米国バンクローン市場、月次アップデート 2022年2月
1月は、FRBのタカ派スタンスへの変更を受けて、各アセットクラスのボラティリティが高まる中、変動金利のバンクローンは底堅く推移。
FRBの早期かつ大幅な利上げ観測が高まる中で、変動金利のバンクローンに対する旺盛な需要が継続
1月は、FRBのタカ派スタンスへの変更を受けて、各アセットクラスのボラティリティが高まる中、変動金利のバンクローンは底堅く推移
年初のリスク資産市場におけるボラティリティ上昇にもかかわらず、1月のバンクローン市場は0.36%の上昇となり、安定した足取りで新年を迎えました¹ 。インフレ率の上昇とタイトな労働市場を受け、連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派的な政策ガイダンスを月内に発表したことから、投資家の金利上昇懸念が高まりました。株式、ハイ・イールド債、投資適格債の各市場が金利急上昇の影響を受けて苦戦する中、ローン価格は図表1のとおり安定して推移しました。リスクオフのセンチメントが高まる中、デュレーション・リスクからの逃避先資産であることに加え、強固なインカムを生み出していることから、当市場におけるボラティリティは限定的です。このような背景により、個人投資家は1月中に固定金利のハイ・イールド債ファンドから68億ドルを引き揚げる一方、バンクローン・ファンドには66億ドルの資金流入がみられました²。
バンクローンの1月のパフォーマンスは、マイナス・リターンとなったハイ・イールド債と投資適格社債を大きくアウトパフォーム
前述のとおり、1月のバンクローン市場はハイ・イールド債券(-2.75%)および投資適格債(-3.12%)に対してアウトパフォームしました³ 。格付け別リターンは、「BB」格のリターンが0.23%、「B」格のリターンが0.45%、「CCC」格のリターンが0.57%となり、格付けの低いローンがアウトパフォームしました。平均価格は98.55ドルとなり、先月(98.51)から0.04ポイント上昇しました²。 現在の平均価格とフォワードLIBORカーブから算出されるバンクローンの利回りは5.59%となっています²。
ファンダメンタルズ
昨年第4四半期のGDP成長率(年率6.9%)が示すとおり、年末まで経済活動は堅調に推移しました。しかし、オミクロン株の感染拡大によって今年第1四半期の経済成長は一時的に鈍化するとの見方が優勢です。
1月に新たなデフォルトは発生せず、過去12 ヵ月のデフォルト率は額面ベースで0.29%と、過去最低のデフォルト率である0.15% をわずかに上回る水準です⁴ 。80ドル未満で取引されるローンの割合は、市場全体の1.45%となり低い水準にとどまりました⁴。
市場の需給環境
個人および機関投資家による堅調な需要によりCLO発行の遅れが相殺され、月末に増加した新規発行による供給は難なく消化されました。
SOFRをベース金利としたCLOの発行が実施され、新たなベース金利体制への移行に市場が再調整する必要があったことから、CLOの発行活動はスロースタートとなりました。グロスの月間新規発行は18件で89億ドルとなり、そのうち借り換え/条件改定が49億ドルとなりました²。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、1月月間で66億米ドルの資金流入となりました。14カ月連続の資金流入となり、同期間における資金流入額は535億ドルとなりました²。
1月の新規発行市場は月後半に近づくにつれて活発化し、グロスの新規発行額は509億ドルとなりました。借換え(140億ドル)と条件改定(52億ドル)を除いたネット新規供給額は317億ドルでした²。SOFRをベース金利とした案件への移行は勢いを増し、当月は全体の96%がSOFRを用いたプライシングとなりました²。
相対価値/市場機会
FRBの早期かつ大幅な利上げ観測が高まる中で、変動金利のバンクローンに対する旺盛な需要が継続
FRBが現在の政策スタンスから「着実に」脱却していくという最新情報を受け、金利市場では2022年での5回の政策金利引き上げを予想した動きが続いています。ここ数カ月で金利正常化への予想ペースが早まったことから、当市場におけるクーポン収入増加への期待が大幅に高まりました。現在の金利フロア水準については、当市場における発行残高の41%が 0bp,21%が50bp,20%が75bp, 17%が100bpとなっています⁵。このことから、フォワードLIBORカーブに基づくと、今年のFRBの利上げにより当市場の82%がキャリーの観点で直接恩恵を受けることを示唆しています。
- S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数。2022年1月31日現在。
- JPモルガン。2022年1月31日現在。
- S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 2022年1月31日現在。
- LCD。2022年1月31日現在。
- ゴールドマンサックス。2022年1月31日現在。
ご利用上のご注意
当資料は情報提供を目的として、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「当社」)が当社グループの運用プロフェッショナルが日本語で作成したものあるいは、英文で作成した資料を抄訳し、要旨の追加などを含む編集を行ったものであり、法令に基づく開示書類でも金融商品取引契約の締結の勧誘資料でもありません。抄訳には正確を期していますが、必ずしも完全性を当社が保証するものではありません。また、抄訳において、原資料の趣旨を必ずしもすべて反映した内容になっていない場合があります。また、当資料は信頼できる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の確実性あるいは完結性を表明するものではありません。当資料に記載されている内容は既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。当資料には将来の市場の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における作成者の見解であり、将来の動向や成果を保証するものではありません。また、当資料に示す見解は、インベスコの他の運用チームの見解と異なる場合があります。過去のパフォーマンスや動向は将来の収益や成果を保証するものではありません。当社の事前の承認なく、当資料の一部または全部を使用、複製、転用、配布等することを禁じます。
G2022-02-008
そのほかの投資関連情報はこちらをご覧ください。https://www.invesco.com/jp/ja/institutional/insights.html