マーケット・アップデート

米国バンクローン市場、月次アップデート 2022年3月

US Loan Market Snapshot
2月は、地政学リスクの高まりを受けてリスク資産全体が大きな影響を受ける中、バンクロ-ン市場のボラティリティは相対的に抑制
景気への影響懸念が台頭するもFRBは堅調な労働市場と物価上昇圧力を受けて利上げ方針を維持し、変動金利であるバンクローンに対する需要が継続
 
2月は、地政学リスクの高まりを受けてリスク資産全体が大きな影響を受ける中、バンクロ-ン市場のボラティリティは限定的

 リスク資産全般において極めて厳しい市場環境となる中、2月のバンクローン市場は小幅下落に留まりました。市場ではすでに2022年の金融引き締め見通しについて織り込んでいましたが、東欧の地政学リスクの高まりは、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻開始という衝撃的なイベントを受けて頂点に達しました。この悲劇的かつ刻々と変化する外生的イベントは投資家心理を揺さぶり、リスク資産市場全体に大きな懸念をもたらしましたが、バンクローン市場もその影響を受けました。しかしながら、図表1 のとおりバンクローン市場の月間リターンは-0.51%1 と、2 月単月および年初来で他のリスク資産をアウトパフォームしています。リスクオフの流れが顕著な中で、当市場のボラティリティが相対的に限定されたことにより、ポートフォリオの中核資産としてのバンクローンの魅力が改めて確認されました 1 

バンクローンの2月のパフォーマンスは、引き続きハイ・イールド債と投資適格社債をアウトパフォーム

 2月のバンクローン市場はハイ・イールド債券(-0.90%)と投資適格債(-2.18%)に対してアウトパフォームしました2 。「BB」格のリターンが-0.59%、「B」格のリターンが -0.49%、「CCC」格のリターンが-0.63%となりました1 。平均価格は97.80ドルとなり、先月(98.55)から0.75ポイント下落しました3 。現在の平均価格とフォワードLIBORカーブから算出されるバンクローンの利回りは、6.07%となっています3

 

ファンダメンタルズ

年率7.0%へと上方修正された第4四半期GDP成長率、好調な雇用統計、PMI、小売売上高、耐久財受注によって示されるように、2月の経済指標は健全性を維持しています。しかし、オミクロン株の感染拡大によって第1四半期の成長率は昨年第4四半期の7.0%から一時的に鈍化するとの見方が優勢です。

1月に新たなデフォルトは発生せず、過去12 ヵ月のデフォルト率は額面ベースで0.19%に低下し、過去最低のデフォルト率である0.15%をわずかに上回る水準です4 。80ドル未満で取引されるローンの割合は、市場全体の1.49%と先月と同水準でした4

市場の需給環境

バンクローンへの需要は引き続き底堅く、供給については地政学リスクの高まりによって月末にかけて発行活動のペースが減速するまでは堅調に推移しました。

CLO 発行については、年明けのスタート時は低調なペースでしたが2月に入ると加速しました。グロスの月間新規発行は56件で282億ドルとなり、そのうち借り換え/条件改定が146億ドルでした3

個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは2月月間で55億ドルの資金流入となりました。15ヶ月連続の資金流入となり、同期間における資金流入額は620億ドルに達しました3

2月の新規発行額は480億ドルとなりました。借り換え(121億ドル)と条件改定(23億ドル)を除いたネット新規供給額は336億ドルでした2 。当月は全体の94%がSOFRを用いたプライシングとなりました3

相対価値/市場機会

景気への影響懸念が台頭するもFRBは堅調な労働市場と物価上昇圧力を受けて利上げ方針を維持し、変動金利であるバンクローンに対する需要が継続

 ロシアとウクライナの紛争は、エネルギーおよびコモディティ価格の高騰がインフレ率の上昇圧力となって経済成長率を低下させるため、世界経済全体にスタグフレーションのリスクをもたらしています。このような状況下にもかかわらず、堅調な労働市場と米国内の価格上昇圧力を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の声明文では3月以降の利上げを進めることを引き続き示唆しています。このことから、2月はリスク回避志向の高まりによって殆どのリスク資産に大きな影響を与えたにもかかわらず、投資家が短期金利の上昇に備えたポートフォリオ管理に集中したため、バンクローンは引き続き堅調な需要に支えられ価格変動は限定的でした。

図表1:他リスク資産とは対照的に年初来のバンクローン市場のリターンは底堅く推移
        
図表2:短いデュレーションと高いインカム収入を提供するバンクローン        
相対利回り
  1. S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数。2022年2月28日現在。
  2. S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ2022年2月28日現在。
  3. S&P/LSTAレバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。 2022年2月28日現在。
  4. JPモルガン。2022年2月28日現在。
  5. S&P LCD。2022年2月28日現在。
 

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