般的です。また、ヨーロッパでは、既に地域通貨のユーロが生活通貨になっており、普通に銀行預金をするだけで複数国へ外国預金をしている環境となっています。これらは先ほどの考えとは正反対であり、自分の生活の基盤がある場所と、金融資産の投資先を同じにしないという考え方です。

それぞれ一理あるように思えますが、どちらが正しいのでしょうか?その答えは「自国の経済環境と時代によって正解は異なる」と考えます。

過去の日本の例で考えてみましょう。昭和の日本経済は世界と比べより高い成長を遂げ、株や土地の価格も大きく上昇しました。また為替も、1米ドル360円から200円、100円と強くなリました。その結果、日本人の給料や円資産は、世界基準(米ドルなど)で飛躍的に上昇することになりました。かつての日本人の豊かさは、海外旅行、ドイツ車やフランス製革製品の購入などに現れていたと思います。このような時代において、生活基盤と金融資産の投資先を揃えるのは大正解の選択だったと言えます。

一方、平成の時代では、日本と世界の経済成長率は逆転し、日本人の給料の伸び率が世界に大きく見劣りする30年が続きました。為替は平成の始まりと終わりで1米ドル100円前半とほぼ横ばいの水準にとどまったものの、日本人の世界基準でみた豊かさは少しずつ低下したと考えています。また、この期間の日本資産の利回りも、海外と比較して大きく見劣りしました。例えば、平成時代の日本株式(TOPIX)がほぼ横ばいのなか、同期間の世界株式指数(MSCI World Index)は約6倍に上昇しています

1 出所:ブルームバーグ。1989年1月~2019年4月の世界株(MSCI World 指数、円換算ペース)

各国の実質賃金の推移

令和の時代にどのようなマインド・セットを持つべきか

さて、私たちは、令和の時代を生きるにあたって、昭和の日本人、現在の米国人、もしくはかつてのヨーロッパ貴族、どちらのマインド・セットを持って人生を過ごすべきでしょうか?結局、「自国の長期の経済成長を、世界より高く見込めるのか?」が、この選択のポイントになると考えます。

日本が世界より高成長であった昭和は30年以上も昔の話であり、平成の実績や今後の少子高齢化の流れを考える限り、昭和のマインド・セットを令和にそのまま持ち込むのは正しくないでしょう。そして、現在の米国は生活基盤と投資先を一致させるという合理性がある数少ない先進国であり、現在の日本が模範とする事例ではないと考えています。

人生100年時代、私たちが令和の時代を生きるにあたっては、世界の多数の人々と同じく、「生活の基盤と金融資産の投資先を分ける」という新しいマインド・セットが求められると考えます。時代に沿った投資のマインド・セットをもち、皆で幸せな人生100年時代を歩んでいきましょう。

 

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