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オルタナティブ投資:投資家の目的に沿ったオルタナティブ・ポートフォリオの構築を可能にする成果重視のアプローチ

投資家の目的に沿ったオルタナティブ・ポートフォリオの構築を可能にする成果重視のアプローチ

ニール・ブランデル

ヘッド・オブ・グローバル・クライアント・ソリューションズ & オルタナティブ・ソリューションズ

ジェフェリー・ベネット

シニア・ポートフォリオ・マネジャー 兼 ヘッド・オブ・マネジャー・セレクション

ジャコブ・ボルビッジ

シニア・ポートフォリオ・マネジャー 兼 ヘッド・オブ・インベストメント・リサーチ

投資家が資産の成長や、分散効果、インカムの向上を図ろうとする中で、オルタナティブ資産は機関投資家のポートフォリオにおいてますます重要な要素となってきています。オルタナティブは有力な投資ツールですが、その特性やポートフォリオへの影響はしばしば誤解されていると考えています。

多くの機関投資家は、オルタナティブ資産をポートフォリオの中の独立した資産クラスとして捉えている一方、弊社ではオルタナティブ資産には、独自のリスクとリターンの源泉を有する様々なタイプの資産が含まれていると捉えています。プライベート市場のオルタナティブ資産は拡大を続けていますが、市場規模の拡大と複雑化により、この市場を扱うことがより難しくなってきています(図1)。

資産配分におけるファクターに基づくアプローチは、予測されるリスク、リターン、およびポートフォリオの資産間の相関関係の理解に繋がります。このような分析から、投資目的を達成するため、ポートフォリオ特性を向上させるためのオルタナティブ資産を含む、より効率的なポートフォリオ配分を決定することが可能になります。

図1:オルタナティブ - 劇的なポートフォリオの変化

投資家が資産の成長や、分散効果、インカムの向上を図ろうとする中で、オルタナティブ資産は機関投資家のポートフォリオにおいてますます重要な要素となってきています。オルタナティブは有力な投資ツールですが、その特性やポートフォリオへの影響はしばしば誤解されていると考えています。オルタナティブ資産への配分が増大するにつれ、機関投資家は、オルタナティブ資産のリスクやリターンの源泉について深堀りし、投資家の求める投資成果や制約条件に沿って保有資産の調整をするなど、オルタナティブ投資についてより詳細に理解する必要があります。

Preqinの「Alternatives in 2020」によると、オルタナティブ資産の規模は、2008年以降3倍以上に拡大しており、運用資産は3.1兆ドルから2019年末には10.3兆ドルに増加しています。この成長は今後も続く可能性が高く、2023年までに14兆ドルに達すると考えられています。1

機関投資家はオルタナティブ資産への配分を劇的に増加させています。Willis Towers Watsonの「Global Pension Assets Study 2020」によると、世界最大級の年金基金のオルタナティブ資産の配分率は、1999年の約6%から現在では平均23%に上昇しています2 。Preqinの調査では、調査対象となった投資家の84%が、今後5年間にオルタナティブ投資を拡大する予定であることが確認されています。3負債目標を達成するため、6%~7%のリターン獲得を狙う機関投資家が、伝統資産におけるリターンの低下を予測していることから、ここ数年間でオルタナティブ資産への投資が加速しています。多くの場合は、プライベート・エクイティ、プライベート・デット、不動産への直接投資など、流動性の低いオルタナティブ資産を検討しています。一般的にこれらのオルタナティブ資産は、パブリック市場の資産よりも高いリターンを生み出すことが特徴です。

プライベート市場の資産は、多くの場合、優秀な経営陣により、企業価値が向上され、より高いリターンを創出することが期待できます。未上場企業の経営陣は、会社に対して非常に大きな意思決定権を有します。また、Sarbanes-Oxley4(サーベンス・オクスリー法)のような、上場企業に課せられた厳しい規制の制約を受けず、また、四半期毎の報告を実施する必要がないため、より長期的な視野に立ち事業を捉えることができます。その結果、経営や戦略に劇的な変化をもたらすことができ、その変化により大きなリターンが生み出される可能性があります。企業の買収を活用して成長を志向する企業にとって、未上場であることは買収案件のスピードと自由度を大きく向上させることができます。プライベート・デットと株式に資産を配分することにより、効率的な資産配分を獲得できます。

