欧州バンクローン市場、月次アップデート 2023年11月
2023年10月の欧州バンクローン市場は、相対的に高く安定したインカムがプラスに寄与したものの、価格変動がマイナスリターンとなり、月間トータル・リターンは-0.33%となりました
Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index(以下「CS WELLI」または「指数」)の2023年10月のトータル・リターンは-0.33%となり、内訳は価格変動が-1.06%、金利収入が+0.73%でした1 。10月末時点のCS WELLIの年初来トータルリターンは+10.1%となり、平均価格は年初の91.56から、95.77ユーロに上昇しました。
10月の報道の中心はイスラエルとハマスと紛争勃発に関するものでした。ブレント原油は紛争勃発直後に10%近く急騰し、1バレル=95ドル前後まで上昇しました。しかしながら、紛争が周辺国に拡大するリスクが低下するにつれ、原油価格の上昇は鈍化し、足元では紛争前の水準を下回って推移しています。10月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)は前年同月比2.9%の上昇にとどまり、2023年7-9月期のユーロ圏GDP成長率(速報値)は前期比-0.1%となりました。中東情勢の不透明感が高まったことなどを背景に、ストックス欧州600指数が月間で3.6%下落するなど、欧州のリスク資産価格は概ね弱含む展開となりました。
一方、足元では、新規発行バンクローンのパイプラインは引き続き堅調です。10月のバンクローン新規発行額は71億ユーロとなって9月の47億ユーロから増加し、年初来で最も活況となりました。好調な新規発行の主たる原動力となったのはCLOからの旺盛な需要でした。
10月のCLO市場は、新規発行額が31億ユーロとなり、引き続き活発でした。新規発行額は前年同月比で約50%増加し、9月の32億ユーロとほぼ同水準でした。年初来のCLO新規発行額は55件で210億ユーロとなり、2022年(54件で214億ユーロ)とほぼ同水準となっています。CLOの新規発行は2023年の通年予測を上回って推移しており、バンクローンの新規発行と比べて堅調に推移しています。CLOの新規発行は2022年との比較でほぼ横ばいですが、バンクローンの新規発行(リファイナンス案件を含む)は約11%減少して280億ユーロにとどまっています。
バンクローンの新規発行はここ2カ月程度堅調であるものの、年末に向けて減速すると思われます。ほとんどの銀行が年末までの引受を終了しており、新たな企業買収は改善が見られるものの引き続き限定的です。
リターン:2023年10月
10月のCS WELLIのセクター別リターンでは、運輸が+0.18%と最も高いパフォ-マンスとなり、続いて金融の+0.16%、ゲーム/レジャーの+0.09%となりました。また不動産が-1.28%と最も低いパフォ-マンスとなり、続いて耐久消費財の-1.22%、金属/鉱業の-1.06%となりました1 。
10月のCS WELLIの格付別リターンでは、 「BB」 格が+0.25%と最も高く、「B」格が-0.54%、 「CCC」格が最も低い-0.83%となりました1。
10月末におけるCS WELLI構成銘柄の平均価格は前月末比約1.05ユーロ下落し、95.77ユーロとなりました1。CS WELLIの3年ディスカウント・マージンは5.39%となり、前月末比0.38%拡大しました1。
10月のクレディ・スイス欧州ハイ・イールド債券(Credit Suisse Western European High Yield)指数は-0.65%のリターンとなり、スプレッド・トゥ・ワーストは5.08%、イールド・トゥ・ワーストは8.43%となりました2。
ファンダメンタルズ
10月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)は前年同月比2.9%(2022年10月の10.6%から約8%ポイント低下)の上昇にとどまり、市場予想を下回りました。コアインフレ率も4.2%に低下し、市場予想通り、2022年7月以来の低水準となりました。ここ数カ月のエネルギー価格の大幅な低下によって、インフレ率全体が急速に低下しています。エネルギー価格のインフレ率の低下は、主にガスと電気料金の大幅低下に伴うベース効果によるものです。
予想通り、欧州中央銀行(ECB)は10月の定例理事会で、すべての政策金利を据え置きました。このため中銀預金金利は4.0%にとどまり、2022年7月以来で10会合連続となった利上げが一旦休止されました。ECB総裁は、政策金利を据え置くことと、今後の金融政策はデータ次第であることを強調しました。市場では、ECBの利上げサイクルは終了したとのコンセンサスが形成されています。
2023年7-9月期のユーロ圏GDP成長率(速報値)は前期比0.1%減となり、市場予想(0.0%)をやや下回りました。アイルランドの成長率(前期比1.8%減)がユーロ圏の成長率に対して0.07%ポイント減の寄与となりました。また、イタリアの成長率が予想を下回った一方で、フランスとスペインは予想通り、ドイツは予想を上回りました。
各セクターやユーロ圏各国で経済活動の減速が見られます。雇用者数の伸びはやや鈍化しており、前述の通り、インフレは減速しています。ECBは2%のインフレ率目標達成に引き続き注力しつつ、景気の減速を注視しています。金融引き締めによって製造業そして今ではサービス業の需要が減退しています。
10月末現在、モーニングスター欧州レバレッジドローン指数における過去12カ月のデフォルト率(額面ベース)は1.26%でした3。過去平均は年2.90%となりました3 。
G2023-11-008
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