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オルタナティブ資産の投資機会

オルタナティブ資産の投資機会

2021年第3四半期 オルタナティブ資産の投資機会: プライベート市場の見通し

はじめに

『オルタナティブ資産の投資機会 2021年第3四半期号』では、インベスコ・インベストメント・ソリューションと提携マネジャーによる様々なプライベート市場の資産クラスに関する見解を紹介いたします。COVID-19およびその変異株は、2021年前半に引き続き、公衆衛生と政策の両面で大きな課題となっています。こうした懸念を抱えながらも、当社の運用チームでは不確実性の中でお客様のために成果重視のポートフォリオを設計し続けています。
以下のセクションでは、オルタナティブ市場における専門知識と広範なデータを活用して、オルタナティブ市場全体および内部を分析するフレームワークを紹介します。私たちの投資プロセスの透明性が、お客様の投資判断の一助となることを願って、このレポートを半年ごとに更新していきます。
下の図は、プライベートマーケットに対する弊社の最新のタクティカルな見解をお示したものです。成長の鈍化、バリュエーションの上昇、インフレの進行、スプレッドの縮小といった環境ではあるものの、全体としては楽観的であり、プライベートマーケットの中でも相対的にリスクの高い戦略にもまだ機会があると考えています。

オルタナティブ資産におけるタクティカルな資産配分
Source: Invesco Investment Solutions, current views as of March 31, 2021. For illustrative purposes only. Past performance is not a guarantee of future results. There can be no assurance that any estimated returns or projections can be realized, that forward-looking statements will materialize or that actual returns or results will not be materially lower than those presented. An investment cannot be made into an index. Refer to Proxy information slide for additional information.
詳細なレポート内容については、PDFをダウンロードいただくか、このままWEBページで下までお読み頂き、ご確認ください。

1 プライベートクレジット

プライベートクレジット: まとめ – IISの見解は「Attractive」


弊社のオルタナティブ投資のフレームワークを用いると、プライベートクレジットは、シニアおよびセカンドリーンのダイレクトレンディング、ディストレストデットなど、すべての戦略において「Attractive」との見解。

・プライベートクレジットに対するIISが推計した長期の期待リターン(CMA)は過去の実績やパブリック市場のCMAよりも高い水準になると予想。

・バリュエーション、ファンダメンタルズ、レジームといった当社のプロセスのすべての要素が「Attractive」であることを示唆。

10年の実績リターンと長期の期待リターン(CMA)

1a ダイレクトレンディング

2021年第3四半期 オルタナティブ資産の見通し: ダイレクトレンディング

ダイレクトレンディングの見通し


パンデミック後の数か月間はダイレクトレンディングのアクティビティは停滞していましたが、第4四半期にはアクティビティが加速し、2021年にもその動きが継続しています。機敏な貸し手は市場の一時的な混乱を利用して、特に有利な条件で新規ローンを組成することができましたが、年末には市場は再び貸し手が競合する環境に戻りました。

当社は、今後もダイレクトレンディングに期待しています。クレジットスプレッドやレバレッジなど、多くの一般的な指標はクレジット市場の急激な混乱により歪んでいましたが、現在はCOVID-19以前のレベルに戻りつつあります。流動性プレミアムは依然として高く、プライベート市場のローンには債権者に有利なコベナンツが存在するため、パブリック市場のローンと比較して相対的にダイレクトレンディングの魅力が高まっています。さらに、需要と供給のバランスが引き続きダイレクトレンディングに有利に働いています。記録的な水準のプライベート・エクイティのドライパウダー、堅調なM&A環境、そして世界金融危機(GFC)後の銀行によるミドルマーケット企業向け融資の継続的な縮小の組み合わせは、ダイレクトレンディングに有利な資金需要をもたらし、その結果、ハイイールドやシンジケート・レバレッジド・ローン市場と比較しても魅力的なスプレッドを継続的に実現することができると考えています。

弊社のオルタナティブ投資のフレームワークでは、バリュエーションは適正水準の範囲内にあり、ファンダメンタルズは各地域で健全、弊社独自のレジーム分析でも「低位/安定リスク」にあることを示唆していることから、ダイレクトレンディングを「Attractive」と評価しています。短期的にはインフレと金利の上昇が予想されていますが、ダイレクトレンディングの低いデュレーションは、このような潜在的なリスクに対するヘッジを提供し、インカムを求める投資家に難しい投資環境下で有効な手段を提供しています。