オルタナティブ投資としてよく知られているヘッジファンドは、幅広い資産に投資でき、ロングとショートの両方のポジションを取ることができるため、歴史的に分散投資のメリットを提供してきました。しかし一方で、高い手数料と相対的に低いパフォーマンスから、機関投資家にはヘッジファンドに対する懐疑的な見方が広がりました。しかしヘッジファンドが、記録上の最高のAUM(3.32兆ドル)、また+10.4%と二桁の年間リターン(2009年5月+20%を記録して以降、最も高い上昇率)を記録した2019年に、このような見方は一変しました。しかし、この数値は、トップパフォーマーとボトムパフォーマーの間の大きな格差を覆い隠しています。リターンの格差が大きいため、オルタナティブのヘッジファンドにおいてリスクとリターンの要因を分析し理解することは非常に重要です。ファクター分析アプローチは、マネジャーがどのようにリターンを上げているのか、どの程度のリスクをとっているのか、そしてポートフォリオ対してどの程度付加価値を提供することが期待できるかを理解する上で非常に有効です。

オルタナティブ市場の状況を簡単に調査すると、様々な理由からオルタナティブ資産は魅力的であるものの、全が同じでないことがわかります。プライベート市場のオルタナティブ資産は拡大を続けていますが、市場規模の拡大と複雑化により、この市場への投資のかじ取りを行うことはより難しくなってきています(図1)。投資のメリットを享受するためにはオルタナティブ投資を一枚岩の塊として見るのではなく、保有している資産の具体的な特性やリスクを詳細に分析する必要があります。

「オルタナティブ資産」という用語が、一般的に、リターンの特性が必ずしも同じではない幅広い資産グループ(プライベート・エクイティ、プライベート・デット、不動産、天然資源、ヘッジファンドなど)を含んでいる点には、問題があると考えています。このように、オルタナティブ資産は、通常定義されているような明確な資産クラスではありません。第一に、オルタナティブ資産は伝統資産から完全に分離されているわけではなく、異なるタイプのオルタナティブ資産は、どちらも、ある伝統資産のリスクとリターンと同じ特性を持ちます。そして第二に、オルタナティブ資産は全てが類似した特性をもつ資産ではありません。あるタイプのオルタナティブ資産は、相関関係、リターン特性、リスク要因、流動性の観点から、他のオルタナティブ資産と大きく異なる可能性があります。

オルタナティブ資産は、ポートフォリオ全体の中で、成長、インカム、分散などの目的を達成できているかを測定するアウトカムベースのフレームワークの中で捉えることが最善の方法であると考えています。

 

2 「Global Pension Assets Study 2020」、Willis Towers Watson、2020年2月。

3 「The Future of Alternatives」、Preqin、2018年10月。

4 2002年のサーベンス・オクスリー法は、公開企業の監査・財務に関する抜本的な規制を定めた米国連邦法。この法律は、会計ミスや不正な財務慣行から株主、従業員、一般市民を守るために制定。

5 「Hedge Fund Research」2020年4月。マクロ戦略、イベントドリブン、株式ヘッジ、相対価値などのカテゴリーは資産加重。データは2020年3月31日時点。

1: 基礎

オルタナティブ資産への理解

オルタナティブ投資は、広義には従来の3つの伝統資産(上場株式、債券、および現金)以外の資産を指します。伝統資産とはいくつかの点で異なります。

•ショート戦略により、資産価値の下落から利益を獲得することが出来ます(ヘッジファンド)。

•金融資産以外のリアルアセット(商品、天然資源、インフラ、不動産等)に投資することが出来ます 。

•プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、プライベート・クレジットなど、流動性の低い資産やプライベート市場の資産へ投資することが出来ます。これらの資産は、長期保有によるリターンの向上や、非流動性プレミアムの獲得ができる可能性があります。

