米国バンクローン市場、月次アップデート 2024年3月
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2月のバンクロ-ン市場は、低格付けのローンが相対的に堅調に推移
市場が織り込む今後の政策金利の見通しが上方にシフト
2月のバンクロ-ン市場は、リファイナンスやリプライシングが増加
2月のバンクローン市場は月間で+0.89%のリターンとなり、年初来で1.68%になりました1。価格リターンが月間で+0.14%となる一方で、金利リターンは+0.75%となりました。ローンへの需要は引き続きネットでの供給量を上回っており、業績に問題のない発行体にとっては、ローンの期日延長、リファイナンス、配当リキャップなどを実施する機会となっています。また、引き続き堅調な第4四半期の企業業績も、バンクローン価格を下支えしました。
リスクオンのセンチメントに加えて、投資家の今後の金融政策の見通しに見直しが入ったこともあり、2月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド債(+0.29%)と投資適格債(-1.40%)を上回りました2。格付別のリターンは、BB格(+0.58%)、B格(+0.85%)、CCC格(+1.91%)となりました。ローン市場の平均価格は月末で95.74となりましたが、現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて9.39%のイールドとなります3。
ファンダメンタルズ
インフレ率のデータはまちまちとなり、ディスインフレが持続するという見通しに懸念が生じました。また、個人消費と雇用のデータからは引き続き景気の底堅さが示唆されました。
新たなデフォルトが4件発生したものの、12ヵ月累計の額面デフォルト率は1.47%から1.41%に低下しました4。また、80ドル未満で取引されるローンの割合は、3.80%から3.35%に低下しました4。
市場の需給環境
2月のCLO組成が堅調となった一方で、ローンのネットの供給は抑制された水準であったため、良好な需給環境がローン価格を下支えしました。
2月のCLOの新規発行は67案件で308億ドル(うちリファイナンスやリセットの案件で134億ドル)となり、加速しました3。年初から最初の2ヵ月の期間で見ると、2024年は過去最高の発行額となり、2021年の同時期を上回りました。CLOノートのスプレッドの縮小によってCLOの新規発行が下支えされ、また、既存CLOのリファイナンスやリセットの動きも広く見られました。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、7億ドルの資金流入となりました3。
2月のローンの新規発行は、(先月から鈍化したものの)比較的活発で637億ドルとなりました。内訳は、リファイナンス(369億ドル)、リプライシング(126億ドル)となり、これらを除いたネットの供給は142億ドルでした3。
投資機会
最近のインフレ率データや米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を踏まえて、投資家は2024年以降の金利見通しを見直しました。図表1に示すように、市場参加者は2024年の利下げ幅の予想を約65bps縮小しています。このような金融政策が実現する場合は利下げのペースが緩やかになり、ローンのクーポンはその恩恵を受けます。底堅い経済成長や企業業績の他、恒常的にローンの需要が供給を超過しているような良好な需給環境(図表2)は、2024年のローンのリターンを下支えるものと思われます。



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