2022年の投資見通し:今後の道筋を評価する
〔要旨〕
2020年と2021年には、大規模な金融政策と財政政策が実施された:2022年は政治動向と経済活動の正常化が進む移行の年になる見込み
インフレは2022年の経済と市場環境を左右するだろう:継続的なサプライチェーンの混乱と需要の急増は、多くの経済圏でインフレを高止まりさせると懸念される
2022年の3つのシナリオ:基本シナリオでは2022年の世界の経済成長は正常化し、長期トレンドを上回る状況が続くものの、持続可能なペースに落ち着くと予想。また、一時的および持続的なインフレリスクのシナリオと、それぞれの投資への影響についても考察する
2022年に向けて
2022年は、引き続きインフレ動向が経済や市場環境を左右するカギになる見込み
基本シナリオ
2022年に経済成長は正常化が進み、2022年半ばにはインフレがピークに達すると想定。資産クラスでは、ディフェンシブ株を中心とした株式、オルタナティブ資産(不動産)、コモディティを選好
一時的なインフレリスクのシナリオ
経済成長率は想定よりも高くなり、インフレ率はより早く低下すると見込む。
持続的なインフレリスクのシナリオ
インフレの上昇が続き、FRBはよりタカ派になると想定
今後の道筋について
オミクロン変異株の出現やFRBによるテーパリング加速の可能性などはあるものの、2022年についての楽観的な見通しを維持
2022年の見通しについて、「基本シナリオ」のほか、「一時的なインフレリスク」と「持続的なインフレリスク」という2つのテールリスクについて考察する
2022年のインベスコの投資見通しを公表する時期がやってきました。同見通しでは、例年通り、当社の多くの投資専門家やソートリーダーチームの見解が反映されています。私たちは、可能性が非常に高いと考える基本シナリオを策定し、潜在的な投資への影響を考察しました。それ以外に、可能性が低いと考える2つのテールリスク・シナリオを用意しました。これらのテールリスク・シナリオについても検討することが重要と考えており、その潜在的な投資への影響についても調査しています。
2022年に向けて
2022年は、引き続きインフレ動向が経済や市場環境を左右するカギになる見込み
2020年と2021年には、大規模な金融政策と財政政策が実施されました。2022年は、政策と経済の正常化が進む一年になると見込まれています。一方で、サプライチェーンの混乱が続き、多くの経済圏でインフレの高止まりの脅威となる需要の急増など、経済および市場環境を左右する可能性のある問題は解決していません。2022年の市場見通しについて、私たちは、インフレや、それに市場や政策立案者がどのように反応するかという点に焦点を当てています。
基本シナリオ
基本シナリオでは、2022年に経済の正常化が進み、2022年半ばにはインフレがピークに達すると想定。資産クラスでは、ディフェンシブ株を中心とした株式、オルタナティブ資産(不動産)、コモディティを選好
世界経済の成長は正常化する、すなわち、長期トレンドを上回るものの、財政刺激策が徐々に終了するにつれて、より持続可能なペースに減速すると予想されます。インフレは2022年半ばにピークに達し、その後は、サプライチェーンの問題が解決し、ワクチン接種の水準が上昇し、より多くの人々が職場復帰する中、インフレ率は2023年末までに目標水準に低下すると予想されます。他の先進国の中央銀行はより迅速に行動する可能性がありますが、米連邦準備理事会(FRB)は「忍耐強く」金融緩和姿勢を維持し、2022年後半に利上げを開始するとの予想を維持しています。金融市場では、経済成長の鈍化と金融政策の段階的な引き締めを織り込むことで、価格の変動性(ボラティリティ)が高まると予想されます。
戦術的資産配分について、私たちの基本シナリオでは、情報技術、コミュニケーション・サービス、ヘルスケア、不動産、生活必需品などのディフェンシブ・セクター株をわずかにオーバーウエイトとし、リスク選好を削減します。また、経済成長への期待の鈍化と長期債利回りの低位安定を考えると、高クオリティ株や、大型株を選好します。また、不動産やプライベート・クレジットなどのオルタナティブ資産やコモディティがアウトパフォームすると予想しています。地域配分では、景気サイクルの違いから、新興国市場(新興国通貨を含む)を選好します。また、経済成長のペースが鈍化するとの見通しから、シクリカル銘柄や営業レバレッジが低い地域が選好されるため、米国以外の先進国市場よりも米国株式を選好します。
一時的なインフレリスクのシナリオ
一時的なインフレリスクのシナリオでは、経済成長率は想定よりも高くなり、インフレ率はより早く低下すると見込む
一時的なインフレリスクのシナリオでは、現在、インフレに対する懸念は過剰な反応であり、インフレ率は現在の水準から徐々に2%あるいはそれ以下に近づいていくと予想しています。このシナリオでは、経済成長率は通常よりも高く、経済が現在判断している景気サイクルよりも進んだ段階にあると考えます。戦略的資産配分では、資産クラスでは株式(資本財・サービス、素材、エネルギー、金融など)やハイイールド債、投資適格社債を、地域では米国(米ドルを含む)と先進国市場(米国を除く)を選好します。
持続的なインフレリスクのシナリオ
持続的なインフレリスクのシナリオでは、インフレの上昇が続き、FRBはよりタカ派になると想定
持続的なインフレリスクのシナリオでは、先進国の中央銀行による「インフレは一時的」とのメッセージを市場が信じることができず、2022年にインフレ率がさらに上昇すると予想しています。持続的なインフレの加速は、マネーの拡大による需要の押し上げと供給サイドの混乱の両方によると考えられています。これにより、インフレ期待はアンカーされなくなり(安定的に維持されなくなり)、中期のインフレ期待は4%を超える水準が続きます。その結果、中央銀行は、現在の景気サイクルを終わらせる重大なリスクをもたらす行動を取る可能性があり、先進国の中央銀行に対する信認が低下する恐れがあります。戦略的資産配分では、資産クラスでは金、先進国ソブリン債(米国を除く、為替ヘッジ付き)やインフレ連動債がアウトパフォームすると予想しています。株式ではディフェンシブ株、コミュニケーション・サービス、大型株、高クオリティ株を、地域ではオーストラリア、カナダ、日本を選好します。
今後の道筋について
オミクロン変異株の出現やFRBによるテーパリング加速の可能性などはあるものの、2022年についての楽観的な見通しを維持
私たちの2022年の投資見通しは、新型コロナウイルスの変異ウイルスであるオミクロン株が出現し、米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(量的金融緩和の縮小)のスケジュールが早まる可能性が示される前に策定されました。現在のところは、これらのイベントが私たちの見通しを大きく変化させるものとは見なしていません。確かに、FRBのテーパリングの加速の可能性は重要なイベントであり、オミクロン株は不確実性をもたらしますが、経済活動の遮断など、厳しい環境下にあるわけではありません。また、オミクロン株は観光業や一部のサービス業の回復を遅らせる可能性がありますが、ウイルスを厳しく管理した初期のパンデミック対策が再び実施されるとは予想していません。新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)下で繰り返し述べていますが、リスクは高まってはいるものの、私たちは楽観的な見通しを維持する考えです。
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