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4月の株価上昇─市場は底堅さを映し出す

4月の株価上昇─市場は底堅さを映し出す
〔要旨〕
  • 近年、投資家はロシア・ウクライナ戦争、シリコンバレー銀行の破綻、関税、そしてイラン戦争など、個別の事象が市場の上昇を阻害するかどうか見極める必要に迫られてきた
  • そして今また、2026年4月の米国株式市場は、S&P500種指数が10.49%上昇して終えた
  • 多くの投資家が犯したと思われる過ちは、市場を見る際にリスクの視点を中心に据えてしまったことにあると考えられる
長期的な成果にとって最も重要なものは何か?

決算シーズンは企業の底堅さを示す

リスクの中でも視点を保つ

注目の日程
 

1970年、エドウィン・スターは有名な反戦歌「黒い戦争(それが何の役に立つ?)」を発表しました。中でも最も良く知られているのは、「それはまったく何の役にも立たない」というフレーズです。外交政策をめぐる議論は政治指導者や有権者に任せるとして、マーケット・ストラテジストとしてこの曲を思い出すのは、多くの投資家が、不透明な局面―それが戦争であれ、関税であれ、銀行破綻であれ―で、日々の(あるいは時間ごとの)見出しが「良い」か「悪い」かだけに注目しがちだからです。そうすることで、長期的な成果にとって最終的に最も重要なこと、すなわち「企業は結果を出しているか」、「利益は成長しているか」、という点を見落としてしまう可能性があります。

2カ月前にイラン戦争が始まると、多くの投資家は、それまで抱いていた明るい市場見通しを覆しました。米個人投資家協会(AAII)のブル(強気)―ベア(弱気)調査は、年初の+15から3月20日には-21まで低下しました。それでも4月は、5年超に及ぶ今回の上昇相場全体の中でも最良の月となり、S&P500種指数は10.49%上昇しました。これは、この株式相場全体を特徴づけてきたパターン、すなわち、根強い疑念を伴いながらも着実に上昇するという動きそのものでした。

近年投資家は、個別の事象が市場の上昇を阻害するかどうかを見極める必要に迫られてきました。2022年はロシア・ウクライナ戦争でした。2023年にはシリコンバレー銀行の破綻が、より広範な金融危機への懸念を引き起こしました。2025年には関税が見出しを独占し、成長とインフレへの懸念を高めました。2026年にはイラン戦争が不安の中心を占めました。そして今また、私たちは同じ状況に直面しています:米国株式市場は4月を史上最高値で締めくくり、クレジット・スプレッドは歴史的にタイトな水準近辺で推移しています

 

長期的な成果にとって最も重要なものは何か?

これらの局面に共通する点は、リスクが想像上のものだったということではありません。どれも現実のものであり、その時々で重要なものでした。多くの投資家が犯したと思われる過ちは、市場を見る際にリスクの視点を中心に据えてしまったことにあると考えられます。その結果、長期的なリターンにとって最終的に最も重要なことを見落としてしまった可能性があります。すなわち、「企業は結果を出しているか」、「利益は成長しているか」、という点です。

最近の例として、ホルムズ海峡に関して取り上げてみましょう。世界のエネルギー供給の混乱を懸念するのはまったく合理的なことです。原油価格は急騰し得ます。インフレ期待がアンカー(安定的に維持)されていない状態となる可能性もあります。中央銀行は、政策のペースと方向性の見直しを迫られるかもしれません。これらは目を引く見出しや、尽きることのない議論を生みだします。しかし結局のところ、市場とは概して将来のキャッシュフローに対する権利に他なりません。肝心なのは、企業が売上を生み出し、利益率を守り、資本を効果的に配分できているかどうかなのです。

決算シーズンは企業の底堅さを示す

繰り返し際立ってきたのは、米国企業の底堅さです。この底堅さは偶然の産物ではありません。先週の決算シーズンは、その点を改めて浮き彫りにしました。決算を発表した企業のおよそ80%が市場予想を上回りました。S&P500種指数の利益成長率は、前年水準を15〜16%上回るペースで推移しています。企業の利益率は過去最高水準近辺にあり、底堅い需要と営業レバレッジを反映しています。これらは、瀬戸際にある経済や企業セクターの数字には見えません。むしろ、不透明な環境下にあっても、企業が着実に事業を遂行していることの証しに見えます。

市場は長期的に企業業績に連動する傾向があります。利益が伸びれば、通常は株価も上昇します。利益が底堅ければ、バリュエーションは必ずしも不安定になることなく高水準を維持し得ます。マクロ面の不安だけを理由にディフェンシブなポジションを取った投資家は、しばしば、この現実に対してエクスポージャー不足となることがありました。

