米国バンクローン市場、月次アップデート 2022年11月
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10月のバンクロ-ン市場は、概ね底堅く推移
バンクローンの相対価値に魅力
10月のバンクロ-ン市場は概ね底堅く推移
10月のバンクローン市場は+1.03%のリターン(年初来で-2.25%)となりました1。決算シーズンが懸念されたよりも堅調な内容で始まり、利上げ経路をめぐる不安もやや和らいだことから、リスクセンチメントは9月の最低水準から改善しました。月次リターンの内訳は、価格リターンが0.38%、金利リターンが0.65%でした。ベースレートの上昇が借り手の利息に反映されるようになるにつれ、月次クーポンから来るリターンの増加はより顕著になりつあります。10月のクーポンからのリターンは年率7.84%となり、1月の年率4.04%から上昇しました。
10月のローンのリターンは、ハイ・イールド債(+2.86%)を下回る一方で、投資適格債(-1.02%)を上回りました。年初来では、ローンはハイ・イールド債の-12.18%、投資適格債の-19.56%を大幅に上回りました2。ローンのBB格(+1.83%)は、B格(+0.87%)とCCC格(-0.94%)を上回りました。ローン市場の平均価格は31ベーシスポイント(bps)上昇し、92.51となりました3。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードLIBORカーブを含めて11.18%のイールドとなります3。

ファンダメンタルズ
インフレ率はコンセンサス予想を上回る水準で推移し、FRBに金融引き締め圧力がかかり続けました。一方、第3四半期のGDP成長率は年率2.6%となって第2四半期から顕著に改善し、その他の経済活動の指標はまちまちでした。
新たな債務不履行や倒産がなかったため、10月の12ヶ月累計の額面デフォルト率は0.90%から0.83%に低下しました。一方、80ドル以下で取引されるローンの割合は、10月に5.79%から7.11%に上昇しました4。
市場の需給環境
10月は、リテールからの資金流出と最小限の新規ローン発行からのフローが、CLO組成に吸収されるといった最近の需給動向が継続しました。
10 月の CLO 新規発行量は、20案件で87 億ドル(借り換え/条件改定案件なし)の発行となりました。これにより、年初来累計の発行総額は289案件で1,354億ドルとなり、借り換え/条件改定案件を除くと1,136億ドルとなりました3。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、6ヶ月連続で資金流出となりました。10月には38億ドルの資金がこの資産クラスから流出し、年初来累計の資金流入額はマイナスとなりました3。
10月のローン新規発行は65億ドルとなり、厳しい市場環境の中で極めて低調に推移しました。累計の発行総額は2,115億ドル、純発行額は1,489億ドルで、それぞれ前年比71%、56%減となりました3。
相対価値/市場機会
高い利回りを提供するバンクローン
ローンは年初来、他のクレジット資産をアウトパフォームしていますが、この資産クラスは現在の価格水準でまだ魅力的な価値を提供しています。ローン価格は、経済や企業収益といったファンダメンタルズの大幅な悪化を織り込んでおり、実際、図1に示すように現在7.5%超のインプライド・デフォルト率を示唆しています。ローン価格がいつどこで底を打つかを予測することは不可能ですが、過去の市場混乱期には、最終的に実現したデフォルト率と比べると、市場は何度も過剰に調整してきました。フォワードLIBORカーブを含む3年償還前提の利回り11.18%(前述の7.84%のクーポンを含む)は、ローン投資家のとるクレジット・リスクが十分に報われる水準と考えます。
歴史的に見ると、ローンが現在の92.51ドルに近い価格で取引された場合、フォワード12ヶ月リターンは平均9.5-10.5%でした。これはローンのリターン予測ではなく、市場の混乱期にローンに資金を投下した長期投資家が、これまで典型的に得てきたリターンを示しています。


- Morningstar/LSTAレバレッジド・ローン指数。2022年10月31日現在。
- Morningstar/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。2022年10月31日現在。
投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 - JPモルガン。2022年10月31日現在。
- Pitchbook LCD。2022年10月31日現在。
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