米国バンクローン市場、月次アップデート 2022年12月
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11月のバンクロ-ン市場は、概ね底堅く推移
バンクローンの相対価値に魅力
11月のバンクロ-ン市場は概ね底堅く推移
11月のバンクローン市場は+1.24%のリターン(年初来で-1.04%)となりました1。消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、インフレがピークに達したとの見方が強まったため、リスクセンチメントは9月から改善し続けました。また、FRB高官によるコメントもあって、FRBの今後の政策姿勢に対する懸念が後退しました。月次リターンの内訳は、価格リターンが+0.55%、金利リターンが+0.69%でした。11月のクーポンからのリターンは年率8.27%となり、1月の年率4.04%の倍以上となりました。
11月のローンのリターンは、ハイ・イールド債(+1.96%)、投資適格債(+5.14%)を下回りました2。ローンのB格(+1.50%)は、BB格(+1.21%)とCCC格(-0.29%)を上回りました。ローン市場の平均価格は57ベーシスポイント(bps)上昇し、93.08となりました3。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードLIBORカーブを含めて10.56%のイールドとなります3。

ファンダメンタルズ
インフレ率は予想を下回り、物価上昇率を示すいくつかの指標は以前のピークから低下しました。FRBは、リスクバランスがインフレから成長へと移行し始めたことを受けて、今後の利上げペースを緩やかにすることを示唆しました。一方、第3四半期の収益は予想を概ね上回りました。
新たな債務不履行や倒産がなかったため、11月の12ヶ月累計の額面デフォルト率は0.83%から0.73%に低下しました。一方、80ドル以下で取引されるローンの割合は、11月に7.11%から7.28%にやや上昇しました4。
市場の需給環境
11月は、市場環境が改善する中、4月以降で最も多くの新規供給がありました。需要の状況は、これまでの傾向とほぼ一致しています。
11月の CLO 新規発行量は、22案件で92億ドル(借り換え/条件改定案件なし)の発行となりました。これにより、年初来累計の発行総額は311案件で1,446億ドルとなり、借り換え/条件改定案件を除くと1,228億ドルとなりました3。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、7ヶ月連続で資金流出となりました。11月には13億ドルの資金がこの資産クラスから流出し、年初来累計の資金流出額は61億ドルとなりました3。
11月のローン新規発行は244億ドルとなり、市場環境の好転とともに活発化しました。累計の発行総額は2,359億ドル、純発行額は1,576億ドルで、それぞれ前年比71%、59%減となりました3。
相対価値/市場機会
高い利回りを提供するバンクローン
ローンは年初来、他のクレジット資産をアウトパフォームしていますが、この資産クラスは現在の価格水準でまだ魅力的な価値を提供しています。ローン価格は、経済や企業収益といったファンダメンタルズの大幅な悪化を織り込んでおり、実際、図1に示すように現在7.3%超のインプライド・デフォルト率を示唆しています。ローン価格がいつどこで底を打つかを予測することは不可能ですが、過去の市場混乱期には、最終的に実現したデフォルト率と比べると、市場は何度も過剰に調整してきました。フォワードLIBORカーブを含む3年償還前提の利回り10.56%(前述の8.27%のクーポンを含む)は、ローン投資家のとるクレジット・リスクが十分に報われる水準と考えます。
歴史的に見ると、ローンが現在の93.08ドルに近い価格で取引された場合、フォワード12ヶ月リターンは平均9.5-10.5%でした。これはローンのリターン予測ではなく、市場の混乱期にローンに資金を投下した長期投資家が、これまで典型的に得てきたリターンを示しています。


- Morningstar/LSTAレバレッジド・ローン指数。2022年11月30日現在。
- Morningstar/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。2022年11月30日現在。
投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 - JPモルガン。2022年11月30日現在。
- Pitchbook LCD。2022年11月30日現在。
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