過去20年間、オルタナティブ投資は、比較的低リスクで魅力的なリターンを提供してきました。実際、オルタナティブ資産の分散ポートフォリオは、株式、債券、そして株式60%/債券40%の配分のポートフォリオを小幅に上回るパフォーマンスとなりました。また同じ期間で、オルタナティブ資産のポートフォリオの標準偏差は株式の約3分の1、最大ドローダウンは株式の半分という結果になりました。

図2:オルタナティブ・ポートフォリオは株式・債券・バランス型のポートフォリオをアウトパフォーム

修正ディーツ法に基づき、パフォーマンスは計算されています。:

時間加重収益率(TWRR)

-金額加重収益率(IRR)とは異なり、個々の部分期間リターンを幾何的にリンクして計算されます。時間加重収益率は、評価期間のキャッシュフローやバリュエーションの影響を除いた運用成績を評価する点で有益です。部分期間リターンについては、様々な方法で計算される可能性があります。

このレポートでは、個々の部分期間リターンは修正ディーツ法に基づき、計算されています。

修正ディーツ法

-加重係数を用いてキャッシュフローのタイミングを考慮し計算された金額加重収益率のことです。キャッシュフローの加重係数は、キャッシュフローが発生した日と期間終了日の差を期間内の日数で割ることで計算されます。

注:部分期間リターンを幾何的にリンクして計算された収益率が、全期間の収益率となります。

1 年を超える期間については、年率換算されています。

部分期間リターンについては、幾何的に計算されています。

 

 

 

以下のように、オルタナティブは通常、伝統資産と相関関係が低いため、ポートフォリオの分散化を強化することもできます。

図3:オルタナティブ資産は異なるパフォーマンス・サイクルを持つ
2:ファクターとオルタナティブ

ファクターに基づくオルタナティブ投資へのアプローチ

多くの機関投資家は、オルタナティブ資産をポートフォリオの中の独立した資産クラスとして捉えている一方、弊社ではオルタナティブ資産には、独自のリスクとリターンの源泉を有する様々なタイプの資産が含まれていると考えています。さらに、オルタナティブ資産は他の資産クラスとの相関が低いかもしれませんが、オルタナティブ資産の個々のサブクラスのリスク・リターン特性は、程度の差はありますが、上場株式や債券などの伝統資産と相関が高くなっています。例えば、プライベート・エクイティは株式と高い相関関係を持つことがあります。

このように、オルタナティブは単一の資産クラスではなく、かつ、伝統資産から完全に分離されている資産クラスでもありません。オルタナティブ資産全体のリスク、パフォーマンス、伝統資産との相関をモデル化して初めて、様々なタイプのオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることがポートフォリオ全体にどのような影響を与えるかを理解することができます。

このような把握は、ファクター分析を通じて行うことができます。ファクター分析により、様々なタイプのオルタナティブ投資におけるリスクとリターンの要因をより詳細に理解することで、オルタナティブ資産のパフォーマンスが他の資産とどのように一致しているか、またどのようにして分散を図ることが最善なのかを捉えることが出来ます。

ファクター分析は、パブリック市場の株式では開発が進んでいますが、債券ではあまり進んでいません。オルタナティブ資産におけるファクター分析の開発はさらに遅れをとっています。インベスコでは、資産のモデリング構築に多くの時間とリソースを費やし、オルタナティブ資産における詳細なファクター分析を可能にしました。オルタナティブ資産クラスの各サブセクターに注目し、経済成長、金利、レバレッジ、流動性など、リスクとリターンのファンダメンタルズの要因をモデル化することを試みています。また、パフォーマンスのプロキシ(代理的指標)を探し、各オルタナティブ資産がパブリック市場の同等資産と比較してどのようなパフォーマンスとなるかを評価します。

