米国バンクローン市場、月次アップデート 2022年5月
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4月は、金利が上昇する中、バンクロ-ン市場は相対的に底堅く推移
地政学リスクでバンクローンの新規発行が抑制される一方で、米国金利の先高観から需要は継続
4月は金利が上昇する中、バンクロ-ン市場は相対的に底堅く推移
4月のバンクローン市場は0.22%のリターンとなりました。デュレーション・リスクを持つ他の資産にとっては波乱の1ヶ月間となるなかで、ローン市場は多くのリスク資産やクレジット市場を大幅にアウトパフォームしました1。金融当局が引き締めに転じて金利見通しの再調整が進み、経済成長に対する不安感が強まる中で、投資家は守りの姿勢に転じました。リスクセンチメントの悪化にもかかわらず、ローンはデュレーション・リスクのある資産からの逃避先として引き続き底堅く推移しました。利上げによってローン利回りが上昇する(図表1)ことに加え、ローンの発行体は十分な資本を有しつつパンデミックを脱しており、金利支払い上昇への潜在的な圧力に耐えることができると思われます(図表2)。このような利回りの上昇と強固なファンダメンタルズの組み合わせによって、年初来の資金流入に見られるように、バンクローンは投資家の間で選好される資産クラスとなっています。
バンクローンの4月のパフォーマンスは、引き続きハイ・イールド債と投資適格社債をアウトパフォーム
4月のバンクローン市場は、ハイ・イールド債券(-3.65%)、投資適格社債(-4.98%)を再び上回りました。年初来でも、ハイ・イールド債券の(-8.00%)、投資適格債の(-12.33%)に対し、0.12%と同様にアウトパフォームしました²。バンクローンの中では、BB格(0.42%)はB格(0.19%)をアウトパフォームし、また、年初来で見られる低格付けの劣後傾向から、BB格とB格はともにCCC格(-0.50%)をアウトパフォームしました。ローン市場の平均価格は0.20ドル低下し、97.45ドルとなりました。現在のバンクローンの平均価格は、市場で織り込まれているフォワードLIBORカーブを前提とすると、7.59%の利回り水準となります3。
ファンダメンタルズ
第1四半期のGDP成長率は-1.4%で予想を下回りましたが、これは貿易と在庫の影響によるものです。これらの影響を除いた国内実質最終売上は年率2.6%の伸びを示しました。ヘッドラインのGDPが低調な数字だったことで、高インフレ、金融引き締め、センチメントの悪化によって成長見通しが損なわれるという見通しが広がりました。
過去4ヶ月間に新たな破産申請や債務不履行がなかったことから、12ヶ月累計の額面ベースのデフォルト率は0.18%にとどまり、過去最低のデフォルト率である0.15%をわずかに上回る水準となりました4。80ドル以下で取引されるローンの割合は、市場全体の変動が激しかったにもかかわらず、わずかな上昇である1.60%にとどまりました4。
市場の需給環境
4月は、ローンに対する需要が堅調である一方、新規発行が控えめであったため、セカンダリー価格が需給面で下支えされました。
CLO発行については、CLOの組成は3月のペースからやや回復し、4月には32案件で164億ドル(借り換え/条件改定案件を除くと144億ドル)の発行となりました3。これにより、累計の発行総額は133案件で667億ドル(前年比54%減)となり、借り換え/条件改定案件を除くと456億ドルとなりました3。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは17ヶ月連続で資金流入となり、4月に41億ドル、同期間に706億ドルの資金流入を記録し、年初来では237億ドルの資金流入となりました3。
4月のローン新規発行はやや活発化しましたが、依然として低調でした。4 月のグロスの新規発行額は269億ドルで、条件改定案件はなく、借り換え案件(104 億ドル)を除いたネットの新規発行額は165億ドルとなりました。4月の新規発行額の99%はSOFR(Secured Overnight Financing Rate)ベースのものでした。年初来のグロスの新規発行額は1,474億ドル、ネットの新規発行高は1,008億ドルと、それぞれ前年比60%、12%減となりました3。
相対価値/市場機会
金利上昇局面におけるバンクローン
図表1に示すように、LIBORがローン契約で設定されたフロア水準を超えたため、ローンのクーポンは上昇し始めており、現在のLIBORフォワードカーブが実現するとすれば、クーポンの水準は今後数ヶ月でかなり上昇することが予想されます。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の迅速な引き上げに傾きつつあり、LIBORの上昇が続く可能性が高いと思われます。これまでローン以外の資産クラスは大きな価格変動にさらされましたが、ローン投資家は金利上昇環境に対する優れたヘッジを得ていることになります。さらに、ローンは発行体の資本構造の中で上位に位置し、企業資産に対する第一順位の担保権の恩恵を受けるため、投資家は景気サイクルが後期に入る可能性がある中でもディフェンシブなポジションを保つことができます。




- S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数。2022年4月30日現在。
- S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。2022年4月30日現在。
投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 - JPモルガン。2022年4月30日現在。
- S&P LCD。2022年4月30日現在。
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