
テーマ1 変貌する投資環境に対応するためのポートフォリオの再調整
予測不可能なマクロ環境の中、ソブリン投資家はポートフォリオの枠組みを見直しています。従来のモデルは試練にさらされており、資産配分、リスク管理、分散投資における戦略的な適応が求められています。
83のソブリン投資家と58名の中央銀行の投資責任者などにインタビューしました
回答者が運用する運用資産総額は27兆米ドル超(2025年3月現在、1米ドル150円換算で4,050兆円)
ポートフォリオの再調整、分断された新興市場への投資、デジタル資産に関する継続的な探求、不確実性の中でのアクティブ運用の活用、中央銀行の動向
第13回目となる「インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ 2025」による政治的・政策的決定が投資戦略の中核的な推進力となり、ソブリン投資家はポートフォリオ構築とリスク管理を根本的に見直す必要に迫られていることがわかりました。
地政学的緊張(88%)とインフレ圧力(64%)は、依然としてソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)と中央銀行にとって主要な短期リスクである一方、金融市場の過度なボラティリティへの懸念が急増しており、回答者の59%がこれを挙げています。これは2024年の28%から増加しています 。約90%が地政学的競争がボラティリティの主要な要因になると考えている一方で、 85%は保護主義政策が先進国全体で永続的なインフレを固定化すると予想しています。特に注目すべきは、回答者の62%が脱グローバル化を投資収益に対する重大な脅威と見ており、市場の見方が大きく変化していることを浮き彫りにしています。
日本語版は、近日中に1章ずつ公開予定です。
本年の調査では、83のソブリン・ウェルス・ファンドと58の中央銀行(運用資産総額27兆米ドル、1米ドル150円換算で4,050兆円)の最高投資責任者(CIO)、資産クラス責任者、シニア・ポートフォリオ・ストラテジストと直接面談する機会を得ました。
その結果、2025年以降の市場を形作る重要なテーマが浮かび上がりました。レポートでは、5つのテーマを取り上げ、1. 変貌する投資環境に対応するためのポートフォリオの再調整、2. 分断された新興市場への投資環境と、中国のイノベーションにおけるリーダシップへの期待、3. デジタル資産に関する継続的な探求、4. 不確実性の中でのアクティブ運用の活用、5. 中央銀行のボラティリティ対策としての準備金の分散化 について考察しています。
(質問:今後1年間の世界経済成長に対する主要なリスクは何だと思いますか? 今後10年間の世界経済成長に対する主要なリスクは何だと思いますか? サンプル数 136)
(質問:今後2年間でどのように変化すると予想しますか?サンプル数:52)
(質問:各資産クラスについて、今後12ヶ月間で資産配分がどのように変化すると予想しますか?サンプル数:70)
予測不可能なマクロ環境の中、ソブリン投資家はポートフォリオの枠組みを見直しています。従来のモデルは試練にさらされており、資産配分、リスク管理、分散投資における戦略的な適応が求められています。
ソブリン・ウェルス・ファンドは新興市場への投資についてターゲットを絞ったアプローチを採用し、中国への関心を新たにしている。より広範なマクロ経済移行リスクへの懸念が残る中、中国のイノベーションリーダーシップとしての信頼が重要なテクノロジーへの投資を牽引している。
政府系ファンドによるデジタル資産への直接投資は依然として限定的ではるものの、増加し始めており、デジタル資産は長期的な選択肢の源泉とみられている。
中央銀行は、イノベーションへの意欲と金融の安定性に対する潜在的リスクのバランスを取りながら、デジタル通貨への取り組みをゆっくりと進めている。
ソブリン・ウェルス・ファンドと中央銀行は、地政学的ボラティリティの高まりと指数集中リスクへの懸念に対する戦略的対応として、アクティブ運用へのコミットメントを強化しています。ポートフォリオ構築の意思決定は、アクティブ運用の一形態として捉えられるようになっています。
中央銀行は、ボラティリティへの対応として、より大規模で多様化された準備金を積み上げています。米国の財政動向をめぐる懸念は高まっているものの、構造的な現実を踏まえるとドルが依然として優位性を維持し、戦略的防衛資産としての金の役割は強化されています。
当資料は、一般もしくは個人投資家向けに作成されたものではなく、機関投資家向けのものとなります。情報提供を目的として、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」といいます。)が、英文でリリースされた”Invesco Global Sovereign Asset Management Study 2025”を解説するために作成された英語コンテンツの一部を翻訳して作成したものであり、法令に基づく開示書類でも投資勧誘を目的としたものでもありません。翻訳(または抄訳)には正確を期していますが、必ずしも完全性を保証するものではありません。また、抄訳の場合には、原資料の趣旨を必ずしもすべて反映した内容になっていない場合があります。また、公表されたデータ等に基づいて作成されたものですが、過去から将来にわたって、その正確性、完全性を保証するものではありません。
本書に記載されたデータや記述等は過去の事実や実績を示したものであり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。本書で詳述した分析は、一定の仮定に基づくものであり、その結果の確実性を表明するものではありません。分析の際の仮定は変更されることもあり、それに伴い当初の分析の結果と重要な差異が生じる可能性もあります。市場の見通しに関するコメントは、本書作成時における筆者の見方を反映したものであり、将来の時点において予告なく変更される可能性があります。本書について事前の許可なく複製、引用、転載、転送を行うことを禁じます。
IM2025-132