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【グローバル債券投資戦略】「グローバル・フィックスト・インカム・ストラテジー 2025年4月」
インベスコ・フィックスト・インカム(IFI)がマクロ経済動向、米国および主要国の金利・為替見通し、債券市場における主要な投資テーマなどについての見方をご提供いたします。
先般開催されたインベスコ・アジア・パシフィック・フォーラムにおいて、インベスコのプライベート・クレジット・プラットフォームに属するディストレスト・クレジット運用チーム・ヘッドのポール・トリジアーニに対して、シニア・クライアント・ポートフォリオ・マネジャーのジェフリー・リーマーが、ディストレスト・デット市場をめぐる状況が近年どのように進化してきたか、また、運用チームはこの市場でどういった投資機会を見出しているのかなどについて質問しました。以下は、当セッションから抜粋したものです。
回答:足元の経済環境では、引き続きインフレ率の高止まりや鉱工業生産の縮小がグローバルで見られ、また、英国や欧州の景気見通しは米国やアジアよりかなり悪くなっています。金利は上昇を続け、レバレッジを効かせた既存の借り手の多くは大幅な金利上昇に直面しており、今日ではほとんどの企業が昨年対比で2倍以上の利息を支払っています。企業は、人件費、賃金、家賃、光熱費、エネルギー費、輸送・物流費、原材料・資材投入、そして前述の借入コストなど、コスト構造のほぼすべての部分でインフレが残っています。
同時に、企業が需要の減少を補うために上昇したコストを自社製品の価格に転嫁することははるかに難しくなっています。製造業のグローバルでの減速に見られるように、鉱工業生産が縮小しているだけでなく、消費者は生活に不必要な買い物を先延ばしして、できる限り低価格の日用品で代用するようになっています。これらすべての要因があらゆる地域のあらゆる業種に影響を及ぼしており、グローバルでのマージン縮小をもたらしています。このような状況は、ディストレスト投資家にとって、安定した業種に属している堅実でビジネス自体は問題のない企業に注目する投資機会をもたらすと考えます。
私たちのチームは、特にスモールキャップのディストレスト・デット(債務の時価総額が5億米ドル以下、EBITDAが1億米ドルをかなり下回るもの)に焦点を当てています。私たちは優先担保付ローンへの投資から始めますが、地方銀行の大規模なクラブ・ディール、一部のダイレクト・レンディング、あるいは10~20のCLOが参加するような小さめのシンジケート・ローンなど、非効率的な投資家が保有するローンを探します。資本構造上、優先担保付であることはダウンサイド・リスクの軽減に役立ちます。さらに、先に述べたような投資家は時に強制売却を強いられるため、潜在的には割安な価格で投資を開始できるのです。
スモールキャップのディストレスト・デット市場はいくつかの理由で特に興味深い点があります。第一に、スモールキャップ市場ではそもそも恒常的に投資機会が発生しやすく(エバーグリーン)、そのため市場サイクルに左右されにくくなります。スモールキャップ企業は、マクロ環境とはまったく関係のない、各企業の個別の事情で資金繰りの問題に直面することが多いのです。この点は、景気サイクルに沿って投資機会が顕在化するようなラージキャップ企業のディストレスト・デット市場と大きく異なります。
スモールキャップのディストレスト・デット市場は、信じられないほど不透明で非効率な市場でもあります。これらはすべて、財務情報が公開されない非上場企業です。企業情報にアクセスするには秘密保持契約を結ぶ必要があります。また、スモールキャップ企業は幅広い投資家にカバーされておらず、割安な価格でこうした優先担保付ローンを購入することができるのです。
回答:私たちはスモールキャップ市場を選好しているため、景気後退が起こるかどうかについてはあまり関心がありません。ベースケースシナリオとして景気後退を想定していますが、それは新しい投資を検討する際には非常に重要です。しかし、それよりもこういった金利環境で何が起こるかを考えることが重要と考えています。金利が高止まりしている中で、満期の近い債務を持つ企業はリファイナンスでかなり苦労すると思います。
こうした問題は、あらゆる業種で見られるかもしれません。興味深いことに、今後36ヶ月間に満期を迎えるシニア・ローンおよびハイ・イールド債のほぼ半数がスプリットB格となっており、減速する景気の中でディストレスト状況や格下げになる企業が増えるかもしれません。私たちにとって重要なことは、これらの企業の40%以上は負債残高が5億米ドル未満であることです。これらは私たちのターゲットとするスモールキャップ市場にその多くが含まれることを意味します。加えて、最近の新規発行におけるかなりの割合(30-40%)がB3/B-格または無格付けのスモールキャップ企業によって発行されています。大幅な格下げが起こる局面では、当初の投資家もしくは「パー」近辺で投資した投資家)の多くに売り圧力がかかるでしょう。特に、レバレッジド・ローン市場の約70%を占めるCLOでは、保有できるCCC格の投資額に制限があります。
回答:現在の投資環境は、このアセットクラスがこれまで経験してきたものとは大きく異なっています。過去20年以上のサイクルについて考えてみると、そのほとんどが特定の業種に依存するものでした。2001年の不況は、ハイテク、テレコム、ブロードバンドが中心でした。そして2005年と2006年では、欧州の自動車セクターの市場サイクルが見られました。2008年の金融危機時は、金融、住宅ローン、住宅建設業者、建築製品など、2015年はエネルギー関連など、明らかに特定の業種でした。さらに、過去10~15年間は、e-コマースの巨大企業が伝統的な小売業者に取って代わったため、小売セクターで問題が発生しました。最近では、COVIDの大流行が人工的な景気サイクルを作り出し、そこでは経済の扉が閉ざされて2年半後に再開されました。このため、旅行、クイックサービス・レストラン、映画館など、特定の業種が大きな影響を受けました。
これらとは対照的に、現在の投資機会はより広範囲に及んでいます。特により大きな影響を受けるような業種は見当たりません。ディストレスト・デット投資家としては、耐久力のある企業や業種における最も魅力的な投資に注力したいと思います。興味深いことに、そしておそらく過去にも増して、私たちの投資機会では、ビジネス運営上の問題がある企業が少なくなっています。つまり、私たちは投資先企業が本来的に持つ強い事業への投資や、投資先企業の負債の削減と流動性の改善により多くの時間をかけることができます。その結果、今後2、3年の市場環境は、リスク調整後ベースで見た場合、以前のディストレストの局面と比べてはるかにリスクが低くなると思われます。
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