ダイレクトレンディング: オルタナティブ・レイティング・スコアカード

ダイレクト・レンディングに関する当社の見解を要約するために、主要な指標を3つのグループに整理しました。

バリュエーションは魅力的で、パブリック市場に対して大きなプレミアムを提供しており、セカンドリーン(第二順位担保権付)のヒストリカルリターンと比較して高い期待リターンを提供している。

レバレッジは米国では上昇しているが、ファンダメンタルズは引き続き魅力的である。

レジームの位置づけが「低位/安定リスク」に戻ったことで、パブリック市場のベンチマークに対して高いリターンが期待できる。

ダイレクトレンディング:Attractive
シニアのダイレクトレンディングはパブリック市場と比較して「Very Attractive」の評価

投資家は、選択肢の観点からシンジケート・ローン(バンクローン、レバレッジローン)とシニア・ダイレクトレンディングを比較することがよくあります。そのためパブリック市場のベンチマークに対する超過スプレッドは、重要な評価指標となります。

・シニア・ダイレクトレンディングのスプレッドは約5.4%と非常に魅力的な水準。

・このスプレッドは、今回のサイクルでは平均で5%前後。

・シンジケート・ローンの期待リターンが2018年後半の直近のピークを脱したことで、シニアのダイレクトレンディングのプライベートのクレジット・プレミアムは正常化し始めている。

プライベート市場の超過クレジットスプレッド (シニア・ダイレクトレンディング vs. シンジケート・ローン)
セカンドリーンのスプレッドはパブリック市場は2020年第1四半期以来顕著に縮小しているが、依然として魅力的な水準

多くの場合、セカンドリーン(第二順位担保権付) のダイレクトレンディングは、よりリスクの高いハイイールド債のスプレッドと比較されます。

・全体的に見て、両者のスプレッドは8.1%と魅力的な水準。

・プレミアムの水準は高く、依然平均を上回る。

・パブリック市場のハイイールド債は、コロナ危機の後、2020年後半かけて回復し始め、利回りが低下。

プライベート市場の超過クレジットスプレッド (セカンドリーン・ダイレクトレンディング vs. ハイイールド債)
長期の期待リターンはわずかながら過去の平均を下回っている

弊社のフレームワークにおいて、シニアおよびセカンドリーンのダイレクトレンディングの長期の期待リターン(CMA, Capital Market Assumptions)は過去の平均リターンと比較する際の評価指標として使用されています。

・シニア・ダイレクトレンディングのCMAは過去の実績よりも低下しているが、レバレッジを活用することで改善の余地がある。

・セカンドリーン・ダイレクトレンディングは、今後10年間のリターンが過去10年間よりも年率で0.5%低いと予想される。

長期の期待リターン (CMA) vs. 過去10年の平均
米国のプライベートクレジットにおけるレバレッジは依然低水準

企業が資金調達を行う際には、評価倍率が記録され、過去の水準と比較されます。

・米国企業は、過去の平均的な評価水準よりもわずかに高い、Debt/EBITDAで6.0倍程度のバリュエーションで資金調達。

・一方で、資金調達全体では負債よりも株式の方が多くなっており、Very Attractiveな水準。

米国のプライベートクレジットにおけるレバレッジ
欧州のプライベートクレジットはファンダメンタルズは非常に強固な状況

欧州のファンダメンタルズは、米国以上に強固な状況にあります。

・欧州のディールでは、負債による資金調達の倍率が依然として魅力的な水準。

・負債/株式の水準はVery Attractiveであり、この地域の市場におけるバランスシートの強さを示している。

欧州のプライベートクレジットにおけるレバレッジ
ダイレクトレンディングのグローバルの需給バランスは依然良好

ドライパウダーは、プライベート市場におけるマネージャーの選択性を反映しています。さらにファンドは投資機会があればその資金を投入することができます。

・全体的には、大型バイアウトとダイレクトレンディングの両方でキャッシュレベルが上昇している。

・しかし、デットとエクイティのドライパウダーの比率は、2013年以降の平均値に近い。

大型バイアウトとダイレクトレンディングにおけるドライパウダー

2 プライベートエクイティ

プライベートエクイティ: まとめ – IISの見解は「Neutral」

プライベートエクイティ(PE)は、グロース志向の投資家として検討すべき資産であることに変わりはありません。

・バリュエーション面での逆風にもかかわらず、プライベートエクイティは上場株式を比べて大幅なリターン・プレミアムを提供しており、弊社ではプライベートエクイティに対する中立的な見解。

