ブロックチェーン
足元の基準価額下落の背景と今後の見通し
足元の基準価額下落の背景
2025年11月に入り、世カエルの基準価額が14.8%下落しています(2025年11月18日現在)*。同期間の世界株式の0.9%の下落と比較すると、大きく下落していますが、年初来では世カエルの方がリターンが高く、設定来では世界株式を大きく上回っています。
足元の下落の背景は、主に以下の3点が複合的に影響したと考えています。ブロックチェーン関連株式は変動性が相対的に高い傾向にありますが、長期的な成長ストーリーに変化はなく、この要因が剥落すると株価の成長が期待されると考えています。
下落の背景① 暗号資産市場の調整
- 2023年後半以降、ビットコインは、米国での現物型ビットコインETFの上場や暗号資産に好意的な米トランプ政権の誕生などを材料に変動しながらも上昇傾向を辿ってきました。
- 足元、ビットコイン(米ドルベース)は、2025年10月に史上高値の12万米ドル台をつけた後、26.2%下落しました(同期間の世カエルは、8.4%下落)*1 。
- 背景としては、以下の材料などから、投資家のリスク回避姿勢が高まったことが挙げられます。
①貿易摩擦:米国が中国のレアアース規制に対抗し、中国に100%関税を課すとの措置を発表したこと(後に撤回)
②信用不安:10月後半に米地銀に対する信用不安が浮上したこと
③金融政策:米金融政策スタンスに対する不確実性に加え、米高官から追加利下げに消極的な発言が出たこと - その結果、暗号資産関連の銘柄にも投資しており、世界株式と比較するとビットコインとの相関が高い世カエルが、相対的に大きく影響を受けました。
下落の背景② AI関連株式の下落
- 市場では、メタ・プラットフォームズ(米国)やオラクル(米国)によるAIデータセンターなどの巨額の設備投資計画が報じられると、借入による債務増加や収益化の不透明感が警戒され、10月後半からAI関連銘柄が軟調に推移しています。
- 世カエルで保有するビットコインのマイニング事業を行うマイニング・オペレーション企業の多くは、大規模な低コスト電力の調達能力を活用し、AIやHPC(高性能コンピューティング)市場への参入を図っています。
- マイニング・オペレーション企業はこれまでAI関連銘柄として大きく上昇していた側面もあったことから、利益確定の売りを伴って下落し、世カエルの基準価額の下落要因となりました。
下落の背景③ 保有銘柄の個別要因
今回の下落局面で固有の材料により下落したブロックチェーン関連企業に関して説明いたします。
クリーンスパーク
- 2025年第3四半期の決算では、売上、利益ともに市場予想を大幅に上回ったほか、ビットコインの保有量も順調に拡大させ株価は大きく上昇していました。
- ただし、11月の大型転換社債発行による希薄化懸念やビットコイン価格の下落を受けて、株価は調整しています。
ビットファームズ
- 同社は9月以降のビットコイン価格の急騰やAI、HPC事業への転換のための資金調達が好感され、株価は大きく上昇していました。
- 一方、2025年第3四半期の決算では、売上、利益ともに市場予想を下回り、ネガティブサプライズとなったことから、株価は調整しています。
- ブロックチェーン関連企業の中には、ビジネスの黎明期にあるもの、新しいビジネスに取り組んでいるものもあるため、株価の変動性が高い銘柄があります。
- 世カエルが連動を目指すインデックス*1では、デジタル資産運用の専門家であるコインシェアーズ社*2が、これらを踏まえつつ、企業の成長性、財務状況、競争優位性、ビジネスの持続可能性などを徹底して調査・分析することで、長期的な成長の獲得を目指しています。
ブロックチェーン関連株式の今後の見通し
短期的にはボラティリティの上昇が予想される一方、中期的には、①ブロックチェーン技術が世界的な金融インフラに活用される、②さまざまな分野で、新しいサービスや産業を生み出す、ことなどから高い成長が期待されると考える
- 今後の見通しとして、短期的にはマクロ環境と暗号資産市場のセンチメント次第でブロックチェーン関連株式は変動性の高い展開が続くと予想されます。
- 中期的には、米国だけでなく欧州や日本においても、国家や企業両方で、ブロックチェーン技術を活用した金融インフラの構築が進められています。特に米国においては、デジタル資産を国家戦略の最重要項目の1つとしてあげており、米ドルの覇権を維持するために、価格が米ドルに連動する暗号資産「ステーブルコイン」の普及を促す政策を打ち出しています。
- このように、ブロックチェーン技術が世界的に金融決済に活用されることで、ブロックチェーン関連企業のビジネスの拡大も期待されます。
- 世カエルでは、ブロックチェーン関連事業から生み出される収益の重要性や持続可能性を評価して企業を選定し、マイニング、取引所、半導体、ソフトウェアなど幅広いブロックチェーン関連銘柄を投資対象としています。世カエルが連動を目指すインデックスは、四半期ごとのリバランスにより、急速に進化する業界に対応する仕組みを備えています。新しいサービスや産業を生み出しているブロックチェーン関連企業にも投資し、分散されたポートフォリオを通じて、幅広い成長機会を捉えることを目指します。