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市場は関税をめぐる最高裁判決と米・イランの緊張の高まりを冷静に受け止めている

市場は関税をめぐる最高裁判決と米・イランの緊張の高まりを冷静に受け止めている
〔要旨〕
  • 関税をめぐる判決:最高裁はトランプ関税を違法と判断したが、これを受け米通商代表部はプランBに移行すると予想される
  • 米国・イラン情勢:緊張は高まっているが、こうした展開が世界の株式市場を混乱させたり、景気循環を終わらせたりすることはないと予想される
  • 経済データ:米国のGDPは予想を下回り、個人消費支出(PCE)価格指数はやや高かった
最高裁がトランプ関税を違法と判断

米国とイランの間の緊張が高まる

新たな米国経済データは予想を下回る内容となった

結論:株式のファンダメンタルズは引き続き健全

注目の日程
 

年が始まって最初の2カ月で既に、「何十年も何も起こらないかと思えば、たった数週間で何十年分もの出来事が起こることもある」というウラジーミル・レーニンの言葉を何度も引用するようになると、本当に多くの出来事が起きていると実感させられます。とはいえ市場にとってより重要なのは、1週間で10年分の出来事が起きたかどうかではなく、それらの出来事が「想定外だったかどうか」です。先週の出来事―関税をめぐる最高裁判決から米国・イラン間の緊張、経済・インフレデータまで―を振り返ると、答えは概ね「ノー」(想定内だった)です。

 

最高裁がトランプ関税を違法と判断

トランプ大統領が昨年、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき発動した関税措置は、金曜日に米連邦最高裁により、6対3で違法と判断されました1。これは衝撃だったでしょうか?特段そうではありません。

私たちは、米通商代表部がプランBに移行し、1930年関税法第338条、1974年通商法第122条、1962年通商拡大法第232条、1974年通商法第301条のいずれかまたはこれらの組み合わせを用いて、これらの関税を再発動する可能性があると予想しています。

最高裁の判断は、還付について、そもそも還付義務の有無を含め何ら指針を示しておらず、仮に還付が行われるとしても近い将来には考えにくい(あるいは行われない可能性もある)と私たちはみています。

この判決を受けて債券利回りは小幅上昇しましたが、米30年物国債利回りが4.72%となっており、市場は米国債務の持続可能性について依然、大きな懸念を抱いていないことがうかがえます2

米国とイランの間の緊張が高まる

その後注目は、米国とイランの間の緊張の高まりに移りました。繰り返しになりますが、これもまた想定外ではありませんでした。こうしたリスクは以前から十分示唆されていました。

投資の観点から言えば、地政学的イベントは常に、それが世界の成長や世界各国の中央銀行(とりわけ米連邦準備理事会(FRB))の行動に実質的な変化をもたらすかどうかという視点で評価されるべきだと考えられます。イランは比較的小規模な国であり、世界の石油供給量の約3~4%を生産しているものの、その大半は中国向けに輸出されています3

緊張の高まりを受けて原油価格は上昇しましたが、比較的低い水準からの上昇であり、世界の供給増加は需要を上回り続けており、2026年には在庫が増える見通しです4。私たちは、これは1970年代型のオイルショックではなく、FRBの緩和的な政策スタンスを変える可能性も低いとみています。従って、これらの動きが世界の株式市場を混乱させたり、景気循環を終わらせたりすることはないと予想されます。過去のデータもこの見方を裏付けており、2025年6月13日に始まった12日間のイスラエル・イラン紛争後の6カ月間で、MSCIオール・カントリー・ワールド指数(ACWI)は14.28%上昇しました5

新たな米国経済データは予想を下回る内容となった

米国国内総生産(GDP)は予想を下回り6、 コア個人消費支出(PCE)で測られるインフレはやや高めでした7

これは驚くべきことでしょうか?GDPのヘッドライン数値はそうかもしれませんが、この減速は主に、政府支出の遅れに起因するものでした。米国消費は健全な状態を維持しており、AIへの投資も堅調なペースで続きました。コアPCEの高さは主に財(モノ)ではなくサービス価格のインフレに牽引されたもので、基調的な需要が相応に堅調であることを反映しています。私たちは、AIによる生産性向上がより顕著になるにつれて、インフレは時間とともに落ち着いていくとみています。また、これがFRBの政策軌道を変更することはないと考えています。

結論:株式のファンダメンタルズは引き続き健全

まとめると、毎週のように「10年分の出来事」が起きているように感じられるかもしれませんが、名目成長率が比較的堅調かつFRBによる利下げの可能性が依然として高いことから、私たちは株式市場のファンダメンタルズは引き続き健全だと考えています。

注目の日程

公表日

国・地域

指標等

内容

2月24日

米国

消費者信頼感

支出に影響を与える消費マインドの指標

2月24日

ユーロ圏

消費者物価指数(CPI)(1月)

主要なインフレ指標

2月25日

米国

新築住宅販売件数

住宅市場の強さを測る指標

2月25日

米国

社債市場ディストレス指数

社債市場のストレスを測定

2月25日

ユーロ圏

国内総生産(GDP)(第4四半期、確報値)

経済成長

2月26日

米国

耐久財受注

企業投資と需要の動向を示す

2月26日

米国

GDP(確報値)

経済成長に関する新たな情報

2月26日

米国

新規失業保険申請件数

労働市場の状況

2月27日

米国

ニューヨーク連銀スタッフ・ナウキャスト

リアルタイムGDP予測

  • 1.

    出所:AP、“Supreme Court strikes down Trump’s sweeping tariffs, upending central plank of his economic agenda”、2026年2月20日

  • 2.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月20日、米30年物国債利回りに基づく

  • 3.

    出所:米国エネルギー情報局、2026年1月31日

  • 4.

    出所:米国エネルギー情報局、2026年1月31日

  • 5.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月20日、2025年6月13日から12月13日までのMSCIオール・カントリー・ワールド指数のリターンに基づく

  • 6.

    出所:米国経済分析局、2025年12月31日

  • 7.

    出所:米国労働統計局、2026年1月31日

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MC2026-025