・より大きな株式のリターンを求める投資家は、特に米国内において、より厳しい環境にある上場株式からプライベートエクイティに資金を振り向けることも検討の余地あり。

10年の実績リターンと長期の期待リターン(CMA)

2a 大型バイアウト

2021年第3四半期 オルタナティブ資産の見通し: 大型バイアウト

プライベートエクイティの見通し

長期の期待リターン(CMA)を用いて地平線を見渡せば、株式の投資家が歴史的なレベルの成長を求めて行くべき場所はほとんどありません。プライベートエクイティは、上場市場よりも平均的には卓越したレベルのリターンを提供しており、年率2桁のリターンが歴史的に見ても一般的です。当社は、レバレッジドバイアウト(LBO)市場において、ターゲット企業のバランスシートの負債レベルが上昇していることを注視しており、これは将来のリターンにとって逆風になる可能性があります。

プライベートエクイティ戦略は、2021年後半に入っても、リターンとディール活動の活発さにおいて強い勢いを維持しています。2020年前半は、世界のM&Aと同様にプライベートエクイティのディールの件数も減少しました。これは、進行中の多くのディールが破断または再交渉を余儀なくされ、企業が既存のビジネス・ポートフォリオに集中したためです。上半期に減速した後、下半期には新規案件が加速し、プライベートエクイティ投資会社が市場の混乱によって生じた機会を利用しようとしたため、プライベートエクイティのアクティビティが急増しました。また、プライベートエクイティ投資会社は、パンデミックの影響を受けた企業を補強する目的で、追加投資による既存の投資先企業の改善に注力し、そこでは記録的な水準のドライパウダーを活用が2020年の厳しい状況下で重要な役割を果たしました。また、SPAC(特別買収目的会社)の台頭も見られ、2020年のIPO件数の約50%を占めました。SPACは、プライベート・エクイティの世界で2つの役割を担っています。1つは、プライベートエクイティ投資会社がスポンサーとして資金を調達するための新たな手段であり、もう1つは、ポートフォリオ投資の流動性を確保するための新たな手段です。

パンデミック後の回復には、高騰するバリュエーション、税務・規制環境などのリスクはあるものの、弊社では2021年のプライベート・エクイティの見通しについては強気の姿勢を崩していません。プライベートエクイティ投資会社は、記録的な水準のドライパウダーを活用しようとしているため、ディール活動は高水準で推移すると見ています。パンデミックによる混乱の中で、新たな機会を活用し、既存のポジションを管理することができるプライベートエクイティ投資会社は優位に立つことができるでしょう。最後に、既存のポートフォリオの出口は、SPAC市場の爆発的な成長と強力なIPO市場から恩恵を受けると考えています。

Source: Invesco Investment Solutions, as of March 31, 2021.

大型バイアウト: オルタナティブ・レイティング・スコアカード

最大のPEセグメントの1つである大型バイアウトの見通しは、「Neutral」から「Attractive」なものになっています。

バリュエーションは上場市場に比べて利回りが低下していることから中立。CMAは過去の平均程度だが、企業の負債額が増加しているため、将来的には弊社のレイティングが下がる可能性あり。

ファンダメンタルズはM&A活動に占めるバイアウトの割合が増加していることや、投資機会と比べてドライパウダーが少ないことから、ニュートラル。

レジームの位置づけは「低位/安定リスク」に戻っており、上場株式のベンチマークに比べて高いリターンを示唆。

大型バイアウト:Neutral
米国大型バイアウトに対する弊社のCMAは過去の平均をわずかに下回る

大型バイアウトのCMAは、上場株式と同様の構成要素(イールド、グロース、バリュエーション)に加えてレバレッジ、で構成されており、レバレッジ、改善(improvement)といった追加的な要素を加えています。

