米国バンクローン市場、月次アップデート 2024年12月
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11月のバンクロ-ン市場は、リプライシングの動きが見られるも底堅く推移
11月のバンクロ-ン市場は底堅く推移
11月のバンクローン市場は月間で+0.84%のリターンとなり、年初来では+8.41%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは+0.15%、金利リターンは+0.69%となりました1。
ローン価格は11月も良好な需給環境(ローンへの旺盛な需要と抑制された実質的な新規発行量)に支えられました。ローン市場は11月に160億ドル拡大し、指数の市場規模は2年振りに1.42兆ドルに達しました4。セカンダリー価格が2022年5月以来の水準に上昇するなかでリプライシングの動きも見られましたが、額面以上で取引されるローンの割合は39%から65%に上昇しました1。年初での市場規模の約半分に相当する約6000億ドルのローンがこれまでにリプライシングされましたが、ローン市場への影響は限定的であり、年初来でのスプレッドの縮小は33bpsに留まりました。
長期金利が低下したことで、11月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド債(+1.10%)および投資適格社債(+1.34%)を下回りました3。格付別のリターンは、BB格(+0.94%)、B格(+1.06%)、CCC格(▲0.29%)となりました1。ローン市場の平均価格は月末で96.41となり、9月末(96.09)から上昇しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.49%のイールドとなりました1。
ファンダメンタルズ
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月18日に50bpsの利下げを行い、11月にも25bpsの利下げを行いました。しかし、景気指標が堅調であり、トランプ政権の経済政策がもたらす短期的なインフレへの影響が織り込まれたことで、2025年の利下げ幅への期待は過去数ヶ月で大きく後退しました。
12ヵ月累計の額面デフォルト率は先月の0.73%から0.94%に小幅上昇しました。新たなデフォルトは3件(Franchise Group、Wellpath、Hearthside Foods)で、また、以前に発生した1件のデフォルトが今回の計算期間から外れました4。80ドル未満で取引されるローンの割合は前月の3.68%から3.24%に低下しました。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると4.56%(発行体ベース)となり、4月につけた4.42%を超えました4。
市場の需給環境
11月は、CLOが活発に新規発行され、また、機関投資家からの需要に加えて個人投資家からの資金流入が見られました。一方で、ローンのグロスでの新規発行は堅調であるものの実質的にはまだ抑制された水準であることから、良好な需給環境が継続してローン価格を支えました。
11月のCLOのグロスでの新規発行は10月(103案件で492億ドル)から19%増加し、128案件で613億ドル(うちリファイアンス案件とリセット案件が336億ドル)となりました2。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、11月に58億ドル(うち、前者から5億8000万ドル、後者から52億ドル)の資金流入、年初来では180億ドルの資金流入となっており、昨年同時期の172億ドルの資金流出と対照的です2。
11月のローンのグロスでの新規発行(1140億ドル)は、多くの新規発行が見られた先月(1161億ドル)の水準から低下したものの、引き続き活発でした。リファイアンス案件(241億ドル)とリプライシング案件(792億ドル)を除いたネットでの新規発行(107億ドル)は、10月(303億ドル)からかなり減少しました2。
投資機会
図表1と図表2に示されているように、バンクローンはハイイールド債に比べて依然として割安です。変動金利であるため、金利が変動する環境下でも引き続き底堅く推移しています。CLOや機関投資家からの需要の他、個人投資家からの資金流入も見られ、バンクローンへの需要は引き続き堅調と思われます。比較的良好な経済見通しと過去平均を上回るクーポン水準を踏まえると、2025年もバンクローンは引き続き堅調に推移すると思われます。



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