2021年から2022年へ ブロックチェーン技術のさらなる躍進
〔レポートのポイント〕
1. 2021年は、暗号資産や金融関連中心にブロックチェーン技術の活用拡大や深化が進みました
2. 2022年もブロックチェーン技術の利用拡大が期待され、多様な産業・ビジネスでの活用が進むと見られます
3. 世の中を大きく変えていく、ブロックチェーン技術に引き続きご注目ください
日進月歩で新しいサービスが生み出されることから、日々注目されるブロックチェーン技術ですが、2021年はより一層注目が集まりました。2021年11月にはビットコインの価格が700万円を超え、過去最高価格を記録しました。2020年初の価格である、約79万円と比べると、8倍以上の上昇となりました。これらの暗号資産の価格上昇を背景に、暗号資産の取引所や暗号資産の採掘(マイニング)などの関連ビジネスの業績躍進が相次ぎました。金融においては、暗号資産ビジネスを専門に手掛ける金融機関の上場なども相次ぎ、金融分野でのブロックチェーン技術の活用の拡大や深化が進みました。
ほかにも、デジタルデータで作られた絵画や写真、ゲームアイテムなどの真贋や所有権のデジタル証明書とも言えるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)が脚光を浴び、流行語大賞にもノミネートされました。国家レベルでは、現金をデジタル化する、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究・開発が進んでいます。一部の新興国では既に利用されていますが、2022年には中国でも本格的に導入すると見られ、欧州中央銀行や日本銀行をはじめとする先進諸国・地域の中央銀行も追随しています。
そして、2022年には、ゲーム、出版、物流などを始めとする幅広い産業で、ブロックチェーン技術の活用の加速や新しいビジネスの誕生が期待されます。
ブロックチェーンは、NFTのように急速に浸透するものもあれば、年単位での時間をかけて社会基盤を作り変えていくようなものもあるなど、様々な形で世の中を大きく変えていく技術です。世カエルでは、進化し続けるブロックチェーン技術と関連企業の調査・投資を続けています。2022年も世カエルにご注目いただけますよう、お願い申し上げます。
インデックスにおける2021年の騰落率上位銘柄を見ると、ブロックチェーン技術を活用する金融関連企業が目立ちます。その中でも、ビットコインを始めとする暗号資産関連のビジネスを営む企業の躍進は目覚ましいものでした。例えば、暗号資産を採掘(マイニング)する企業ではハット 8 マイニングや、ビットファームズ カナダが騰落率上位にランクインしました。
ほかにも暗号資産取引所を営む企業や暗号資産に関連する投資信託などを運用する資産運用会社なども上位にランクインしました。
一例として、米国の大手暗号資産取引所を運営するコインベース社は2021年4月に上場したばかりですが、2021年末の時価総額は日本円で6兆円を超えています。日本に上場する約4,000社のうち、時価総額が6兆円を超えるのは、日立製作所(約6.0兆円)等のわずか21社であることを考えると、ブロックチェーン金融ビジネスへの世界の注目度がわかります。
これらの新興金融機関のみならず、三菱UFJ銀行やJPモルガンといった大手の金融機関でも、ブロックチェーン技術を活用した資金決済プラットフォームや各種プロジェクトを進めており、ブロックチェーン技術は今まさに金融の世界を変えつつあります。
2022年は、金融以外の分野、例えば行政のデジタル化等を含め日々の生活の身近な所でも、ブロックチェーン技術の活躍がさらに広がっていくと期待されています。
第1位、219.8%上昇したハット 8 マイニングは、カナダ でマイニング事業を行っています。アメリカ合衆国の国境と接する、カナダ中央のアルバータ州を本拠地として、マイニングに適した気候や電力供給などを活用しています。
第2位、 188.5%上昇したアルコア・コープは米国のアルミニウム関連製品メーカーです。自動車や航空宇宙製品を始めとして、多様な分野で使われるアルミニウム製品などを生産しています。同社が保有する水力発電資産などを活用した暗号資産のマイニングなど、ブロックチェーン関連ビジネスへの展開が期待されています。
第3位、186.9%上昇したビットファームズ カナダは、カナダでビットコインを採掘する、大手マイニング・オペレーション企業です。カナダのケベック州において、環境に配慮した水力発電による暗号資産の採掘工場を運営しています。2021年6月にNASDAQに上場しました。
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