リスクの中でも視点を保つ

今後を見据えると、地政学的な情勢は、引き続き不安定な状態が続くと予想するのが妥当です。リスクが完全に消え去ることはめったにありません。リスクは変化し、移り変わっていくものです。1年後には、イラン戦争の最悪期は過去のものとなり、市場を構成する企業群は依然として成長を維持しているのではないかと私はみています。重要なのは、これは盲目的な仮定ではないということです。むしろ、企業自身が示している見通しと概ね整合的です。

投資家にとっての示唆は、リスクを無視したり、見出しを完全に退けたりすることではありません。重要なのは、視点を保つことです。24時間体制のニュースに何時間も没頭していると、優先順位が歪み、不安が増幅されかねません。数分でも時間を割いて決算説明会を聴いたり、企業の業績見通しを読んだりすることで、市場が今後どのような方向に向かうかについて、示唆を得ることができるかもしれません。

株式相場の顕著な上昇局面が、問題が存在しなかったことによって牽引された例はほとんどありません。それらは、企業が問題を抱えながらも業績を上げられる能力によって支えられてきたのです。今回のサイクルも、また例外ではありません。

注目の日程

公表日

国・地域

指標等

内容

5月4日

米国

ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)(4月)

四半期初めの工場活動、価格圧力、需要モメンタムを適時に把握する指標

5月4日

米国

製造業新規受注(3月)

財への企業需要を追跡し、設備投資や資本支出の動向を示す

5月4日

中国

財新サービス業購買担当者景気指数(PMI)(4月)

中国のサービス業の勢いと国内需要を示す

5月5日

米国

貿易収支(3月)

輸出入が全体的な成長やGDPトラッキングにどう寄与しているかを示す

5月5日

米国

ISMサービス業購買担当者景気指数(PMI)(4月)

価格や雇用を含め、米国経済最大部門の活動状況を示す重要指標

5月5日

米国

米国雇用動態調査(JOLTS)(3月)

労働市場の逼迫度を測定し、賃金およびインフレの動向を知る手がかりを与える

5月5日

ユーロ圏

サービス業購買担当者景気指数(PMI)、確報値(4月)

ユーロ圏経済活動の主要な牽引役であるサービス業の成長トレンドを確認

5月5日

英国

サービス業購買担当者景気指数(PMI)、確報値(4月)

政策決定に先立ち、成長と価格圧力に関する示唆を提供

5月6日

米国

ADP雇用統計(4月)

公式雇用統計に先立ち、労働市場状況を早期に示すシグナル

5月6日

米国

労働生産性および単位労働コスト(第1四半期、速報値)

効率向上、およびインフレ動向に影響する労働コスト圧力を追跡

5月6日

日本

家計支出(3月)

消費需要の強さと、成長・インフレへの示唆を示す

5月7日

米国

新規失業保険申請件数

労働市場の状況と潜在的なストレスを示す高頻度指標

5月7日

ユーロ圏

小売売上高(3月)

消費者支出と短期的な成長モメンタムを評価する指標‑

5月8日

米国

雇用統計(4月)

雇用増加、失業率、賃金動向を包括的に示す指標で、市場を動かすことが多い

5月8日

米国

消費者信頼感指数、速報値(5月)

家計の信頼感、支出意欲、インフレ期待を測定

5月8日

カナダ

雇用統計(4月)

成長、賃金、政策見通しに影響する市場注目データ

  • 1.

    出所:米個人投資家協会(AAII)、2026年4月30日、AAIIブル(強気)-ベア(弱気)指標は、AAIIの週次調査から算出される心理指標

  • 2.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、S&P500種指数の1カ月リターンに基づく

  • 3.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、S&P500種指数の2026年4月30日終値7,209に基づく

  • 4.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、1月22日の年初来最低水準を0.07上回る、ブルームバーグ米国社債指数のオプション調整後スプレッド(0.78)に基づく

  • 5.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、S&P500種指数構成企業の第1四半期決算に基づく

  • 6.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、S&P500種指数構成企業の第1四半期決算に基づく

  • 7.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、S&P500種指数構成企業の第1四半期決算に基づく

  • 8.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年4月30日、1957年3月4日から2025年12月31日までのS&P500種指数とS&P500種1株当たり利益(EPS)の相関に基づく。1株当たり利益(EPS)とは、企業の総利益を発行済株式数で割ったものを指す

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