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2025年後期のグローバル市場見通し:「ザ・グローバル・リセット」

2025年後期のグローバル市場見通し:「ザ・グローバル・リセット」
〔要旨〕
  • 不確実性が継続:関税率の落ち着きどころや、金利変更の正確なタイミング、具体的なインフレ率や成長率の見通しについて、正確に予測することは困難
  • FRB:米国の金利はもうしばらく据え置かれる可能性が高いものの、経済活動が大幅に減速した場合には、積極的に引き下げられる可能性がある
  • 米国以外の国々の資産:政策及び経済の不確実性が高い状況にある中で、私たちは自信をもって、基本シナリオとしては、米国以外の国々の資産が益々魅力的となると考えている
関税関連のニュースヘッドラインを超えた展望

中央銀行の動向を注視する

私たちの基本シナリオ:米国以外の国々の資産が益々魅力的に

シナリオ:貿易戦争は今後どのように展開していくか?

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世界の政治・経済情勢は急速に変化しており、貿易関係や政治的同盟関係が世界中で大きく再編されつつあります。これを受けて、2025年前半には世界中の市場で不確実性を示す指標が急上昇しました。

私たちは、今日まだ分かっていないことが多くあるのも致し方ないと考えています。私たちは依然として、関税率の落ち着きどころや、金利変更の正確なタイミング、具体的なインフレ率や成長率の見通しを、正確に予測することは困難です。これらの予測は特に、米国の政策の方向性がより一貫性を持つかどうかに依存します。

とはいえ私たちは、いくつかの重要なトレンド、マクロ要因そして市場が向かう方向性について、より確信が持てるようになっています。関税率は過去数十年よりも高くなり、米国への移民は減少すると予想されます。また欧州では、防衛とインフラへの財政支出が拡大すると予想されます。その結果、年初時点の予想に比べて2025年の米国の成長率は鈍化し、インフレ率は上昇する可能性が高いでしょう。同様に米国以外の国々の成長も鈍化する可能性がありますが、その度合はより小さいでしょう。関税問題が懸念されたよりも良い形で解決されたり、期待される規制緩和がプラスの影響をもたらした場合、米国市場は引き続き上昇する可能性があります。

 

関税関連のニュースヘッドラインを超えた展望

2025年上半期は、米国の政治に関するニュースが大半を占めましたが、世界の他の地域においても、平時であれば「今年注目のストーリー」となっていたであろう動きがあったことに留意する必要があります。

3月、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、欧州の防衛を確立し、ドイツの債務ブレーキを解除して、インフラ整備と防衛支出の拡大に道を開くために「必要なことは何でもする」と宣言しました。この大胆な動きは、今後10年間の欧州の成長にとってプラスの追い風となるに違いありません。

中国も財政支出を拡大しており、不動産や消費者セクターにも改善の兆しが見られています。

こうしたいわゆる「グリーンシュート」は、米国の関税が引き続き世界の成長の抑制要因となる一方で、その他の要因が、米国以外の国々のより良い成長の支援材料となりつつあることを示しています。
 

中央銀行の動向を注視する

米連邦準備理事会(FRB)は板挟みとなっています。通常のハードデータのほとんどは金利の据え置きが妥当であることを示唆しているものの、ソフトデータは、利下げを正当化し得る景気減速が差し迫っていることを示唆しています。米国の金利はもうしばらく据え置かれる可能性が高いものの、経済活動が大幅に減速した場合には、積極的に引き下げられる可能性があります。

米国の関税とドル安が米国以外の地域のディスインフレ圧力に拍車をかけ、年初に織り込まれたよりも迅速かつ大幅な利下げを促進する可能性が高いため、他の中央銀行の仕事はより容易に思われます。欧州中央銀行(ECB)の利下げは既に、貯蓄を減らし消費を増やす意向を強めている欧州の消費者にとって役立っています。

もちろん主要中央銀行の中でも、日銀は依然として引き締め路線にあると考えられます。追加利上げは2025年末か2026年初頭まで延期される可能性があります。しかし、他の中央銀行が追加緩和を進めるのと同様に、日銀は追加利上げを行うだろうと私たちは考えています。これが引き続き、日本円を下支えするでしょう。
 

私たちの基本シナリオ:米国以外の国々の資産が益々魅力的に

従って、政策及び経済の不確実性は高く、確実には言えないことも多いものの、私たちは自信をもって、基本シナリオとしては、米国以外の国々の資産が益々魅力的となり、今後もアウトパフォーマンスが続くと考えています。私たちはこれが、投資家が異なる地域や資産クラスにポートフォリオを分散し、集中を軽減する機会となると見ています。これはボラティリティを乗り切るのに役立つ可能性があるのと同時に、投資家が潜在的なアップサイドのサプライズから利益を得ることを可能にするかもしれません。
 

シナリオ:貿易戦争は今後どのように展開していくか?

基本シナリオ

下方シナリオ

上方シナリオ

不透明感が継続
  • 米国の国内政策のボラティリティと不確実性は2025年の残り期間も続く可能性が高い。
  • 米国の関税は数十年来の高水準にあるものの、「解放の日」に当初発表された水準は大きく下回り、米中貿易関係は徐々に改善していく。
  • こうした複合的な影響により、米国経済は緩やかに減速する可能性が高いものの、減税の延長と規制緩和が追い風になる可能性がある。
  • 欧州と中国のディスインフレ圧力は、政府と中央銀行が国内経済への刺激策を取ることを可能にするだろう。
地政学的断絶
  • 米国の貿易政策が引き金となり、他国からの相互関税が発動され、限定的にしか取引の交渉が行われない。
  • 地政学的緊張がさらに高まり、米国への輸入が大幅に減少する。これは、国際秩序のさらなる崩壊に加えて/または米中関係の大幅な断絶を伴う可能性がある。
  • 米国が景気後退に入り、世界的な成長が大幅に減速する一方で、米国以外の地域では関税が物価を押し上げる。
政策と貿易戦争の一時中断
  • 米政権が政策を転換し、関税・移民政策を緩和する一方で、より成長を促進する政策に重点を置くようになる(これは議会が貿易に関する大統領令を制限することで実現する可能性もある)。
  • 貿易政策が部分的に正常化することで、不完全な形ではあるが2025年以前の状態に戻る。
  • 米国以外で成長見通しが大幅に改善し、米国の緩やかな減速を相殺する。
  • 米中関係は改善する。
選好する資産
  • 株式
    – 欧州株
    – 英国株
    – アジア株
選好する資産
  • 株式
    – 米国以外の低ボラティリティ及びディフェンシブ銘柄、特に公益事業とテレコム

選好する資産

  • 株式
    – バリュー株
    – 中小型株

 

  • 債券
    – 米国以外の国の債券(社債及びソブリン債)
    – 現地通貨建て新興国債
  • 債券
    – 特に米国以外のソブリン債
  • 債券
    – 米国投資適格債
    – 米国ハイイールド債
  • オルタナティブ
    – プライベート・クレジット(不動産デットを含む)
    – ヘッジ戦略
    – 工業用金属
  • オルタナティブ
    – ディストレスト債及びスペシャル・シチュエーションの投資開始に適したタイミングの可能性
    – ヘッジ戦略
    – 金及び貴金属
  • オルタナティブ
    – プライベート・エクイティ及び不動産エクイティ
    – CLOエクイティ
    – 工業用コモディティ
  • 通貨
    – ユーロ
    – 英ポンド
  • 通貨
    – 日本円
    – スイスフラン
  • 通貨
    – 米ドル
    – コモディティ通貨(オーストラリアドル、カナダドル)

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ザ・グローバル・リセット

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