米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年4月
3月のバンクロ-ン市場は、高格付と低格付の格差拡大
3月のバンクローン市場動向
当月のバンクローン市場は月間で+0.61% 、年初来で▲0.47%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは▲0.04%、金利リターンは+0.65%となりました1。
AIによる市場への影響や、広範なリスクオフ姿勢に伴う年初の混乱を経て、3月のローン市場には安定化の兆しが見られました。しかし、その回復は「K字型」の様相を呈しており、反発を牽引した高格付け銘柄と、出遅れた低格付け銘柄との間で二極化が進みました。額面以上で取引されるローンの割合は、前年末の18%から28%へと一時上昇しましたが、今月末には14%まで低下しました1 。
格付別のリターンは、BB格(+0.44%)、B格(+0.93%)、CCC格(+0.30%)となりました1。ローン市場の平均価格は、月末時点で93.81となり、前月末(94.06)から下落しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.70%のイールドとなります1。
当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(▲1.18%)、投資適格社債(▲1.76%)を上回りました2。
ファンダメンタルズ
- 2月下旬、連邦最高裁判所はトランプ大統領が課していた関税の大部分を無効とする判決を下しました。これを受け、大統領はより永続的な貿易政策が策定されるまでの暫定措置として、除外対象外の全商品に対し一律10%のグローバル関税を承認しました。なお、この暫定プログラムは7月に期限を迎える予定です。
- イランでの紛争は、地域のみならず世界全体に深刻な影響を及ぼし続けています。ホルムズ海峡の封鎖により、世界の石油供給の約20%が影響を受け、同海域の通航量は90%以上減少しました。紛争開始以来、原油価格は50%以上高騰しています。地政学リスクの高まりとインフレの見通しが不透明な中、連邦準備制度理事会(FRB)は2026年中の利下げ検討において慎重な姿勢を維持する可能性があります。
- 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の1.38%から1.44%へ上昇しました3。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の6.43%から上昇して7.23%となりました3。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の3.54%から3.48%へ小幅に低下しました3。
市場の需給環境
- ローン市場では、返済額が新規発行額を上回る状況が続いています。需要が軟化しているものの、供給不足の状態が依然として継続しています。
- 当月のCLO発行は、68案件で総額308億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が128億ドル)となり、前月の90案件で401億ドルと比べて23%減少し、2012年以降の同月平均値である158億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4 。
- 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額25億ドル(うち、前者から13億ドルの資金流出、後者から12億ドルの資金流出)の資金流出となりました4。
- 当月のローンの発行総額は282億ドルとなり、前月の314億ドルからは10%減少しました。これは2010年以降の同月の平均発行額(486億ドル)を下回っています4 。新規発行の内訳としては、買収案件(149億ドル)、リファイナンス案件(106億ドル)、一般目的案件(20億ドル)が中心で、リプライシング案件(5億ドル)配当リキャップ案件(2億ドル)が続きました4 。
投資機会
2026年当初はローンの58%が額面以上で取引されており、良好な市場環境を背景にリプライシングの動きが急増しました。しかし、AIによる市場への影響、関税問題の懸念、そして中東紛争が重なり、3月末時点では額面以上で取引されるローンはわずか14%にまで減少しました3 。図1に示す通り、額面付近またはそれ以上で推移する銘柄が限定的となったことは、今後のリプライシング活動が大幅に停滞することを示唆しています。これに加えて、FRBによる追加利下げのペースも緩やかになると予想されることから、ローン資産への配分を維持・検討する妥当性が高まっています。
G2026-04-009
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