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米国のベネズエラでの行動に対し、市場は様子見の姿勢

米国のベネズエラでの行動に対し、市場は様子見の姿勢
〔要旨〕
  • 株式市場:株式市場はベネズエラ情勢のニュースを概ね落ち着いて受け止め、地政学的な不確実性がマクロ環境の一部となったと認識しているようだ
  • 石油価格:世界の石油供給を増やす可能性があるイベントにもかかわらず、米国の介入直後の石油価格は驚くほど堅調に推移した
  • 地政学と市場:目立った地政学的イベントは投資家の神経を逆なですることが多いが、市場への影響は投資家が想定したほど大きくは出ていない
これが石油にとってどのような意味を持つか?

地政学と市場
 

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束及び、米国のトランプ大統領による同国を暫定的に「運営」するとの発言は、大きな地政学的疑問を投げかけ、不確実性をもたらしました。しかし、株式市場はこのニュースを概ね落ち着いて受け止め、地政学的な不確実性がマクロ環境の一部となったと認識しているように思われます。

S&P500種指数は、主に米国のエネルギー企業に牽引され、月曜日に 0.6%上昇しました1。防衛関連企業が顕著に上昇し、欧州のストックス600指数は0.9%の上昇で取引を終えました2。日本の日経平均株価は、半導体関連企業に牽引され、約3%上昇しました3

 

これが石油にとってどのような意味を持つか?

直近の注目は主に石油市場と、トランプ大統領が、米石油企業がベネズエラの石油インフラ改善に数十億ドルを投じるだろうと発言した点に集まりました。2024年時点で、ベネズエラは世界の石油埋蔵量の17.5%を占める一方で、石油産出量は世界のわずか1.0%に過ぎませんでした4

これらの埋蔵石油が採掘されれば世界の石油供給に大きな影響を与える可能性があることから、このニュースにより世界の石油価格が押し下げられる可能性が取りざたされました。しかし、米国による介入直後にもかかわらず、石油価格は驚くほど堅調に推移しました。

これにはいくつかの理由が考えられます:

  • ベネズエラ情勢と米国の関与には多くの不確実性が存在すること。特に、米国が本当に埋蔵石油の行方を左右できるのかは未知数であること。
  • 仮に米国石油企業がこれらの埋蔵石油の採掘許可を得たとしても、特に不確実性に鑑みて、ベネズエラでの採掘の決断には、石油価格がより高くなるまで待たねばならない可能性があること。
  • 未開発油田から石油生産に至るまでには数年を要する可能性があること。
  • ベネズエラはOPEC加盟国であることから、増産可能性に制約が生じる恐れがあること。現時点ではベネズエラはOPECプラスの産出目標の対象国から外れていますが、同国の産油量が大幅に増えれば状況は変化するかもしれません。また産油量が増えた場合でも、サウジアラビアやロシアなど他のOPEC主要産油国の減産によって相殺される可能性が考えられます。
  • (私たちが2026年市場見通しの中で予想しているように)世界経済が加速した場合、石油需要の増加が産出量の増加を少なくとも部分的には相殺する可能性があること。

総じて、ベネズエラの石油産出量の増加は世界の石油市場に影響を与える可能性がありますが、その影響が現れるのは数年先となるでしょう。その場合、価格への下落圧力となって現れる可能性はあるものの、不確実性に鑑みると、必ずしもそうなるとは限りません。一方で、世界経済の加速が石油需要を押し上げ、価格を下支えすることが予想されます。
 

地政学と市場

改めて留意すべきは、目立った地政学的イベントや軍事衝突が投資家の神経をしばしば逆なでする一方で、投資家が予想したほど大きな市場への影響は出ていないという点です。実際、地政学リスク指数が急上昇してから12か月後の市場は良好なパフォーマンスを示してきました。

1962年のキューバ危機から2023年のイスラエル・パレスチナ紛争まで、地政学リスク指数がピークに達した過去の11件のイベントについて、ピークから12か月後のS&P500種指数のリターンを分析しました。ほとんどのケースにおいて、地政学的リスクのピークの翌年に株式市場は上昇し、11件のイベント後の平均上昇率は15.3%でした5

従って戦争、軍事衝突、歴史的イベントが起こった際は、一見リスクが高まり、投資計画を見直す絶好の機会のように見えるかもしれませんが、長期的な視点を維持することこそが肝要だと考えられます。

  • 1.

    出所:ブルームバーグL.P. 、2026年1月5日

  • 2.

    出所:ブルームバーグL.P. 、2026年1月5日

  • 3.

    出所:ブルームバーグL.P. 、2026年1月5日

  • 4.

    出所:2025年エネルギー研究所 世界エネルギー統計レビュー

  • 5.

    出所:経済政策不確実性、2024年12月31日、カルダラ・イアコヴィエッロ地政学リスク指数は、シカゴ・トリビューン、デイリー・テレグラフ、フィナンシャル・タイムズ、グローブ・アンド・メール、ガーディアン、ロサンゼルス・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、USAトゥデイ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストの10紙の電子アーカイブにおける自動テキスト検索結果を反映したもの。カルダラ・イアコヴィエッロは、各紙に掲載された、負の影響をもたらす地政学的イベントに関連する各月の記事数を(ニュース記事総数に占める割合として)カウントし、指数を算出。各地政学的イベントと、地政学リスク指数のピークから12か月後のリターンは以下の通り:1962年のキューバ危機(35.3%)、1967年の第3次中東戦争(6日戦争)(13.3%)、1973年の第4次中東戦争(ヨム・キプール戦争)(-28.8%)、 1979-1989年のアフガニスタン戦争(8.2%)、1982年のフォークランド紛争(49.1%)、1990 年のイラクによるクウェート侵攻(26.9%)、 1991年の湾岸戦争(22.6%)、2001年の 9.11同時多発テロ(-20.4%)、2003年の米国によるイラク攻撃(35.0%)、2022年のロシアによるウクライナ侵攻(-6.7%)、2023年のイスラエル・パレスチナ紛争(34.1%)

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