米国バンクローン市場、月次アップデート 2023年2月
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1月のバンクロ-ン市場は、インフレ率の低下を好感して堅調に推移
バンクローンの相対価値に魅力
1月のバンクロ-ン市場は堅調に推移
1月のバンクローン市場は+2.73%のリターンとなりました1。これは、1月のローン上昇率としては、2009年以来、月間上昇率としては2020年5月以来の大きさでした。リスク資産市場は、インフレ率の低下と金融引き締めサイクルが完了に近づいているとの認識から、センチメントが改善して上昇しました。また、新規発行の供給が乏しいにもかかわらず、常に好機を狙うCLOマネジャーが新規発行ローンを購入しようとしたため、好ましい需給環境となりました。月次リターンの内訳は、価格リターンが+1.93%、金利リターンが+0.81%でした。
1月のローンのリターンは、ハイ・イールド債(+3.93%)、投資適格債(+3.90%)を下回りました2。過去12ヶ月では、ハイ・イールド債の-4.98%、投資適格債の-9.44%を大幅に上回りました。ローンのBB格(+2.11%)は、B格(+3.11%)とCCC格(+3.09%)を下回りました。ローン市場の平均価格は173ベーシスポイント(bps)下落し、94.55となりました3。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードLIBORカーブを含めて9.83%のイールドとなります3。

ファンダメンタルズ
インフレ率は低下傾向を続け、個人消費も減速したため、FRBが金融引き締めを減速させる可能性の根拠付けとなりました。また、労働市場の安定したデータがソフトランディングへの期待につながりました。
Serta SimmonsとHeritage Powerがチャプター11申請を行った結果、1月の12ヶ月累計の額面デフォルト率は0.83%に上昇しました。一方、80ドル以下で取引されるローンの割合は、7.36%から6.1%に減少しました4。
市場の需給環境
1月は、新規発行の供給が非常に限られている中、新規のCLO組成がウェアハウスを増やし、リテールからの流出が減速したため、需給環境はローン価格を大きく下支えしました。
1月の CLO 新規発行量は、16案件で68 億ドル(借り換え/条件改定はなし)の発行となりました3。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、9ヶ月連続で資金流出となりました。1月には8億ドルの資金がこの資産クラスから流出しましたが、過去8ヵ月間の平均47億ドルに比べてはるかに少くなりました3。
1月のローン新規発行は137 億ドルとなり、スロースタートとなりました。資金使途は借り換えが105億ドルで最も多くなりました。市場が強含む中で、2月に向けて借り換えのために市場にアクセスしようとする発行体が増加しました3。
相対価値/市場機会
高い利回りを提供するバンクローン
リスク資産市場がより穏やかな経済見通しを持つようになり、ローンは引き続き魅力的な価値を提供しています。FRBの利上げサイクルが2023年前半に停止するとしても、FRBのガイダンス(および市場での織り込み)は、金利がしばらく高い水準で推移することを示唆しており、ローンのクーポン収入見通しには有利に働きます。このような高金利の環境下では、ローンはハイ・イールド債券よりも高い利回り機会を提供します。両市場の格付の違いを調整すると、図1に示すように、ローンの利回りは依然として魅力的です。さらに、ローンはCLOを主な買い手とする堅固な市場構造から恩恵を受けています。CLOはローン残高の約58%を保有しており、強制的にローンの売却を迫られることはほとんどありません。約170の新しいCLOウェアハウスがありますが、全体では約35%のランプアップに留まっていることから、今後数ヶ月におけるローンへの潜在的な需要が示唆されます。


- Morningstar/LSTAレバレッジド・ローン指数。2023年1月31日現在。
- Morningstar/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。2023年1月31日現在。
投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 - JPモルガン。2023年1月31日現在。
- Pitchbook LCD。2023年1月31日現在。
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