Global markets in focus

注目すべき4つの市場シグナル

注目すべき4つの市場シグナル
〔要旨〕
  • 社債スプレッド:縮小しているが、これは株式の急速な下落に備える際の市場の動きとは異なると考えられる
  • 米ドル下落:秩序だった形での下落にとどまっており、デンマークの年金基金による米国債の売却計画は統計的に重要な規模ではない
  • インフレ期待:2.5%と、FRBが物価安定とみなす範囲内に依然として収まっている
注目すべき4つの市場シグナル

日本の利回りが急上昇

ボラティリティを乗り切る

注目の日程
 

飛行機の中でこのウィークリー・マーケット・コメンタリーを執筆するのは、ノイズキャンセリング・ヘッドホンがあると格段に楽になります。スイッチを入れればあらゆる雑音が消え去り、重要なことに集中できます。今の市場がまさにそうです。不協和音は耳をつんざくほど大きく、投資家は重要な市場シグナルと、単に緊急性があるように聞こえるだけのものを区別するのに苦労しています。

今年だけでも、私たちはベネズエラ、イラン、米連邦準備理事会(FRB)の独立性をめぐる懸念、さらには米国によるグリーンランド取得の可能性に至るまで、様々なテーマを経てきました。地政学リスク(GPR)指数は高水準で、なお上昇しています1。とはいえ歴史は、地政学リスクのピークが売りのシグナルではなく、しばしば買いの機会となってきたことを思い起こさせます2。例えば「解放の日」後に投げ売りした投資家は、S&P 500種指数が過去30年間で3番目に上昇した2025年4月9日を逃し、痛い目をみることで教訓を得ました3。最高の取引日を逃すとどうなるかは、よくお分かりでしょう。

では今、何に注意を向けるべきでしょうか?市場の声に耳を傾けることです。

 

注目すべき4つの市場シグナル
  1. 社債スプレッドは縮小しました4。そうです、縮小したのです。これは通常、株式の急速な下落に備える際の市場の動きとは異なります。
  2. 輸送株は引き続き上昇しており5、米国経済の勢いが強まりつつある可能性を示唆しています。
  3. 米ドルは下落しましたが、秩序だった目立たない動きにとどまっています6。デンマークの年金基金による米国債の売却計画が話題になりましたが、40兆ドル規模の市場に対して1億ドルに過ぎず、統計的に重要な規模ではありません7
  4. 3年先のインフレ期待が、2.25%から2.50%超に上昇しました8。これは注目に値します。この動きは、欧州向け関税への懸念や、FRBの独立性をめぐる政治的ノイズを反映している可能性があります。ただし、FRBのリサ・クック理事が続投する可能性が高いことから、こうした懸念の一部は和らぐかもしれません。インフレ期待の上昇は、FRBによる今年中の利下げが見込めなくなったり、さらに悪いことに引き締めが必要になったりした場合に、市場のリーダー(勝ち組)を正当に入れ替え得る唯一の要因となります。とはいえ2.5%のインフレ期待は、依然としてFRBが物価安定とみなす範囲内にあり、赤信号が点滅している状況というわけではありません。
日本の利回りが急上昇

世界がダボス会議(世界経済フォーラム)に注目している間に、日本の国債利回りは、財政支援拡大への期待を背景に急上昇しました。私たちはこれを、日銀の対応が後手に回りつつある中で、今後はより積極的な引き締めを行う可能性が高いことの表れと解釈しています。そうなれば円が安定し、2026年が進むにつれて米ドルが貿易相手国通貨に対して下落する余地がある、と考える私たちの見方を裏付け得ると考えます。

ボラティリティを乗り切る

投資家は、地政学的、政治的、金融的な混乱が起きる度に神経質になることも、経験豊かな旅人がするように、ノイズキャンセリング・ヘッドホンをつけて目的地に集中することもできます。私たちは、後者のスタンスを保つ方が良いと考えます。

堅調な経済基盤9、比較的安定したインフレ10、そして欧州から中国、米国に至るまで世界的な財政政策支援の可能性が高まりつつあることは、株式にとって前向きな環境を形成していると私たちは考えています。

注目の日程

公表日

国・地域

指標等

内容

1月26日

日本

景気先行指数(11月)

将来の経済活動の指標

1月27日

米国

S&P/ケース・シラー住宅価格指数(11月)

住宅市場のトレンド

1月28日

米国

米連邦公開市場委員会(FOMC)会合

金融政策の方向性

1月28日

カナダ

カナダ銀行金融政策決定会合

政策決定

1月29日

米国

生産性(第3四半期確報値)、貿易収支(11月)、個人所得・支出(12月)

経済効率、貿易および所得の動向

1月29日

カナダ

貿易収支(11月)

対外収支

1月29日

日本

失業率(12月)、鉱工業生産(12月)

労働市場と生産高

1月30日

米国

生産者物価指数(12月)、シカゴ購買担当者景気指数(PMI)(1月)

インフレと企業業況

1月30日

カナダ

国内総生産(GDP(11月)

経済成長

1月30日

ユーロ圏

GDP(第4四半期速報値)、失業率(12月)

成長と労働市場

  • 1.

    出所:ブルームバーグL.P.、経済政策不確実性、2026年1月22日。 カルダラ・イアコヴィエッロ地政学リスク指数は、10紙(シカゴ・トリビューン、デイリー・テレグラフ、フィナンシャル・タイムズ、グローブ・アンド・メール、ガーディアン、ロサンゼルス・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、USAトゥデイ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト)の電子アーカイブにおける自動テキスト検索結果を反映したもの。カルダラ・イアコヴィエッロは、各紙に掲載された、負の影響をもたらす地政学的イベントに関連する各月の記事数を(ニュース記事総数に占める割合として)カウントし、指数を算出。地政学リスク指数のピークは1962年10月、1967年6月、1973年10月、1979年12月、1982年6月、1990年8月、1991年2月、2001年10月、2003年3月、2022年3月、2023年10月に見られた

  • 2.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日(脚注1を参照)。注1に記載した各地政学リスク指数のピーク日から1年間のS&P500種指数の平均リターンは15.40%。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません

  • 3.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日。S&P500種指数は2025年4月9日に9.5%上昇し、2008年10月13日(11.6%上昇)、2008年10月28日(10.4%上昇)に次ぐ上昇率を記録した。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません

  • 4.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日、ブルームバーグ米国社債指数のオプション調整後スプレッド(OAS)に基づく。OASとは、(発行体による繰上償還あるいは買戻し等の)組込みオプションの影響を調整した上で、債券がリスクフリー・ベンチマークに対してどの程度の追加利回りを提供するかを示す、債券の指標

  • 5.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日、ダウ・ジョーンズ輸送株平均™(輸送業界に属する米国大手有名企業の株価動向を代表する、20銘柄からなる価格加重平均指数)のリターンに基づく。同指数は、2026年1月22日までの5日間で1.53%上昇した。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません

  • 6.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日、貿易加重通貨バスケットに対する米ドルの価値を測定する、米ドル指数に基づく

  • 7.

    出所:ブルームバーグ、米国財務省、アカデミカーペンション、2026年1月22日

  • 8.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日、米3年物国債インフレブレークイーブン金利に基づく。ブレークイーブンインフレ率は、一般的な国債利回り(名目)と同じ満期の物価連動国債(TIPS)の利回りの比較により算出される、市場が導き出す将来の予想インフレ率

  • 9.

    出所:アトランタ連銀、アトランタ連銀GDPNowのGDP予測に基づく

  • 10.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年1月22日、脚注8を参照

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MC2026-012