ファクターを特定するということは、すなわち本質的には伝統資産とオルタナティブ資産問わず、全ての資産のリスクとパフォーマンスを説明する共通言語を追求しています。次に、オルタナティブ資産のファクター分析をすることにより、機関投資家のポートフォリオのためにカスタマイズされたポートフォリオ・ソリューションを提供していきます。

図4A:効率的フロンティア-グロース資産とハイポセティカル・ポートフォリオ
図4B:ファクター・アナリシス-ハイポセティカル・オルタナティブ・グロース vs 米国株式
3: 応用

ファクターエクスポージャーを理解した上でのポートフォリオの最適化

オルタナティブ・ポートフォリオと伝統資産ポートフォリオの両方にかかるファクター分析は、認識されていないリスクを発見するのに役立ちます。これは、資産クラス別に分散されたポートフォリオでは、分散を図ったにもかかわらず、ファクターのエクスポージャーが集中している可能性があるからです。

例えば、多くの機関投資家は、過去数年間堅調な株式市場と超低金利環境の下、株式に投資し、債券ポートフォリオのデュレーションを短期化し、ハイイールド債券に投資することで利回りを追求してきました。また、より高いリターンの獲得を目指す投資家はオルタナティブ投資や新興国市場のプライベート・エクイティなどに投資を行いました。そのような機関投資家のポートフォリオは資産クラスを超えて分散を図っているにもかかわらず、経済成長ファクターに過度に集中しています。彼らのポートフォリオは、経済成長が鈍化するリスクへのエクスポージャーが大きくなっています。

ファクターに基づいたアプローチは、このような意図せざるリスクを低減します。インベスコのインベストメント・ソリューション・チームは、まず投資方針、資産配分、リスクとリターンの目標を徹底的に検討します。その後、自社開発のポートフォリオ/リスク分析プラットフォーム「Invesco Vision」を活用しポートフォリオ全体を分析し、予測されるリスクとリターン、およびポートフォリオ内の資産間の相関関係を把握します。このような分析から、投資目的を達成するため、ポートフォリオ特性を向上させるためのオルタナティブ資産を含む、より効率的なポートフォリオ配分を決定することが可能になります。

 

例えば年金基金例に挙げると、拠出状況の違いによって運用目標が異なれば、多くの場合結果的にポートフォリオは全く異なるものになります。例えば、比較的積み立てが潤沢な年金基金では、プライベート市場でのインカムを重視したポートフォリオを追求することができ、必ずしも追加のリスクをとることなく、全てのパブリック市場のポートフォリオよりもリターンを高めることができます。一方、積み立てが不足している年金基金では、将来の資金需要を満たすため、資産を増加させる必要があることから、よりグロース志向の強い戦略を検討する必要があるかもしれません。

インカム・ポートフォリオは、一般的に期間は5~7年と短く、6~8%のリターンを目標としています。対照的に、グロース・ポートフォリオは、期間は7年~10年で、10%~12%のリターンを目標としています。

ここでは、いくつかのオルタナティブ・ポートフォリオ、インカム、グロース、リアルリターン用に設計されたポートフォリオをご紹介します。

 

インカム重視のオルタナティブ・ポートフォリオ

様々な資産クラスがインカムを創出します。伝統資産では、米国債からハイイールド債、配当金を支払う株式まで、あらゆるものがインカム収益となります。同様に、オルタナティブ資産では、インカムを生み出す投資を見極めるために、資産クラス内、さらにはサブアセットクラス内にも目を向ける必要があります。

例えば、不動産においては、コア不動産からプライベート・エクイティまで歴史的に高いインカム・リターンを上げてきました。インカムに焦点を当てたポートフォリオには、インフラ投資も含まれます。インフラ投資では3-5%の利回りを上げることができ、これは同年限の国債よりもはるかに高水準です。プライベート・クレジット、特にミドル・マーケット・レンディングは、インカム戦略の一翼を担う可能性があります。また、リターン目標とリスク許容度に応じ、インカム重視の戦略には配当金を支払う株式も含まる可能性もあります。インカム戦略では、特定の資産クラスに焦点を当てるのではなく、各資産クラスの中でインカム創出力が高い資産を見極めていきます。

