米国バンクローン市場、月次アップデート 2024年11月
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10月のバンクロ-ン市場は、新規発行の増加が見られるも底堅く推移
10月のバンクロ-ン市場は底堅く推移
10月のバンクローン市場は月間で+0.85%のリターンとなり、年初来では+7.51%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは+0.09%、金利リターンは+0.75%となりました1。
ローン市場は10月に170億ドル拡大し、これは過去2.5年間で最大の月間増加額となりました。年初来の新規発行額は、リプライシングを含めて1.1兆ドルを超え、2017年に記録した過去最高を9%上回っています。セカンダリー価格が上昇したため、額面以上で取引されるローンの割合は23%から33%に上昇しました1。年初来でリプライシングの動きが多く見られるものの、ローンの平均スプレッドへの影響は限定的(年初来で28bps低下)でした1。
長期金利が上昇したことで、10月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド債(▲0.50%)および投資適格社債(▲2.43%)を上回りました3。格付別のリターンは、BB格(+0.69%)、B格(+0.99%)、CCC格(+0.05%)となりました1。ローン市場の平均価格は月末で96.09となり、9月末(95.61)から上昇しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.67%のイールドとなりました1。
ファンダメンタルズ
米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月18日に50bpsの利下げを行い、正式に利下げを開始しました。パウエル議長は、底堅く推移している景気を支えるために、今後も慎重なペースで追加の利下げを実施することを示唆しており、2024年末までに追加で25bpsの利下げが行われる可能性があります。
12ヵ月累計の額面デフォルト率は9月の0.80%から0.73%に小幅低下しました。新たなデフォルトは1件(Exactech)で、また、以前に発生した1件のデフォルトが今回の計算期間から外れました4。80ドル未満で取引されるローンの割合は前月の3.43%から3.68%に上昇しましたが、1年前の5.12%を下回っています。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると4.4%(発行体ベース)となり、4月につけた4.42%に近づいています4。
市場の需給環境
10月は、堅調なCLOの新規発行や個人投資家からの需要がローン価格を下支えしました。
10月のCLOのグロスでの新規発行は9月(89案件で418億ドル)から増加し、103案件で492億ドル(うちリファイアンス案件とリセット案件が306億ドル)となりました2。
個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFからは、10月に27億ドル(うち、前者から3億6400万ドルの資金流出、後者から31億ドルの資金流入)の資金流入となりましたが、年初来では123億ドルの資金流入となっており、昨年同時期の184億ドルの資金流出とは対照的です2。
10月のローンのグロスでの新規発行は、多くの新規発行が見られた先月(971億ドル)からさらに増加(+19%)して1161億ドルとなりました。リファイアンス案件(322億ドル)とリプライシング案件(536億ドル)を除いたネットでの新規発行(303億ドル)は、9月(219億ドル)から増加しました2。
投資機会
FRBが利下げ局面入りした一方で、9月の強い雇用統計を含む堅調な経済データが景気後退の懸念を和らげました。景気後退の懸念が薄れたことやクーポン水準が高いことに加えて、今後の利下げの程度が浅めになることが予想されるため、ローンは今後も安定した収入を提供し続けると思われます。現在のFFレート先物に基づくと、ローンのクーポンは図表1に示されているように、ローンクーポンの過去平均の5.65%を十分に上回って推移すると思われます。


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