テーマ1 レジリエンスがポートフォリオ設計の中核へ
レジリエンスは明確なポートフォリオ設計の目的へと位置付けられつつあり、機関投資家は分散投資の在り方を再考するとともに、ガバナンスにシナリオ分析を組み込み、さらに資産の保管場所やアクセス条件といった点にまで視野を広げています。
第14回インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディによれば、約29兆米ドル(4,613兆円)*を運用するソブリン投資家は、ポートフォリオ構築の包括的な見直しに着手しています。本調査結果は、より複雑化する投資環境の中で、中央銀行およびソブリン・ウェルス・ファンドがレジリエンス、リターン、分散投資のバランスをどのように捉えているかに関して、根本的な変化が生じていることを浮き彫りにしています。
本調査は、90のソブリン・ウェルス・ファンドと54の中央銀行からなる計144の機関を対象に実施され、現在の地政学的環境がソブリン投資家の思考様式に変化をもたらし、かつてないスピードで投資戦略の見直しを促していることが示されています。グリーンランドを巡る米欧間の緊張、ウクライナ紛争の長期化、中東における新たな不安定化など、エネルギー安全保障、貿易ルート、サプライチェーンに直接影響を及ぼす複雑なリスクが存在しています。こうした要因が、レジリエンスと分散を重視したポートフォリオ構築への抜本的な再考を促しています。
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ソブリン・ウェルス・ファンドは、2025年における1年間の実績リターンとして平均9.0%を報告しました。投資ソブリンのリターンは10.4%、債務ソブリンは9.0%となっています。流動性ソブリンは4.5%のリターンにとどまった一方、開発ソブリンは10.4%のリターンを記録しました。
2026年には、ソブリン・ウェルス・ファンドの株式配分は前年の32%から30%へと低下しました。これは、第2テーマで述べたように、集中リスクの高まる上場株式からの資金シフトと整合的です。
債券(プライベートクレジットを含む)の配分は29%で横ばいとなりました。一方、流動性の低いオルタナティブは拡大を続け、総資産の24%に達しました。流動性の高いオルタナティブは4%で変わらず、直接戦略投資(DSI)は10%へと小幅に上昇しました。
オルタナティブ資産の内訳を見ると、プライベートエクイティの配分は前年の7.1%から7.4%へと小幅に増加しました。
不動産は7.3%から7.6%へと上昇し、インフラは8.1%から9.0%へと着実に拡大し、5年間で最も成長したオルタナティブ資産クラスの地位を維持しています。ヘッジファンドおよび絶対収益戦略は3.1%から3.3%へと増加し、コモディティも0.8%から1.0%へとわずかに上昇しました。
レジリエンスは明確なポートフォリオ設計の目的へと位置付けられつつあり、機関投資家は分散投資の在り方を再考するとともに、ガバナンスにシナリオ分析を組み込み、さらに資産の保管場所やアクセス条件といった点にまで視野を広げています。
長期投資はますます重要性を増している一方で、実務上の維持は一層困難になっています。ガバナンス体制や流動性管理の規律が、長期投資を維持できる機関とそうでない機関を分ける重要な要因となりつつあります。
ソブリン投資家におけるETFの採用は着実に進んでいます。中央銀行は新たな資産クラスへの効率的な参入手段として活用する一方、ソブリン・ウェルス・ファンドは戦術的な柔軟性の確保やテーマ型投資へのエクスポージャー取得の手段として活用しています。
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