・弊社では過去に比べて平均的なPEのリターンを予想。

・過去10年よりも過去を振り返ると、現在のリターンがより魅力的に見える。

・特筆すべきは、PEは過去20年間、2桁以上のIRRを提供しており、その間、上場株式のほぼ3倍のIRRを提供。

長期の期待リターン (CMA) vs. 過去10年の平均
米国の大型バイアウトのディール金額はより広範なM&A市場に対して緩やかに上昇傾向

PEの逆張り的なファンダメンタルズ指標として、ディール活動のペース、特にバイアウトなどの特定のカテゴリーのディール活動の割合が挙げられる。

・米国のM&A活動は、GFC前の時期に比べてまだ低迷しており、市場の過熱懸念は緩和されている。

・M&A全体に占める大型買収の割合は、このサイクルの平均を上回っており、弊社のの手法では「Unattractive」のレイティングを示唆しています。

米国の大型バイアウト vs. M&A活動全体
グローバルの大型バイアウトのディール金額も上昇傾向~主にアジアにおけるディール活動の増加による

2020年のグローバルのM&A案件5,060億ドルのうち、10.6%がバイアウトでした。

・米国はディールフロー全体の中で大きな割合を占めているため、米国での傾向は世界的に広まっています。

・活動水準はGFC後の平均を上回っており、一方でバイアウトの割合は着実に増加しています。

グローバルの大型バイアウト vs. M&A活動全体
米国の大型バイアウトはパブリック市場に対して依然超過利回りを提供する見通し、ただし過去と比べて低水準

フリー・キャッシュ・フロー(FCF)利回りは、企業が生み出すキャッシュの量を価格に対して相対的に示す評価指標です。

・この利回り指標は、過去1年間で上場株式、プライベートエクイティともに低下しており、バリューの投資機会が小さくなっていることを示唆。

・一方で両市場の利回りの間にはスプレッドがあり、現在のところPEのイールドスプレッドは当社の魅力度では「Attractive」の領域。

米国大型バイアウト vs. 上場株式の利回り(FCF利回り)
米国の大型バイアウトの需給のダイナミクスは依然として安定的

企業は通常、中小規模(SMID)の時にバイアウトされるため、PEマネージャーは企業に大きな影響を与え、成長の道筋を変えることができる。

・バイアウトの投資機会の大きさを示すSMID株の時価総額は平均よりも高い。

・時価総額の増加傾向に対し、健全な投資先が現れたときに使用できるドライパウダーの量も増加している。

大型バイアウトのドライパウダー vs. SMID株の時価総額

3 リアルアセット

リアルアセット: まとめ – IISの見解は「Neutral」

実物資産とそのサブアセットである不動産とインフラは、当社のフレームワークではどちらも魅力的です。

・コア不動産のCMAは、REITや自身の過去の水準に若干のプレミアムを提供。

・バリューアッドやオポチュニスティックなど、リスクの範囲をさらに広げると、先行きのリターンは、過去の水準に対して相対的に魅力的なスプレッドを提供。

3a リアルアセット: 不動産とインフラ

2021年第3四半期 オルタナティブ資産の見通し: リアルアセット

リアルアセットの見通し

リアルアセットは、インフレ時にポートフォリオを防衛するのに役立つ数少ない資産クラスの一つであり、これは2021年に世界中で経済活動が再開し始めるときに関連する話題です。また最も必要なときに分散効果をもたらす資産クラスでもあります。このインフレヘッジは、テナントへの賃料の転嫁と、現物資産のインフレによる成長によって達成されます。

2021年の不動産市場は、COVID-19ワクチンの世界展開による信頼感と、世界的な低金利環境の恩恵を受けて、良好な勢いを見せています。グローバルの投資需要は優良不動産資産の供給を上回っており、2021年には過去最高となる3,560億ドルの不動産のドライパウダーが価格を支えています。しかし、パンデミックによって既存の構造的な変化が強調され、2020年にはいくつかのトレンドがプラスにもマイナスにも加速し、その結果、市場やセクター内でパフォーマンスに差が生じています。

