米国バンクローン市場、月次アップデート 2024年4月
3月のバンクロ-ン市場は、良好な需給環境もあり、底堅く推移
早期利下げ期待の後退は、バンクローンのクーポン水準を今後も下支え
3月のバンクロ-ン市場は、リファイナンス案件やリセット案件が増加
3月のバンクローン市場は月間で+0.83%のリターンとなり、年初来では2.52%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは0.10%、金利リターンは+0.73%となりました。堅調な経済成長とディスインフレの鈍化が見られたことで利下げ時期の見通しが後ずれし、バンクローンへの需要額はネットでの供給額を引き続き上回りました。バンクローンのネットでの新規発行は抑制されたものの、発行体が堅調な市況を利用して既存債務のリファイナンスを行ったため、グロスベースでの新規発行は引き続き活発となりました。高水準の金利が長く続くと借り手のキャッシュフローにマイナスとなる可能性があるものの、企業業績が概ね良好であることや資本市場へのアクセスが容易であることで、デフォルト予想は全体的に低下しました2。
3月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド債(+1.19%)と投資適格債(+1.19%)を下回りました3。格付別のリターンは、BB格(+0.76%)、B格(+0.81%)、CCC格(+1.88%)となりました。ローン市場の平均価格は月末で96.01となりましたが、現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて9.30%のイールドとなります4。
ファンダメンタルズ
個人消費、小売売上高、耐久財受注、PMIなどの経済指標は、高金利にもかかわらず、米国経済が引き続き堅調であることを示唆しました。
新たなデフォルトは1件発生し、12ヵ月累計の額面デフォルト率は1.41%から1.14%に低下しました5。また、80ドル未満で取引されるローンの割合は3.35%から3.51%に上昇しました5。
市場の需給環境
需給面では、活発なCLO組成、リテールおよび機関投資家の関心の高まり、そして引き続き低水準にあるバンクローンのネットの新規発行額などの要因が、ローン価格を下支えしました。
3月のCLOの新規発行は引き続き堅調で、74案件で330億ドル(うちリファイアンス案件とリセット案件は186億ドル)となりました4。堅調な需要が供給の増加を吸収し、CLOノートのスプレッド水準は横ばいとなりました。第1四半期の新規発行額は、2021年に記録した最高額を上回りました。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、月間で11億ドルの資金流入となりました4。
3月のローンの新規発行は増加し、グロスでは1,179億ドルとなりました。内訳としては、リファイアンス案件(384億ドル)、リプライシング案件(658億ドル)となり、それらを除いたネットでの新規発行額は137億ドルとなりました4。
投資機会
経済指標が堅調であり、最近のインフレ・シグナルもまちまちであることから、連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを急ぐ必要性は薄れ、早期利下げへの期待も後退しています。図表1に示すように、市場参加者は、1月末以降で見ると2024年の利下げ回数予想を減らしています。もし金融政策が実際にこのような経路をたどる場合には、ローンのクーポンはゆっくりとした浅い利下げサイクルからの恩恵を受けることになります。景気や企業業績が堅調であり、またローンの新規発行が引き続き抑制されて良好な需給環境となっていることから、2024年のローンのリターンにとっては好ましい状況となっています。
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1.
クレディスイス・レバレッジド・ローン指数。2024年3月31日現在。
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2.
Pitchbook LCD
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3.
クレディスイス・レバレッジド・ローン指数ならびにブルームバーグ。2024年3月31日現在。投資適格社債はBAML投資適格社債指数、ハイ・イールド債券はBAML米国ハイ・イールド債券指数。
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4.
JPモルガン。2024年3月31日現在。
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5.
Pitchbook LCD。2024年3月31日現在。
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