ボトムライン:債券ポートフォリオで株式オプションを駆使するケース
資産運用業界は、顧客の投資目的を満たし、リスク・リターン・プロファイルを改善し、分散投資を拡大するために、常に革新を続けています。顧客のリスク許容度に応じて、債券マネジャーはハイ・イールド社債、新興国債券、バンクローンなど、さまざまなタイプの資産を活用してこれらの目標を達成しようと努めています。しかし株式もまた、リターンを高め、分散効果を高めるための興味深い選択肢となります。さらに、伝統的な株式の代わりに株式オプションを駆使することで、ユニークなメリットが得ることが期待できます。伝統的な債券ポートフォリオにおける株式と株式オプションのケースについて、3人のインベスコのポートフォリオ・マネージャーに話を伺いました。
Q:債券ポートフォリオに株式を加えるケースについて教えてください。
ロバート:伝統的な債券ポートフォリオに株式を加えることのメリットは、過去30年間のマーケット・リターンで株式が債券を大幅にアウトパフォームしてきたことからも裏付けられています7。その結果、株式へのエクスポージャーの程度は、顧客の投資目的やリスク許容度によって異なりますが、少額でも株式をポートフォリオに組み入れた債券マネジャーは、より高いリターンを得ることができました。
例えば、投資適格債券ポートフォリオのようなリスク許容度の低い戦略では、債券99%/株式1%という保守的な配分が考えられます。マルチ・セクター・ポートフォリオやハイ・イールド・ポートフォリオのようなリスク許容度の高いポートフォリオでは、よりアグレッシブに90%の債券と10%の株式というような組み合わせが考えられるでしょう。
Q:ハイ・イールド・ポートフォリオに関して、株式を追加するメリットについて教えてください
ニクラス:ハイ・イールドでは、いくつかの手法を用いて少額ながら株式を組み入れるケースがあります。いずれの場合においても、ポジションはIFIのクレジット・ビューや既存のポジションと整合的です。一例としては、クレジットが改善傾向にあると判断する債券発行体の株式オプションを購入することです。これは、債券が生み出すインカムの一部を使って実質的に転換社債に似たエクスポージャーを作ることで、コンベクシティ(価格変動に対する柔軟性)を生み出す効果があります。そうすることで、クレジットの継続的な改善による利益を享受しつつ、ダウンサイド・リスクをかなり抑えることが期待できます。
もう一つの方法は、株価にはデフォルトの可能性が高く織り込まれている一方で、IFIとしてはデフォルトを回避できる、あるいは買収のターゲットになりうるというように、クレジットが好転する可能性のあると考えられる発行体の株式ポジションを持つことです。
ライアビリティ・マネジメント(LME)に対するヘッジとして株式ポジションを組み入れるケースもあります。多くの場合、LMEによって利益を受けるのは株式です。なぜなら、企業は通常、債務負担を軽減したり、満期を先送りすることができるからです。最後に、株式エクスポージャーは、質の低いハイ・イールド債券の効果的な代用となることが多いと考えています。株式市場とCCC格の債券の相関は高い傾向があるため、IFIのハイ・イールド債券運用チームでは 、全体的なベータを高めることで強気なビューを反映したり、CCC格のアンダーウエイトをヘッジするために、株式のエクスポージャーを追加することがあります。
Q:債券ポートフォリオに株式を加えることで想定されるデメリットについても教えてください
ジェームス:株式の組入れに関する有効な懸念としては、株式のリターンが高いほどボラティリティが高いということです。過去30年間、株式は一貫して債券よりもボラティリティが高いことが実証されており、債券マネジャーの中には株式を債券ポートフォリオに組み入れることに対して躊躇する者もいるでしょう8。
また、株式市場は時折、大きなトータル・リターンのドローダウンを経験しています。このため、株式は長期的なパフォーマンスを向上させる可能性があるにもかかわらず、短期的なパフォーマンスへのマイナスの影響により、債券ポートフォリオに株式を組み入れることが魅力的に見えなくなることがあります。
Q:株式を組み入れることに対する上記の懸念に対処するために、株式オプションはどのような役割を果たせるでしょうか?
ロバート:株式オプションとする利点は、伝統的な現物株投資では得られない魅力的な非対称のリターン・プロファイルが期待できることです。
株式エクスポージャーを持たない伝統的な債券ポートフォリオに株式オプションを追加する例を見てみましょう。マネジャーはポートフォリオの収益の一部または全部を株式エクスポージャーの支払いに充てることができるものとします。この例では(図1)、6%のクーポンのポートフォリオ(紺色の線)から始め、クーポンの1パーセント・ポイントを使ってS&P500指数オプションを購入し、5%のクーポンの債券ポートフォリオと株式オプション(水色の線)のポジションとします。一般に、ポートフォリオにおけるクーポンの使用量は、マネジャーの株式感応度の目標に応じて変化し、クーポンの使用量が多いほど株式感応度は高くなります。
この戦略における株式オプションの最大損失は、株式市場がどれだけ下落しても、使用したクーポンの額で固定されることになります。しかし、株式市場への参加は完全に無制限であるため、ダウンサイドは制約される一方でアップサイドは制約されないという魅力的なリスク・リターンのポジションが構築されます。
これは、ダウンサイドの幅がはるかに広い伝統的な株式配分とは対照的であり、図1は、この戦略の1年間の予想結果を例示しています。