米国バンクローン市場、月次アップデート 2023年9月
.jpg)
8月のバンクロ-ン市場は堅調な経済指標や企業業績を背景に上昇
バンクローンの相対価値に魅力
8月のバンクロ-ン市場は概ね堅調に推移
8月のバンクローン市場は月間で+1.15%のリターンとなり、年初来のリターンは+8.95%となりました1。堅調な経済指標や企業業績を背景に、ローン価格は2022年5月以来で最も高い水準まで上昇しました。低格付けのローンに牽引されて価格リターンは月間で+0.34%となり、金利リターンは+0.81%となりました。米連邦準備制度理事会(FRB)のガイダンスを踏まえて、市場は少なくとも2024年を通して政策金利の高止まりを織り込んでおり、高い利回り水準が継続すると思われます。
8月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド債(+0.28%)と投資適格債(-0.77%)を上回りました2。年初来では、ハイ・イールド債の+7.22%、投資適格債の+2.87%を上回りました。格付別のリターンは、BB格(+0.81%)、B格(+1.31%)、CCC格(+1.88%)となりました。ローン市場の平均価格は40ベーシスポイント(bps)上昇し、94.54となりました3。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて9.93%のイールドとなります3。
ファンダメンタルズ
経済データについては、個人消費は予想を上回り、雇用は減速しつつも底堅さを示しました。
Mallinckrodt、Strategic Materials Holding Corpのデフォルトがありましたが、8月の12ヵ月累計の額面デフォルト率は1.75%から1.55%に低下しました4。また、デフォルト率の上昇が見込まれているにもかかわらず、80ドル未満で取引されるローンの割合は5.46%から5.10%に低下しました4。
市場の需給環境
良好な需給環境が価格を下支えし、借り換えや条件改定の動きが見られました。
8月のCLOの新規発行は増加しました。CLOの新規発行量は35案件で148億ドル(うち借換案件は20億ドル)となり、年初来では186案件で799億ドル(うち借換案件は36億ドル)となりました3。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、2億ドルの資金流入となり、年初来での流出額は188億ドルとなりました3。
8月のローンの新規発行は増加して413億ドルとなりました。借換案件(217億ドル)と条件改定案件(145億ドル)が新規発行の大半を占め、借換/条件改定案件を除いた新規発行額は51億ドルでした。年初来累計の新規発行額は1,998億ドル、借換/条件改定案件を除くと419億ドルとなりました3。
投資機会
金融引き締めの中で経済の底堅さが見られることで、FRBにはインフレ抑制のための追加的な利上げ余地が生まれています。その結果、市場は政策金利が「より高い水準で、より長く続く」と捉え、2024年末までの政策金利は4%を超える水準で織り込まれています。このようなシナリオの下ではSOFRの高止まりが続き、ローン投資家は当面の間、歴史的にも高い水準のクーポン収入を得続けることができます。ちなみに、8月のローンの金利リターンは+0.81%で、年率換算では+9.75%(ハイ・イールド債は年率+6.43%5)でした1。ローンにおける非常に高い水準のインカムは2023年の年初来トータル・リターンの原動力となり、その70%超を占めていますが、2024年にも近いリターンを生む追い風となる可能性が高まっています。



G2023-09-005
そのほかの投資関連情報はこちらをご覧ください。https://www.invesco.com/jp/ja/institutional/insights.html