グローバル・ビュー

【臨時レポート】FRBが大規模金融緩和の第2弾を発動

Invesco Mountain

景気が大幅に悪化する観測が台頭する中、米国株は続落

コロナウイルス感染拡大に伴う社会的・経済的影響が拡大する中、FRB(米連邦準備理事会)は3月23日に臨時のFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、15日公表の第1弾に続く大規模な経済対策の第2弾を公表しました。FOMCでは、国債や住宅ローン担保証券(MBS)を、当面、制限を設けずに「必要なだけ」購入する方針を明らかにしたほか、購入対象の商業用不動産ローン担保証券への拡大、新発債・既発債の購入、4年間の企業向けつなぎ融資を実施する制度の創設などが決定されました。このFRBの決定は、①米国内の感染者数の増加が加速したことでより多くの州で外出禁止令が発令され、実体経済の悪化ペースがこれまでの想定を上回る状況になってきたこと、➁社債利回りの急激な上昇や現金への選好の高まりなど、金融市場の資金仲介機能が損なわれる事態が生じていること、の2つに対応した措置でした。FRBが社債の購入などで企業のファイナンスを直接サポートするという強力な体制を敷いた点は、今後の金融市場の安定につながる短期的な政策として高く評価できます。
米国株式市場でもFRBの今回の措置が株価にとってのプラス材料として評価されたと考えられますが、全米でのコロナウイルス感染者が4万人を超える中、全米の人口の約半数を擁する15州以上で外出禁止や在宅勤務の義務化等の措置が導入されるなど、実体経済の落ち込みがより深刻化するというマイナス材料を相殺することはできませんでした。実体経済の見通しが大幅に悪化している点については、セントルイス連銀のブラード総裁が、22日に実施された電話インタビューにおいて、「今後全米の失業率が30%に上昇して4-6月期の国内総生産(GDP)の水準が半減してもおかしくない」という見方を示したことが象徴的です。ブラード総裁は大規模な財政政策パッケージの成立を呼びかけており、その発言には、あえて極端なシナリオの可能性を示すことで政治家の決断を促す意図があったとみられますが、この発言が衝撃的であったことに違いはありません。財政政策パッケージについては、1~2兆ドル(GDP比で5~10%程度)の規模を軸として与野党交渉が進んでいますが、23日中に決着がつかなかったことも株価の足を引っ張りました。S&P500種指数は前日比で2.9%下落し、2月21日につけた過去最高値からの下落率は33.0%に達しました。米国社債市場における投資適格債利回りと米国債利回りのスプレッドも開いたままであり、FRBによる今回の措置が社債市場の安定化をもたらすまでにはしばらく時間がかかると思われます。
もっとも、米国債市場ではFRBによる無制限の資産購入方針が債券高につながっており、10年物米国債利回りは20日の0.85%から23日には0.79%に低下しました。また、ユーロドル市場でも、3月10日以降続いてきたユーロ安ドル高の動きが23日にはユーロ高に反転しており、金融市場の正常化に向けての動きが徐々に出始めています。また、18日にECB(欧州中央銀行)が公表した資産購入プログラムの強化や、先週から続く欧州主要国による財政刺激策の発表も急激なドル高に歯止めをかけたとみられます。
欧米金融当局が持てる手段を積極的に活用して景気の安定に努める中、グローバル金融市場では、①コロナウイルスの感染拡大と移動制限措置などの対応策実施に伴う各国景気見通しの悪化、➁米国など主要国の財政政策の行方、が焦点になると思われます。米国の財政パッケージについては、まだ与野党間で合意されていませんが、経済が危機的な状況にあるという認識が与野党で共有されていることから、法案は早晩成立すると見込まれ、それは株式市場にとってはプラス材料になるとみられます。
最後に、日本市場については、欧米の主要国と比較すると日本でのコロナウイルス感染者増加がかなり抑制されているという点が世界的に注目され始めています。世界的なドル高傾向が継続していることで円安ドル高が進行してきたことも、日本の株式市場にとってはプラス要因です。日本の株式市場が欧米の動向に左右されやすい状況は今後も変わらないと思われるものの、今後のコロナウイルス感染者数の状況次第では、株価のボラティリティが欧米市場よりも低めになる可能性があると考えられます。

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