記事

よく働く日本人。どうしてもっと豊かになれないの?

よく働く日本人。どうしてもっと豊かになれないの?

世の中を豊かにする社会参加について考える

今回も、人生100年時代の資産形成における「お金のマインド・シフト」を学んでいきましょう。前回は、私たちがお金の投資という社会参加を行い、それによる収入を長期で得ることは、社会全体にとって好ましいことだという考えをご紹介いたしました。それは「働かずしてお金を得る(不労所得)」という後ろめたいものではなく、選挙やボランティア活動などと同様に、豊かな社会にとって大事なものです。今回は、前回に続き「働く」という切り口を踏まえて、以下のマインド・シフトをご紹介いたします。

今までのマインド:
世の中を豊かにする社会参加には、一つの正解がある
新しいマインド:
世の中を豊かにする社会参加の正解は、時代によって大きく異なる

「働くことによる社会参加」と、「お金を使うことによる社会参加」は、いつの時代でも大切です。ただし、時代(特に経済の発展ステージ)によって、社会を豊かにしていくために求められる社会参加の姿は大きく異なります。

まず、「働くことによる社会参加」から考えてみましょう。昔、日本が世界に追いつけ追い越せというステージにあった頃は、生活におけるモノやサービスが常に不足している状態にありました(供給<需要)。このような時代は、皆ががむしゃらに長時間働き、モノやサービスをできる限り多く生産し、社会に足りないものを埋めていくことが、社会をより豊かにする近道でした。「24時間働けますか!?」のような言葉が昔流行りましたが、まさにそれが社会のために正しい行動であったと思います。

世の中を豊かにする社会参加について考える

時代により人生と社会を豊かで幸せにする「正解は異なる」

一方で、既に先進国となった社会において、多くの人が長時間働き、供給が過剰な状態が続くとどうなるでしょうか?社会全体でモノやサービスの生産を増やし過ぎることは、農業で例えると、「豊作貧乏」(豊作のため農作物の価格が下落し、農家の収入が減ってしまうこと)の状態を作ってしまいます(需要<供給)。つまり、社会全体が働きすぎの状態が続くと、企業間の過当競争が生み出され、物価が下がり、さらには多くの人の給料が下がり、最終的には社会の豊かさが失われてしまうことにもなりかねません。

少子高齢化や人口減少が進めば、なおさらのことです。現代の日本における私たちの「生き方」において重要さを増していることは、これまで仕事だけに費やしていた時間を、生涯学習、レジャー、趣味を兼ねた副業などへ振り向け、日常の仕事とは離れた人達と交流を持つことだと考えます。なぜなら、その新しい時間から得られた知恵こそが、先進国になった社会をさらに豊かで幸せにする源泉となるからです。

つまり、時代、特に経済の発展のステージによって、人生と社会を豊かで幸せにする「正解は異なる」ということです。ある時代に正しいこととされてきた行動は、次の時代ではむしろ間違いになりうるとも言えます。

それは、貯蓄、投資などの「お金を使うことによる社会参加」についても同じです。昔の日本では、倹約の意識を持ち、少しでも多くのお金を貯蓄することが美徳とされました。そして、国が国債などを通じてそのお金を使い、学校、道路や病院などの社会インフラの整備を主導することが、社会を豊かにする正しい道筋でした。その後は、その貯金を民間銀行が企業の融資に活用し、企業が世界で戦えるように支えていくことが、世界の一流国に名を連ねるための効率的な方法でした。

つまり、過去の時代は、日本人の「貯蓄」という行動が、意識せずとも、世の中を豊かにするために正しい役割を果たしていたということです。ただし、先ほどの「働き方」で見た「過剰な労働」と同じように、すでに先進国となった国での「過剰な貯蓄」は、世の中を豊かにしません。現在の貯金の利回りが非常に低い水準に留まっている事も、貯金が社会の豊かさをこれ以上増やすことが難しいことを証明しているといえるのです。

 

時代に合った正しい投資は、豊かな社会と幸せな人生につながる

先進国となった社会を豊かにする「お金を使うことによる社会参加」とはいったい何でしょうか?それは①社会を豊かにする新しい技術やアイデアをもった人を「長期」で応援すること、そしてA選挙を通じて政治家を選ぶのと同様、経済において力を持っている人(例えば大企業の経営者など)を社会全体で正しくモニタリングしていくことです。すなわち、貯蓄ではなく投資、特に株式に投資する投資信託や個別株等を保有することにより株式市場に参加することが、社会をより豊かにしていくために大変重要であると考えます。

