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90年代を回顧する:FRBは再び米国経済をソフトランディングに導くことができるか?

90年代を回顧する:FRBは再び米国経済をソフトランディングに導くことができるか?
〔要旨〕
90年代のFRBで、なくても困らないものは?:グリーンスパンFRB議長のブリーフケースの大きさから、FRBの行動を予測しようとするのを好まなかった
現在のFRBに期待することは?:1990年代半ば、FRBは過熱した米国経済のソフトランディングに成功。現在のFRBが再びこの成果を達成することに期待
 
1990年代のトレンドで私が忘れたいものは?

FRBからのコミュニケーションの不足をはじめ、ダイヤルアップ回線、狂牛病などが忘れたい90年代のトレンドである

1990年代で懐かしく思い出されることは?

グローバリゼーション、ソフトランディングなどが1990年代にあった記憶にとどめたいトレンドである

FRBは再び米国経済をソフトランディングに導くことができるのか?

ジャクソンホール会議や、今後発表される経済指標に注目

 

先日、私たち夫婦は26回目の結婚記念日を迎えました。そして、披露宴に参加した親しい友人たちとともに結婚式の写真を眺めました。さて、私はもともとファッションセンスがあまりよくなかったのですが、披露宴の際のブライズメイドのドレスの選択がどん底であったような気がします。私は、どういう訳か、ブライズメイドのためにセーラードレスを選んだのですが、船員のモチーフにすることがかわいくて個性的だと思ったのでした。

友人たちの感想は割愛しますが、いくつか面白いコメントがありました。ある友人は、ミュージカル「ショーボート」のキャストが披露宴に出席しているのか、との疑問を口にしていました。また、別の友人はブライズメイドが「巡礼服を着ているようだ」と言い、結婚式のテーマについて少し混乱したようでした。しかし、昔の写真を見ながら回想していると、いくつか良い点に気がつきました。まず、私の願いに応えてセーラードレスを着てくれるような、真の友人がいるということです。そして、私が選んだブライズメイドのドレスは最悪だったかもしれませんが、理想の夫にはめぐり会えたということです。

 

1990年代のトレンドで私が忘れたいものは?
FRBからのコミュニケーションの不足をはじめ、ダイヤルアップ回線、狂牛病などが忘れたい90年代のトレンドである

私の結婚式の写真を見終わった後、私たちは1990年代半ばについて回想しました。若さと細いウエストを取り戻すのは悪くありませんが、大きい携帯電話、ぶかぶかの服、そして巻き毛は戻ってほしくありません。それ以外に、戻ってほしくないものは何でしょうか?

  • ダイヤルアップによるインターネット接続
    1990年代の技術では、在宅勤務はほとんど生産的ではないでしょう。
  • 米連邦準備理事会(FRB)からのコミュニケーションの不足
    私は、当時のグリーンスパンFRB議長のブリーフケースの大きさと、しばしば行われる暗号のようなスピーチから、FRBの行動を読み取ることは好きではありませんでした。私は、現在のFRBのやり方のほうを好みます。欠点はあるものの、透明性を確保しようとするFRBの姿勢は有用です。そして、金融政策の道すじがデータ次第であることが重要だと考えます。
  • 狂牛病
    説明するまでもないでしょう。

 

1990年代で懐かしく思い出されることは?
グローバリゼーション、ソフトランディングなどが1990年代にあった記憶にとどめたいトレンドである

ここでは、その一部をご紹介します。

  • マイケル・ジョーダン
    1990年代半ばにプロバスケットボール界から一時引退した後(プロ野球にも挑戦)、全米プロバスケットボール(NBA)に復帰したマイケル・ジョーダンは、まるでコートから離れることがなかったかのようなプレーを見せました。1990年代後半まで、彼はコート上で卓越したプレーを披露し、チャンピオンシップを獲得し続けました。
  • 「となりのサインフェルド」
    私の中では、最高のシチュエーション・コメディーです。
  • インターネット
    インターネットの利用が広がりました。1996年には、米国で初めて、電子メールの送信数が郵便物の配達数を上回りました 1 。人々や企業はその可能性を模索し始めました。そして、1996年2月8日、「24 Hours in Cyberspace」が開催されました。これは、インターネットがいかに世界中の人々の生活に好影響を与えることができるかを示す、1日限りの国際的なイベントでした。
  • グローバリゼーション
    グローバリゼーションは、物価を引き下げ、生産性を向上させるのに役立ちました。実際、最近の研究では、グローバル化が1%進むごとに、労働生産性が0.85%向上したことが明らかになりました 2
  • ソフトランディング
    1990年代、FRBはインフレ抑制のための金融引き締め策を導入し、米国経済をソフトランディングに導くことに成功しました。FRBは、1993年12月から1995年4月にかけて、0.75%の大幅な引き上げを含む利上げを実施しましたが、景気後退は避けられました 3 。失業率は緩やかに低下し、株価は上昇しました。例えば、S&P500種指数は1995年に37.58%、1996年にはさらに22.96%上昇しました 4 。そして、ダウ・ジョーンズ工業株価平均は1996年に初めて6,000米ドルを上回る水準を記録しました 4

 

FRBは再び米国経済をソフトランディングに導くことができるのか?
ジャクソンホール会議や、今後発表される経済指標に注目

1990年代を振り返るとき、私が最も望んでいるのは、FRBが今回も米国経済をソフトランディングに導くことです。その可能性は低いと私は考えますが、米国経済がソフトランディングするかなりの可能性は残っています。すなわち、深刻な景気後退には陥らないものの、景気が大きく減速するような「ソフテッシュランディング」の可能性はまだ非常に高いと考えます。結局のところ、インフレを抑制するためには需要を抑制する大幅な景気減速が必要です。ただし、1990年代には見られなかった高水準のインフレを背景に、現在のFRBの役割は90年代半ばのものよりも困難になっています。

今後のFRBの動向に、多くのことが左右されるでしょう。もちろん、今週のジャクソンホール会議での講演に注目したいと考えていますが、私は、パウエルFRB議長やその他のFRBメンバーがタカ派的な姿勢を維持すると強く考えます(当時のFRB議長であるグリーンスパン氏が1996年12月頃の講演で「根拠なき熱狂」という用語を使ったように、彼らの内なるグリーンスパンが呼び起こされるでしょう)。金融市場は卵の殻の上を歩いているようなものですから、積極的な発言は短期的に世界の株式市場を下落させる可能性が非常に高く、アセットオーナーは短期的な市場の変動に備えるべきでしょう。

しかし、それよりも重要なこと、つまり私が本当に注目していることは、近く発表されるデータと、FRBによる9月の行動です。私の意見としては、これまでのデータを基にすると、9月に0.5%の利上げが実施されると予想しています。とはいえ、私の結婚式でのブライドメイドのドレスのように、私が以前間違ったことがあることは、皆さんご存じでしょう。そして、経済指標に関して言えば、9月20日、21日は、まだ先のように感じられます。私が求めているのは、FRBがデータに依存していること、そして、入手したデータに敏感であること、それだけです。そうすれば、金融政策という鈍器が可能な限り外科手術の器具に近づき、FRBが米国経済に対して適切な政策の処方箋を提供する最高のチャンスとなるでしょう。

 

  1. 出所:historyofinformation.com
  2. 出所:United States Studies Centre、“Globalisation and labour productivity in the OECD: What are the implications for post-pandemic recovery and resilience?”、2020年6月4日
  3. 出所:米連邦準備制度
  4. 出所:ブルームバーグ

 

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