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【グローバル債券投資戦略】「グローバル・フィックスト・インカム・ストラテジー 2025年5月」
インベスコ・フィックスト・インカム(IFI)がマクロ経済動向、米国および主要国の金利・為替見通し、債券市場における主要な投資テーマなどについての見方をご提供いたします。
財務省が資金を使い果たし、資金調達のための臨時措置をとる日、いわゆる「X-date(以下、Xデー)」が近づくにつれ、政府の債務上限を停止または引き上げるよう議会への圧力が高まっています。議会が依然として債務上限問題で行き詰まっていることから、市場では財務省のテクニカル・デフォルト(債券の発行主体が資金面的には支払い能力があるにもかかわらず、債務不履行状態となること。)に対する懸念が強まっています。
2月の債務上限に関するレポートで述べたように、31.4兆米ドルの連邦政府の借入限度額は1月19日に達しました。債務上限は新たな支出を許可するものではなく、政府が既存の債務をカバーするためにいくら借りられるかを規定するものです。1月以降、財務省は債務上限が引き上げられるまでの間、債務を履行するために特別な措置をとってきました。
インベスコ・フィックスト・インカムは、最終的に議会が債務上限を引き上げ、あるいは停止し、米国政府が通常の債券発行と融資活動を再開できるようになると考えています。しかし、条件なしの「クリーンな」債務上限法案を主張するホワイトハウスと、歳出削減なしに債務上限の引き上げを検討することを拒否する一部の議員との交渉は難航しており、早期解決に向けた時間的猶予はなさそうだとIFIでは見ています。
5月1日、イエレン財務長官は、債務上限が引き上げられるか停止されない限り、財務省は早ければ6月1日に債務を履行できなくなる可能性があると議会に通告しました1。歴史的に、この問題の解決にぎりぎりまで待つという議会の傾向から、財務省はその判断に慎重なスタンスをとっていました。
米議会予算局は最近、「4月までの税収が2月に米議会予算局が予想した額を下回っているため、6月上旬に財務省が資金不足に陥るリスクが大幅に高まると推定している」と強調し、イエレン財務長官の時間軸に信憑性を持たせています2。
これらの最新の更新に先立ち、市場アナリストは、財務省が7月下旬から8月上旬までに現金および臨時措置を使い果たすと予想していました。しかし、4月18日に受け取った連邦税収に関するデータの入手が可能になるにつれて、6月上旬のXデーの可能性が高まっています。
連邦税の収入と支出との間に変動があるため、財務省がいつ債務を履行できなくなるかを予測することは、ますます困難になってきています。イエレン財務長官は、「財務省が臨時措置を使い果たすことができる実際の日付は、現在の予想より数週間遅くなる可能性がある。」と指摘しています1。したがって、財務省がいつまで政府の運営資金を調達できるかは、今後数週間は不透明なままとなりそうです。
個人税の申告期限は毎年4月であるため、連邦税の徴収額は通常その月に最も多くなり、Xデーを決定する上で重要となっています。さらに、内国歳入庁は、今年初めの暴風雨で被害を受けたカリフォルニア州の住民のために、申告期限を10月16日まで延長しました3。
6月15日までの税収で財務省に十分な資金が供給されれば、その日に支払うべき四半期法人税で6月30日までの資金を供給することができます。その時点で、1回限りの特別措置が利用可能になり、財務省に1430億米ドル4が追加で提供される可能性があり、Xデーは7月下旬から8月上旬にずれ込む可能性があります。
Xデーが6月上旬から8月の間に発生する可能性が高いことから、この時期に満期を迎える国債の利回りはここ数週間で大きく上昇しました。私たちは、Xデーが8月上旬に発生すると考えていますが、税収不足によりこのタイミングが6月上旬にずれ込む可能性があることを認識しています。
連邦公開市場委員会と連邦準備制度理事会のメンバーによる共同電話会議の記録は、2011年に同じような債務上限問題の対決の中で作られた緊急時対応策を紹介しています。これは、議会がXデーまでに債務上限問題を解決しない場合、現在の状況をどのように扱うかについての指針になり得るものです5。
2011年の計画では、3つの原則に基づいた手順が検討されました:
1. 財務省証券の元本と利息の支払いが期日通りに行われるようになる。
2. その他の支払いは遅れるかもしれない。
3. いかなる支払いも通常通り行われるであろう。
債務上限に関する議論が解決されない場合、財務省は、他の支払いを延期することにより、期限が到来した財務省証券の利息を支払い続けることでデフォルトを回避することができます。証券が満期を迎えると、財務省はおそらく同額の新発債を入札にかけることで元本を支払い、政府債務全体のストックの増加を避けることができるでしょう。財務省は、少なくとも1日分の債務を支払うのに十分な現金があるまで、米国政府省庁、請負業者、社会保障受給者、メディケア提供者を含む他のすべての債務に対する支払いを延期すると思われます。そうすれば、ある日にどの支払いを行うか選択することを避けることができるようになるでしょう。
連邦政府職員は引き続き勤務し、国立公園やその他の政府機関は開館する見込みですが、連邦政府職員の給与は遅れる可能性が高いと思われます。
政府が特定のプログラムに対して支払いを優先し、無期限に延期した場合、訴訟に発展する可能性があり、すでに困難な状況にさらに複雑さを増す可能性が高いというリスクもあります。
イエレン財務長官は、経済や金融システムへの影響を考慮し、議会がその職務を果たすことが不可欠であるとして、法的課題を招くような道を進むことへの疑問を回避しています。イエレン財務長官はまた、大統領が連邦債の保有者に対する義務を果たすことを要求する修正第14条を発動するなどの選択肢は、「憲法上の危機」を引き起こすと指摘しています。
今後、Xデーは今後数週間、非常に不透明な状態が続くと思われ、市場は、Xデーの正確なタイミングを明確にすることができる財務省からの正式な更新に加え、毎週発表される財務省の残高に注目すると思われます。私たちは、議会が債務上限を引き上げる法案を可決するか、一時的に停止することを楽観視していますが、この決定はおそらく論争になり、最後までもつれ込むことになるでしょう。
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