図5:インカム重視のオルタナティブ・ポートフォリオ

グロース重視のオルタナティブ・ポートフォリオ

オルタナティブ投資へのファクターアプローチが、グロースを追求するためどのように用いられるか紹介します。

グロース志向のオルタナティブ投資では、プライベート・エクイティへの配分の多くが、大型株式のバイアウト、(ヨーロッパとアジアにも配分)、ベンチャー・キャピタルなどの高成長セクター中心になります。不動産では、グロース・ポートフォリオには、コア戦略ではなくバリュー・アッド戦略やオポチュニスティック戦略、デットではなく不動産エクイティが含まれます。また、オポチュニスティック・クレジットやディストレスト・クレジット、特定のタイプのミドル・マーケット・レンディングなど、プライベート・クレジット分野のグロース・セクターも対象となる可能性があります。

図6:グロース重視のオルタナティブ・ポートフォリオ

リアルリターン重視のオルタナティブ・ポートフォリオ

リアルリターン・ポートフォリオは、幅広い資産からインカム・リターンを獲得し、予測しないインフレ・リスクをヘッジしたいと考えている投資家への解決策となると考えています。インフレはしばらくの間、資本市場では大きなテーマではありませんでしたが、実際にはポートフォリオのパフォーマンスを低下させる可能性があるため、軽視してはいけないリスクです。不動産、インフラストラクチャー、天然資源を含むオルタナティブは、インフレ上昇に対するヘッジ効果が期待でき、伝統的にインフレ率(例:CPI +5%)を上回るリターンがベンチマークとなっています。インフレが上昇する状況下では、金属、原料などの価格、および賃料や通行料などの価格も上昇することから、インフレ・リスクをヘッジする効果が期待されます。

図7:リアルリターン重視のオルタナティブ・ポートフォリオ

流動性エクスポージャーのカスタマイズ

先ほど拠出状況等の資産と負債の状況が、資産の成長やインカム収益の獲得、ポートフォリオ内のオルタナティブ資産への配分に大きな影響を与えることに触れましたが、流動性についてもポートフォリオ構築により細かい点で影響を与えます。

プライベート市場のオルタナティブ資産への投資は、パブリック市場への投資よりも ロックアップ期間が長期に渡る傾向にありますが、キャピタルコミットメント、投資保有期間、リターンについても予測可能な時間軸があります。その結果、投資の流動性ニーズに合わせて、オルタナティブ投資からの資金フローのタイミングを調整することが出来ます。これは、資産・負債マッチング戦略を採用し収益を追求する投資家にとって重要な意味を持ちます。

機関投資家は、異なる投資制約を持ちます。例えば年金基金は、将来の年金債務を履行できる点を証明する必要があります。保険会社は、ソルベンシー資本要件を満たす必要があります。このような制約を我々の独自のモデルに組み込むことで、制約を勘案したポートフォリオ配分に変更することができます。期待リスクと期待リターンが定義されている年金ポートフォリオと、ソルベンシー資本要件の対象となる保険会社では、ポートフォリオ配分は異なります。

欧州委員会のソルベンシーⅡ要件は、保険者と再保険者が今後12カ月間に少なくとも99.5%の確率で債務履行が可能である保証を求めています。支払い余力(ソルベンシー)は、個々のリスクカテゴリーごとに計算され、その後集計されます。6欧州委員会のソルベンシー要件は、リスクの低い資産(米国債等)よりもリスクの高い資産(上場株式やヘッジファンドなど)の方が、より厳しいキャピタルチャージを課されます。6そのため、多くの保険会社が債券やプライベート・エクイティを重視したバーベル戦略を採用しており、公開株式やヘッジファンドへの配分を少なめにしています。ポートフォリオ構築の手段の一つとして規制を考慮したファクター分析を含めることで、投資家は特定の規制要件に対しポートフォリオを適応させることができます。

