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欧州バンクローン市場、月次アップデート 2022年6月

欧州バンクローン市場、月次アップデート 2022年6月
2022年5月の欧州バンクローン市場は、相対的に高く安定したインカムがプラスに寄与したものの、月間トータル・リターンは▲2.44%となりました1

Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index(以下「CS WELLI」または「指数」)の2022年5月のトータル・リターンは▲2.44%となり、内訳は価格変動が▲2.81%、金利収入が+0.37%となりました。年初来のリターンは▲3.09%となっています1

5月の欧州バンクローン市場は、エネルギーおよび食料品価格の高騰に伴い、ユーロ圏のインフレ率が8.1%(4月は7.4%)と過去最高を更新したこと、欧州中央銀行(ECB)による積極的な金融引き締め政策への懸念が高まったことを背景に、引き続き弱含む展開となりました。しかしながら、市場の関心は、インフレ自体というよりも、高まるリセッションリスクに変わりつつあります。長期化するウクライナ紛争、中国のゼロコロナ政策やロックダウンによる世界経済への影響も、引き続き大きな注目点となっています。

5月の欧州バンクローン市場の平均価格は2.67bp下落して94.13となり、1998年に指数の計算が開始されて以来、11番目に悪いパフォ-マンスとなりました。

流通市場の値動きが大きいため新規発行はほとんど見られず、5月の新規発行額はわずか4億ユーロとなりました。資金調達を行ったのは、足元の厳しい経済環境下にもかかわらず成長力が維持できると見られる教育関連セクターの英国の発行体で、こちらの案件が5月の主な新規発行となりました。

新規発行予定額は、今のところ300億ユーロを超える規模を維持しています。これらの案件は主として、プライベート・エクイティが出資者となり、2021年後半から2022年前半に引き受けられたものです。足元の市場環境を考慮し、バンクローンのアレンジャーは取引を開始するタイミングを待っています。

CLO新規発行市場も低調となりました。5月の新規CLO発行額は20億ユーロとなり、2月及び3月に記録した40-50億ユーロを大幅に下回りました。CLOやCLOエクィティの販売が低調となったことが、CLOの新規発行を抑制する要因となりました。直近の案件では EURIBOR+120bp程度のスプレッドでCLO(AAA格)が新規発行された一方で、流通市場でのスプレッドは拡大し続けており、今後さらに拡大が見込まれます。

年初来のCLO累計発行額は約140億ユーロで、前年同月時点での約125億ユーロを上回って推移しています:ローン価格が下落したことで、ウェアハウスのランプアップがあまり進んでいないマネジャーはこの機会にローンの組み入れを進めており、すべて流通市場を使って短期間に組み入れるような取引が見られました。

月末のCS WELLI の額面価格合計(市場規模)は約4,090億ユーロとなり、年初来で6%増加しました1

リターン

5月のCS WELLIのセクター別リターンは、いずれのセクターもマイナス・リターンとなりました。原油価格上昇の恩恵を受けたエネルギーが▲0.51%と最も高いパフォ-マンスとなった一方で、最も低いパフォ-マンスとなったのは食品・製薬の▲5.90%、続いて不動産が▲3.37%、ゲーム/レジャーが▲3.23%となりました

格付け別では、5月は「BB」格が▲1.83%と最も高く、「B」格が▲2.53%1 、「CCC」格が最も低い▲5.55%となりました1

5月末におけるCS WELLI構成銘柄の平均価格は、前月末比2.67ユーロ下落し、94.13ユーロでした1 。CS WELLIの3年ディスカウント・マージンは5.74%で、前月末比0.97%拡大しました1

5月のクレディ・スイス欧州ハイ・イールド債券(Credit Suisse Western European High Yield)指数は▲1.08%のリターン(年初来では▲9.11%)となり、スプレッド・トゥ・ワーストは5.10%でした3

ファンダメンタルズ

5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年同月比0.61%上昇して+8.1%、コアインフレ率は0.28%上昇して+3.75%となり、いずれも予想値を上回りました。国別では、ドイツが0.9%上昇して+8.7%となり、予想の+8.1%を大幅に上回ったほか、多くの国々のインフレ率が予想値を上回りました。

ユーロ圏では景気の減速が見られます。5月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)は、製造業の生産高がわずかに改善したものの、サービス業が低下したことにより、0.9ポイント低下して予想値を下回る54.9となりました。国別では、ドイツは上昇しましたが、周辺国やフランスで低下しました。将来の生産高の見通しは低下しました。価格上昇圧力とサプライチェーンの混乱が依然として顕著であるものの、5月には供給の時間が改善するなどやや緩和の兆しも見られました。

今回のPMIは、コロナ禍後の経済再開による景気拡大が一段落すれば、これまで堅調なサービス業がやや停滞することを示唆しています。全体としては、PMIは当面は堅調と思われるものの、今後モメンタムが鈍化すると思われます。経済再開の恩恵でサービス業の回復が見られるものの、インフレの高止まりによる生活費の上昇で家計がサービスへの消費を拡大する余地は少ないと思われます。また、製造業はまだ受注残によって生産を拡大できるものの、新規需要が鈍化すると生産ペースは下落すると思われます。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、市場が今後数四半期において織り込んでいる利上げを裏付けましたが、ECBが政策金利の利上げペースをさらに早め、利上げ幅を拡大する可能性を残しました。次回のECB定例理事会は6月9日に開催されます。インフレが予想以上に高進していることから、市場では2022年末までに1%超の利上げが想定されています。今のところ利上げは、7月以降の定例理事会で毎回実施されると見られています。また、市場では0.25%ではなく、0.5%の利上げがいつ行われるかに注目しています。

5月末現在、S&P欧州レバレッジド・ローン指数における過去12カ月のデフォルト率(額面ベース)は0.64%でした4 。過去平均は年3.15%です4

指数のトータルリターン(%)

脚注

  • 1

    Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index (CS WELLI)、ユーロ建てヘッジ付き、2022年5月31日現在。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。指数に直接投資することはできません。

  • 2

    ストックス欧州600指数およびS&P500指数は、2022年5月31日現在。

  • 3

    Credit Suisse Western European High Yield Indexはユーロ建て、2022年5月31日現在。

  • 4

    S&P European Leveraged Loan Index。過去の平均デフォルト率は、2007年6月1日から2022年5月31日までを対象に集計しています。

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