米国バンクローン市場、月次アップデート 2022年1月
12月は、オミクロン株への過度な懸念が和らぐ中で、リスクセンチメントの改善や良好な需給要因を背景にプラスリターン。
FRBの早期利上げ観測が高まる中で、変動金利のバンクローンに対する旺盛な需要が継続
12月は、オミクロン株への過度な懸念が和らぐ中で、リスクセンチメントの改善や良好な需給要因を背景にプラスリターン。
12月のバンクローン市場のリターンは0.64%と上昇し、年初来リターンは5.20%となりました 1 。オミクロン株は感染力は強いものの、重症化するリスクが低く、経済的混乱が生じるリスクは低いというコンセンサスが得られたことから、当月はオミクロン関連の不安による市場への懸念は和らぎました。一方、季節的な要因を受けて、当月の新規発行およびCLOの組成は共に大幅に減速したため、市場全体の取引量は比較的少ない規模となりました。こうした状況下、リスクセンチメントが好転し、テクニカル面でも特段懸念がなかったため、ローン価格は一段と上昇しました。
バンクローンの12月のパフォーマンスは、ハイ・イールド債に対してアンダーパフォームしたものの、投資適格社債をアウトパフォーム
12月のバンクローン市場は、4ヶ月ぶりにハイ・イールド債券(1.88%)に対してアンダーパフォームとなったものの、投資適格社債(▲0.17%)をアウトパフォームしました 2 。格付け別リターンは、「BB」格のリターンが0.58%、「B」格のリターンが0.63%、「CCC」格のリターンが1.08%となり、格付けの低いローンがアウトパフォームしました 1 。平均価格は98.51ドルとなり、先月(98.23)から28ポイント上昇しました 3 。現在の平均価格とフォワードLIBORカーブから算出されるバンクローンの利回りは5.27%となっています 3 。
ファンダメンタルズ
PMI、個人消費、鉱工業生産が示すように、経済指標は年末まで堅調に推移しました。インフレ率の上昇と労働市場のタイト化は、引き続き金融緩和政策の解除を支持する内容となりました。
12 月末における過去12か月のデフォルト率は額面ベースで0.29%と先月末から横ばいで推移し、過去最低のデフォルト率である 0.15%をわずかに上回り年末を迎えました 4 。また、バンクローン市場で価格が80以下のディストレスト銘柄の割合は0.99%へと微減となりました。
市場の需給環境
12月の供給はローンとCLOの新規発行市場が年末要因から低調となる中、需要は堅調に推移しました。
先月までの活発なCLO発行の後、12月は年末シーズンに近づくにつれてCLO発行は減速しました。当月のCLO新規発行は51件、金額にして223億米ドル(108億ドルの借り換えを含む)となりました 3 。年初来での新規発行は920件、金額にして4,211億ドル(1,837億ドルの借換を含む)のグロス発行となりました。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、12月月間で22億米ドルの資金流入となり、13カ月連続の資金流入でした。なお、年初来では約454億ドルの資金流入となりました 3 。
12月の新規発行額は276億米ドルで、借り換え(31億ドル)や条件改定(8億ドル)を除いたネット新規供給額は237億ドルでした 3 。12月のSOFRを基準金利とした案件は13件、金額は179億ドル、市場残高比で1.2%となりました。なお、年初来での新規発行額は8,351億ドル、ネット発行額は4,093億ドルとなりました 3 。
相対価値/市場機会
FRBの早期利上げ観測が高まる中で、変動金利のバンクローンに対する旺盛な需要が継続
先日リリースした「2022年米国ローン市場見通し」で述べたように、バンクローンは資産クラスとして2022年は良好な立ち位置を維持していると見ています。バンクローンは、中央銀行の政策引き締めに伴う金利上昇という短期的なマクロリスクに対するヘッジ機会を投資家に提供するだけでなく、図表2のとおり他のクレジット資産と比較して高水準の利回りと短いデュレーションを有しています。バンクローン市場全体の15%はパー(100)を上回って取引されているのに対して 4 、ハイ・イールド債券の52%はコール価格を上回って取引されている5 ことから、バンクローンは安定したクーポン収入に加えて、さらなる価格上昇の可能性を提供し続けています。図表1は、指数組み入れ銘柄のうちオーバーパーで取引されているローンの割合が現在どれだけ低いかを示しています。
- S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数。2021年12月31日現在。
- S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 2021年12月31日現在。
- JPモルガン。2021年12月31日現在。
- LCD。2021年12月31日現在。
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