さらに、負債のモデル化は複数の期間にわたって実行され、負債の大きさだけでなく、いつ発生する可能性が高いかを特定することができます。例えば、企業の従業員の大部分が10年後に退職する場合、その時期に年金債務が増加することを予測できます。流動性が低いプライベート市場の資産のデュレーションを今後発生する流動性イベントにマッチングすることで、年金投資家は義務を果たしつつ、プライベート市場が提供するより高いリターンを追求することができます。

 

 

流動性の高いオルタナティブ資産の採用

これまでは、プライベート・エクイティやデットのような大きなリターンを生み出す流動性の低いオルタナティブ資産に焦点を当ててきましたが、機関投資家のポートフォリオには、ファンド、マネージドアカウント、ETFのような流動性の高いオルタナティブ資産も存在します。

投資家は、通常、ロング・ショート戦略への投資や、伝統資産である株式、債券、現金以外の資産への投資など、分散投資効果を高めるために流動性の高いオルタナティブ資産を活用します。

 

6 The Top 10 Things Every Fund Manager Needs to Know about Solvency II,” Simmons & Simmons, 2016年1月時点.

 

 

4: 結論

オルタナティブ資産におけるファクター分析

機関投資家のオルタナティブ投資は拡大しています。オルタナティブ投資が拡大するにつれ、機関投資家は、リスク、リターン、分散、流動性などのポートフォリオ全体の投資目的と投資制約を統合したオルタナティブ投資を求めています。ファクター分析は、伝統的な資産とオルタナティブな資産を全て同じ尺度で捉える共通言語を提供します。ファクター分析により、投資家は求める投資成果(成長、収益、流動性、またはこれら3つの組み合わせ)を追求するためのポートフォリオ内の配分の決定をすることができます。

インベスコは、オルタナティブ資産におけるファクター分析において、分析手法の開発に多大な研究や労力を注いできました。特に、オルタナティブ資産のモデリング能力を向上させ、独自の評価方法とCMA(Capital Market Assumption)を適用し、パブリック市場とプライベート市場の両方でリスクとリターンの源泉を特定しています。その結果、不動産、プライベート・デット、プライベート・エクイティ、インフラ、ヘッジファンド、流動性オルタナティブなど、幅広いオルタナティブ資産のポートフォリオ最適化ツールを開発することができ、伝統資産のために開発されたモデルと一貫したものとなっています。

インベスコは、オルタナティブ資産のリスクとリターンの源泉や、オルタナティブ資産が伝統資産のポートフォリオにもたらす分散効果を理解したいと考えている投資家のために、革新的な分析と実用的な洞察を提供します。インベスコが提供する、投資家の投資目的に沿ったオルタナティブ・ポートフォリオの構築を可能にするファクター・フレームワークの詳細については、インベスコの担当者にお問い合わせください。

 

 

オルタナティブ・ソリューション運用戦略に関する投資リスク

・当運用戦略は、国内外の株式、債券、ETF、REIT、債券、短期公社債、派生商品取引、および不動産、インフラ等の実物資産、プライベート・エクイティ等に投資する現ファンドなどを主要投資対象としますので、組み入れた国内外の株式、ETF、REIT、債券、短期公社債、派生商品取引、不動産、インフラなどの実物資産、プライベート・エクイティ等の価格変動などの影響により、損失を被ることがあります。

・したがって、投資家の皆様の投資元本は保証されているものではなく、組入れ資産価格の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。