また、インフラ市場は、2020年のパンデミックによる逆風の中で比較的堅調に推移した後、2021年に向けて強い勢いを見せています。セクター全体としては良好な結果となりましたが、インフラの中ではかなり大きな差異が見られました。通信インフラは、堅調なデータトラフィックの増加に支えられ、パンデミックの影響を最も受けませんでした。公益事業や、キャッシュフローが規制または契約によって決まるセクターも、他の産業に比べて影響が小さくなりました。規制されていない有料道路や空港を含む旅客輸送分野では、リモートワーク、ロックダウン、旅行制限などにより逆風が吹きました。

今後の見通しとしては、COVID-19の影響を受けていないセクターのバリュエーションはパンデミック前の水準にとどまっている一方で、世界的な貿易や旅客輸送にさらされているセクターは部分的に回復しているものの、相対的にはまだ魅力的なバリュエーションで取引されており、ワクチン接種によって2021年後半に経済活動が再開することになれば、将来のリターンが向上する可能性があります。

Source: Invesco Investment Solutions, as of March 31, 2021.

リアルアセット: オルタナティブ・レイティング・スコアボード

弊社のフレームワークにおけるリアルアセットのすべての構成要素は、現在「Attractive」です。

バリュエーションは、債券に対してスプレッドが大きく、CMAは過去と比べて若干のプレミアムを提供しているため「Attractive」。

ファンダメンタルズはインフラよりも不動産の方がは健全。健全なデットカバレッジと高水準のドライパウダーがあれば、バリュエーションの高さはそれほど気にならない。

レジームの位置付けは「案的」に戻っており、パブリック市場のベンチマークと比較して高いリターンを示唆。

リアルアセット:Attractive
不動産の米国債利回りに対するキャップレート・スプレッドは依然「Attractive」

不動産の利回り(キャップレート)から得られる国債に対するスプレッドは、不動産のバリュエーションを判断するための材料となります。

・現在、キャップレートのスプレッドは過去の平均を上回っており、低水準のバリュエーションと期待収益率の上昇を示唆する範囲にあり。

・2007年のように、このスプレッドが減少すると、今後、潜在的な脆弱性があることを示すシグナルとなる。

利回り/キャップレート・スプレッド(対米10年国債)
不動産の社債に対するキャップレート・スプレッドも依然「Attractive」

社債との比較により、不動産のバリュエーションを決定するスプレッドにおいて信用リスクが考慮され、深刻な不況時以外はゼロ付近で推移する傾向があります。

・最近の不動産市場の低迷を受けて、対Baa社債のスプレッドは大幅に拡大し、2012年以来の新たなサイクルの始まりを示唆。

利回り/キャップレート・スプレッド(対Baa社債)
コア不動産の長期の期待リターンは過去の平均よりもわずかながら上

不動産とインフラのCMAは、利回り、成長、改善、レバレッジという類似の要素で成り立っています。

・過去と比較すると、不動産のリターン見通しはインフラよりも魅力的で、どちらも平均をわずかに上回ると予測。

・両者とも、株式や債券などの伝統的な資産に比べて魅力的なリターンを提供しており、インフレリスクの軽減に役立つ可能性があり。

長期の期待リターン (CMA) vs. 過去10年の平均
インフラ案件のプライシングは依然として安定的

企業価値とEBITDAの倍率を用いたディールのプライシングは、リアルアセットの主要なファンダメンタルズを計測する方法です。マネージャーがディールに対して最終的に支払う金額は、将来のリターンに影響します。

