金利見通し
米国:ニュートラル
米国の成長は減速しており、インフレ指標は予想を下回る結果となりました。しかし、年末にかけて関税による物価上昇がインフレを下支えすると予想しています。IFIはFRBが年内に利下げを行うと考えています。成長とインフレからの相反するシグナルが互いに相殺し、利回りはレンジ内での推移が続くと見ています。長期的には、米国の財政赤字に対する懸念がイールドカーブのスティープニング基調を維持すると見込まれます。
欧州:ニュートラル。
ECBは6月に中銀預金金利を2%に引き下げました。昨年6月以降、計200ベーシスポイントの利下げを経て、金利はユーロ圏の中立金利に合致する水準へと正常化されました。
その結果、これ以上の緩和には高いハードルがあると考えられます。2025年これまでのところ、成長と労働市場は比較的堅調です。ECBはまた、財政政策と労働市場によるサポートが貿易や地政学的不確実性による影響を軽減すると楽観的に見ています。
とはいえ、この不確実性はさらなる利下げの可能性を示唆しており、賃金上昇率とコアインフレ率が目標に整合的な水準に近いこともその背景にあります。短期金利市場で織り込まれているターミナルの金利1.65%は妥当な水準だと考えています11 。利下げ期待が完全に剥落すればデュレーション・エクスポージャーを積み増す好機となりうる一方、金利が1.5%を下回る展開は、コロナ前とは異なる財政環境を考慮すると可能性は低いと見ています。短期金利低下の可能性、債券供給の増加、グローバルなタームプレミアムの圧力は、今後もイールドカーブのスティープニングのサポート要因になると予想されます。
中国:ニュートラル
中国の5月の経済指標は、4月に続いて堅調さを示しました。両月ともに米国による145%の関税発動後にもかかわらず良好なパフォーマンスを記録しました。オンショア金利は、最近の利下げに表れている中銀のハト派スタンスにより安定しています。中国経済の底堅さを受けて、私たちは財政拡張の予想を下方修正しました。以前の予想よりも財政拡大が抑制される可能性があることは、長期債のパフォーマンスを支える要因となると考えています。
日本:ニュートラル
日本銀行は6月の会合で政策金利を据え置きましたが、これは市場の予想通りでした。植田総裁は先行きに慎重な見方を示し、短期的に政策変更のハードルが高いことを示唆しました。しかし市場はすでにこのメッセージを織り込んでおり、2025年末までにわずか14ベーシスポイントの利上げ、2026年末まででも合計32ベーシスポイントの利上げしか織り込まれていません12。
4月と5月に大幅に上昇した長期国債利回りは6月に安定しました。これは、財務省が20年債、30年債、40年債の発行削減を発表し、日銀も国債買入の縮小ペースを緩めるとしたことが背景です。短期ゾーンでの利上げ織り込み余地の限定、長期ゾーンでの需給バランスの改善により、今後はイールドカーブがややフラット化すると見られます。
英国:オーバーウェイト。
イングランド銀行(BoE)は、インフレ鈍化の流れに徐々に自信を深めており、労働市場が緩み始め、賃金上昇が抑制されている兆しが見られます。4月のコアインフレの急上昇は反転した可能性があり、長期的なインフレ期待も引き続き穏やかです。ポンド高も将来的にディスインフレ圧力として作用すると考えられます。
6月のBoE会合では、3人のメンバーが利下げに賛成票を投じたことで、これまでの四半期ごとの緩やかな利下げサイクルを超えたより迅速かつ深い利下げへの議論が進行していることが示されました。市場は依然としてターミナルの金利を約3.5%と見ており、これはBoEが中立と考える範囲の上限にあたります13。IFIは、長期ゾーンのフォワードレートが、米欧と比して絶対水準でも相対水準で見ても割安であると見ています。
豪州:ニュートラル
オーストラリア中央銀行(RBA)は5月にハト派的姿勢へ転換し、市場は比較的前倒しの利下げサイクルを織り込みました。2025年に残る5回の会合で累計78ベーシスポイントの利下げが市場で織り込まれており14、その後は2.87%のターミナルレートに向けてさらに20ベーシスポイントの利下げが想定されています15。国内経済指標はまちまちで、労働市場は底堅い一方、成長は鈍化し、インフレは緩やかになっています。
現在の市場価格は、公正かやや割高と見ており、比較的迅速な中立金利への回帰を織り込んでいます。ただし、インフレは緩やかになっているものの、労働市場の著しい弱さが確認されない限り、政策当局が3%を下回る利下げに踏み切る可能性は低く、短期金利低下の余地は限定的と見ています。長期フォワードは割安感があり、他の先進国と比べてイールドカーブがスティープな状況が続いています。10年債利回りが米国を下回る水準で取引されているため、長期ゾーンのさらなるアウトパフォーマンス余地は限られるかもしれませんが、豪州の堅調な財政状況と制度的安定性により、米国債に対してプレミアムを維持すると見られます。