・運用機関の指図に基づく行為により生じた利益および損失はすべて投資家に帰属します。

当運用における主な投資リスクとして以下が挙げられます。

① 株価の変動リスク(価格変動リスク・信用リスク)、② 公社債価格の変動リスク(価格変動リスク・信用リスク)、③ REITの価格変動リスク、④ ETFにかかる乖離するリスク、⑤ 有価証券先物取引および有価証券指数等先物取引等にかかるリスク、⑥ 商品先物取引等にかかるリスク、⑦ 派生商品取引(通貨先物取引、金利先物取引、オプション、スワップ)等にかかるリスク、⑧ 不動産投資に伴うリスク、⑨ ベンチャー・キャピタル・ファンド投資に関する一般的なリスク、⑩ バイアウト・ファンド投資に関する一般的なリスク、⑪ 流動性リスク、⑫ デフォルト・リスク、⑬ カントリー・リスク、⑭ カウンターパーティ・リスク、⑮ コール・ローン等の相手先に関する信用リスク、⑯ 解約資金手当によるリスク、⑰ 原ファンドの評価価格に関するリスク、⑱ ファンドの資産に対して遡及される請求、⑲ マネジメント会社に関連するリスク、⑳ 各国法制度の法規制の対象となる可能性、㉑ キャピタルコールに伴うタイミングリスク、㉒ 投資家によるデフォルト、㉓ 資産配分に係るリスク、㉔ 訴訟リスク、㉕ 解約に係るリスク、㉖ フィーダー・ビークル等に係るリスク、㉗ 会計・監査報告書に関するリスク、㉘ 評価価格に関するリスク

 

オルタナティブ・ソリューション運用戦略に関する費用と税金

直接投資の場合にご負担いただく報酬 ・費用

【投資一任契約に係る報酬】 投資一任契約に係る報酬などの総計は、現時点で、当戦略の報酬料率を決定していないため、表示することができません。

【特定(金銭)信託の管理報酬】 当該信託口座の受託銀行である信託銀行に管理報酬をお支払いいただく必要があります。具体的料率については信託銀行にご確認下さい

【組入有価証券の売買時に発生する売買委託手数料 等】 当該費用については、運用状況や取引量等により変動するものであり、事前に具体的な料率、金額、上限または計算方法等を示すことができません

【費用合計額】上記の費用の合計額については、運用状況などによって変動するものであり、事前に料率、上限額などを表示することができません。

※投資一任契約の締結に際しましては、重要事項説明書ならびに契約締結前交付書面を必ずご確認下さい。
※デリバティブに関するリスクについては、巻末のディスクレーマーを必ずご確認下さい。

当資料ご利⽤上のご注意

  • 本書は、投資一任契約を通じてインベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」といいます。)が弊社のグループ関連会社が行う投資について説明したものです。本書は信頼できる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の確実性あるいは完結性を表明するものではありません。また過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。本書はお客様ニーズを把握するためのサウンディング資料であり、特定のファンドや有価証券等についての言及は、あくまで参考情報として提供するものであり投資の推奨や勧誘する意図で提供するものではありません。本文で詳述した本書の分析は、一定の仮定に基づくものであり、その結果の確実性を表明するものではありません。分析の際の仮定は変更されることもあり、それに伴い当初の分析の結果と重要な差異が生じる可能性もあります。当資料について事前の許可なく複製、引用、転載、転送を行うことを禁じます。

    また、本書はインベスコのグループ会社の行う投資手法ならびにプロセスを説明するために、過去の一時点における投資行動の具体例、または特定企業・銘柄に対する評価事例を掲示いたしますが、これをもって当該銘柄に対する投資を推薦、勧誘する意図はありません。ポートフォリオ特性値、組入れ銘柄などは、あくまで過去の一時点におけるデータに過ぎず、将来のポートフォリオが同様の傾向、組入れを継続する保証はございません。

    リスク情報につき、有価証券先物取引等のデリバティブ取引に係る事項の説明は、国内特定(金銭)信託口座に組入れるファンドにおいて行われるデリバティブ取引にかかるものです。実際の投資は日本国外のファンドで行い、国内特定(金銭)信託口座から日本国外のファンドに投資することを前提とします。国内特定(金銭)信託口座において、デリバティブ取引を行うことはございません。

    ※投資一任契約の締結に際しましては、重要事項説明書ならびに契約締結前交付書面を必ずご確認下さい。

C2021-02-108

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