・現在のディールのプライシングは、長期的な平均をわずかに上回っており、「Attractive」のレイティング。

インフラ案件に内包されるEV/EBITDA(中央値)
インフラ資産への需要は増加、ディール金額は減少

インフラ案件の供給は、市場の全体的な健全性と、マネージャーが投資にアクセスする能力を表しています。

・これらの資産に対する需要がプライベート市場で充足されているため、ディール金額は過去最高に近い水準。

・ドライパウダーも増加していますが、その速度はやや遅く、「Neutral」の評価。

インフラのローリング3年の平均ディール金額 vs. ドライパウダー
不動産のLTVは依然過去の平均に近い水準

LTV(Loan to Value)とは、投資家が資金を投入する際にどの程度のレバレッジをかけているかを判断するための指標です。

・現在のLTVは、金融危機後の平均値に近い水準にあり、案件が適正に評価され、資本が投入されていることを意味しており、「Attractive」の評価。

不動産: LTV(4四半期ローリング平均)
不動産セクター全体の高いデットカバレッジレシオは、健全なバランスシートを示唆

デットカバレッジとは、営業利益の中から利息を支払うためのコストを算出し、資産クラス内のストレスを示すものです。

・不動産のバランスシートは、金融危機後も健全性を維持しており、この比率は最高水準に近いため、「Very Attractive」の評価。

不動産: デットカバレッジレシオ (4四半期ローリング平均)
近年、不動産資産では需要が供給を上回る

不動産の需給は現在のところ「Neutral」。

・2020年の案件数は高水準を維持しており、潜在的に投資可能なドライパウダーは平均以上に供給されている。

・この比率は下降傾向にあり、市場に魅力的な案件が少なすぎることを示唆している可能性。

不動産: ローリング3年平均のディール金額 vs. ドライパウダー

4 レジーム分析

IISによるパブリック市場とプライベート市場のフレームワークの対比

プライベートの資産クラスは流動性が低いため、売り/買いシグナルの間の振幅を抑制するために、IISではパブリック市場で使用するモデルよりも安定したレジームのフレームワークを構築しました。

パブリック市場のトレンドラインは、ビジネスサイクルを通じた経済成長に焦点を当てており、一方、プライベート市場のチャートは、ビジネスサイクルを通じたリスクのレベルの変化に焦点を当てています。

パブリック市場のフレームワーク
レジームの定義

各資産クラスの過去のパフォーマンスを、各レジームにおける期待リターンと比較するフレームワークを構築しました。

ほとんどの場合、モデルは、安定したスプレッドと低いボラティリティを示す「低位・安定リスク」のレジームの範囲内にあります。これは、クレジットスプレッドが75パーセンタイル以下の場合に発生し、強気のシグナルとなります。

テイルのレジームはリスクが高いときに使用されますが、我々の見解では、リスクが上昇しているときと下降しているときの転換点を見つけようとしています。

レジームの概要
過去と比較したレジーム別の資産クラスの魅力度ランキング

ランキングの結果は、以下の通り直感的に理解できるものになっています。

・「高位/上昇リスク」の環境では、リターンはその平均値に比べて低迷。

・「低位/安定リスク」の環境では、ほとんどの場合、リターンは平均程度。

・「高位/低下リスク」の環境では、その短い時間軸の中で、サイクルの中で最高のリターンを生み出す。注目すべき例外はCore REで、これはGFCの時の異常値であり、今後の不況でも継続するとは限らないと予想。

過去の平均と比較したパフォーマンスのランキング
パブリック市場とプライベート市場のフレームワークの対比

「低位/安定リスク」の環境下では、各プライベート市場の資産クラスはパブリック市場の比較対象をアウトパフォームしますが、リスクの高いレジーム下ではそうはなりません。

・過去15年間でボラティリティが高位の期間のサンプル数は少ない。

・IISではより極端な環境下での手法をどのように改善できるかを検討中。

同じレジームにおいてパブリック市場との相対パフォーマンスをランキング

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  • 当資料は情報提供を目的として、弊社グループのインベスコ・インベストメント・ソリューション(以下、「作成者」)が作成した英文資料をインベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」)が抄訳し、要旨の追加などを含む編集を行ったものであり、法令に基づく開示書類でも、金融商品取引契約の締結の勧誘資料でもありません。抄訳には正確を期していますが、必ずしも完全性を弊社が保証するものではありません。また、抄訳において、原資料の趣旨を必ずしもすべて反映した内容になっていない場合があります。また、当資料は信頼できる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の確実性あるいは完結性を表明するものではありません。当資料に記載されている内容は既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。当資料には将来の市場の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における作成者の見解であり、将来の動向や成果を保証するものではありません。また、当資料に示す見解は、インベスコの他の運用チームの見解と異なる場合があります。過去のパフォーマンスや動向は将来の収益や成果を保証するものではありません。弊社の事前の承認なく、当資料の一部または全部を使用、複製、転用、配布等することを禁じます。

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