金利見通し
米国:アンダーウェイト
米国経済の成長が今年上半期を通じて加速すると予想されるため、米国の金利についてはアンダーウェイトとしています。先行指標となる第1四半期のデータはすでに予想を上回っており、この勢いは年が進むにつれて労働市場にも波及すると見ています。
成長が改善するにつれ、 Fed(米連邦準備制度理事会)による利下げの織り込み回数にばらつきが生じやすくなることが想定されます。同時に、世界的にイールドカーブがスティープ化しており、米国債の長期ゾーンでリスク・プレミアムを押し上げています。これらを総合すると、今年の上半期にかけて米国の金利は緩やかに上昇するものと考えています。
欧州:ニュートラル
欧州の国債利回りについては、中立的なスタンスを維持します。低金利やドイツの財政刺激策に支えられ、域内の経済成長見通しは緩やかに改善しているものの、インフレ率は依然として目標を下回っており、今後も抑制された状態が続く見通しです。これには、本来米国市場向けだった商品が割引価格で欧州へ流入していることや、エネルギーコストの下落、ユーロ高といった複数の要因が影響しています。
ECB(欧州中央銀行)の当局者の多くは、政策金利が中立金利、あるいはそれに近い水準にあると示唆しており、当面はこの水準が維持されると予想しています。短中期の利回りはECBの政策によって安定的に推移する一方、イールドカーブは一定のスティープ化を見込んでいます。例えば、ドイツのインフラ投資や欧州全体の防衛費拡大に伴う国債発行の増加が、長期利回りの上昇圧力となる可能性が高いと考えています。
中国:ニュートラル
中国の金利については、今後数ヶ月間は中立的なスタンスを維持し、特に長めの年限においてイールドカーブがさらにスティープ化するとの予想を継続します。最新のインフレ指標には、すでにわずかな改善が見られ始めており、家計によるより積極的な資産再配分が、本土利回りの下支え要因になる可能性があります。一方で、中央銀行による比較的緩和的な金融政策や、積極的な流動性および資金調達コストの管理が、利回りの上昇を抑制するのに役立つと考えます。
日本:ニュートラル
高市早苗氏の選挙における圧倒的な勝利は、日本のマクロ経済環境に変化をもたらしました。自由民主党の圧勝により、高市首相は自らの政策課題を実行するための強力な負託を獲得しました。この政策課題は、主に経済成長の刺激と、高止まりする生活費への対応に重点を置いています。
政策変更や立法をより効率的に進められるようになったことで、市場関係者の間では政治的不安への懸念が和らぎました。これが日本の長期金利の顕著な低下に寄与しており、日本の政治情勢に対する信頼感の改善を反映しています。
高市政権は今後、一連の成長志向の施策を推進すると予想されますが、政治的安定が確保されていることで、債券市場や為替市場に大きな混乱を招くことなく、これらの取り組みを進める柔軟性が得られると見ています。しかし、日銀の利上げペースは緩慢です。この慎重な姿勢が続けば、2025年末に見られたような金利や為替のボラティリティ上昇が再燃する可能性があります。
全体として、日本の金利については中立的なスタンスを維持します。ただし、日銀が段階的に利上げを行うにつれてイールドカーブがフラット化すると予想し、カーブの長め年限でのポジションを選好しています。
英国:ニュートラル
英国債に対するこれまでの前向きな見通しは、台頭しつつある政治的リスクと、それが英国資産に及ぼす影響を考慮し、トーンを抑えたものへと変更しました。
BoE(イングランド銀行)は、労働市場の弱体化とインフレ低下を背景に、現在市場が織り込んでいる50ベーシスポイントを上回る利下げを行うと予想しています。しかし、与党・労働党内での党首選の可能性が不確実性をもたらしています。これが財政規律の緩和につながる恐れがあり、英国債市場の参加者にとっては重大な懸念事項となっています。
英国の脆弱な対外ポジションや、巨額の「双子の赤字」を補填するために海外投資家に依存している現状は、英国債の柔軟性をさらに制限しており、財政規律への信頼が損なわれた場合、より高いリスクにさらされることになります。
したがって、英国資産へのオーバーウェイト配分を縮小し、政治的リスクが後退するまでは、イールドカーブのスティープ化を狙う戦略を推奨します。
オーストラリア:オーバーウェイト
米国債との比較における相対的なバリュエーション戦略として、オーストラリア国債のオーバーウェイトを維持します。
経済成長の改善とインフレの高止まりを受け、RBA(オーストラリア準備銀行)は金融緩和姿勢から利上げへと急速に転換しました。その結果、オーストラリア国債のパフォーマンスは米国債を大幅に下回り、利回りは2022年以来の最高水準に達しています。年内の追加利上げも予想されていますが、労働市場のまちまちな状況や賃金伸び率の抑制を背景に、RBAは市場の利上げ観測に完全には応えられないと見ています。