株式投資のような「長期」の応援・モニタリングという意味合いを持った「正しい投資」は、既に豊かになった社会を、さらに豊かにしていきます。社会が豊かになれば、多くの方の給料が上昇し、生活にゆとりがでます。そして、私たちが投資したことでより豊かになった社会の一部は、投資先の金融商品から得られる利益として投資した人に戻ってきます。投資から得られる利益が大きくなることは、より豊かな人生100年時代を送るための大きな助けになるはずです。よって、時代に合った正しい投資は、豊かな社会と幸せな人生につながっていくのです。

また、当シリーズの過去のレポート(Vol.2~Vol.6)でも触れましたが、日本を豊かにするため、日本だけに投資を行うというのは、正しいようで間違いです。日本と日本人が豊かであり続けるためには、いつの時代も世界と共に歩みを進める必要があることも忘れてはなりません。

いつの時代も、「働く&お金」にかかる2つの社会参加は重要です。ただし、何が重要なのかに関する正解は、時代と共に変わっていくものであるため、私たちは常にその意味合いを考える必要があるでしょう。人生100年時代、これからも人生と社会を豊かにするための、新しいお金との付き合い方を学んでいきましょう。

 

ご注意事項

  • 当資料は情報提供を目的として作成してインベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」といいます。)が作成した資料であり、弊社が特定商品の勧誘を行うものではありません。

    当資料の中で記載されている内容は当資料作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。

    当資料に記載された一般的な資産運用に関する情報及びそれらの見解や予測は、資料作成時点における見解であり、いかなる金融商品への投資の助言や推奨の提供を意図するものでもなく、また将来の動向を保証あるいは示唆するものでもありません。

    また、当資料に示す見解は、インベスコの他の運用チームの見解と異なる場合があります。本文で詳述した本書の分析は、一定の過程に基づくものであり、その結果の確実性を表明するものではありません。分析の際の過程は変更されることもあり、それに伴い当初の分析の結果と重要な差異が生じる可能性もあります。

    当資料について弊社の事前の許可なく複製、引用、転載、転送を行うことを禁じます。

投資信託について

    • 投資信託は、国内外の株式や公社債、コモディティなどの値動きのある先物取引や有価証券等を投資対象とし、元本が保証されているものではなく、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動などにより、基準価額が下落し、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。投資信託財産に生じた利益および損失はすべて受益者に帰属します。また、投資信託は預貯金とは異なります。
  • <主なリスク>
    ①株価の変動リスク、②公社債にかかるリスク、③コモディティの価格変動リスク、④信用リスク、⑤デフォルト・リスク、 ⑥流動性リスク、⑦カントリー・リスク、⑧為替変動リスク、⑨中小型株式への投資リスク、⑩デリバティブ(金融派生商品)に関するリスク、⑪不動産投資信託証券の価格変動リスク、 ⑫バンクローンにかかるリスク、その他の留意点などがあります。

    • 投資信託は、個別の投資信託ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国などが異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面をよくご覧ください。
    • 投資信託は預金や保険契約と異なり、預金保険機構または保険契約者保護機構の保護の対象ではありません また、登録金融機関は投資者保護基金には加入しておりません。
    • 分配金の支払いおよびその金額は、収益分配方針に基づき委託会社が判断します。そのため、分配金は支払われない場合があり、あらかじめ一定の額の分配金のお支払いを保証するものではありません。
    • ファンドのお取引に関しては、金融商品取引法第37条の6の規定(いわゆるクーリングオフ)の適用はありません。
    • ご投資に当たっては、お客さまに以下の費用をご負担いただきます。

      ・購入時手数料 ・・・・・・・・上限 3.85%(税抜3.5%)
      ・運用管理費用 ・・・・・・・・上限 2.123%(税抜1.93% )
      ・信託財産留保額 ・・・・・・上限 0.3%
      ・その他の手数料等 ・・・・・ 上記費用の他に、保有期間などに応じてご負担いただく費用があります。
      投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。
      当該費用の合計額については、投資者の皆様がファンドを保有される期間等に応じて異なりますので、表示することができません。

      記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、インベスコ・アセット・マネジメントが運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しています。投資信託に係るリスクや費用は、それぞれの投資信託によって異なりますので、ご投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面を販売会社よりあらかじめまたは同時にお渡ししますので、必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。運用による損益はすべて受益者の皆様に帰属します。

      お申し込みの際は、必ず各ファンドの「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧ください。