米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年8月
7月のバンクロ-ン市場は政策見通しや需給環境の改善から上昇
7月のバンクローン市場動向
当月のバンクローン市場は月間で+0.80%、年初来で+2.17%のリターンとなりました¹。また、月間の価格リターンは+0.18%、金利リターンは+0.62%となりました¹。
当市場は米連邦準備制度(Fed)のタカ派姿勢が強まったことや、CLOの発行額が緩やかに回復したことに支えられ、過去1年間で2番目に高い月間リターンを記録しました1 2 。ソフトウェア関連銘柄と市場全体との二極化は依然として存在するものの、7月はソフトウェア関連のローンが市場の上昇を牽引し、年初来の出遅れ分を一部取り戻しました1 。額面以上で取引されるローンの割合は、前月末の24%から今月末の34%へと上昇しましたが、2025年末の58%を大きく下回っている状況です2 。
格付別のリターンは、BB格(+0.59%)、B格(+0.97%)、CCC格(▲0.34%)となりました¹。ローン市場の平均価格は、月末時点で94.31となり、前月末(94.05)から上昇しました¹。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて9.09%のイールドとなります¹。
当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(▲0.25%)、投資適格社債(▲1.67%)を上回りました3。
ファンダメンタルズ
- トランプ政権は7月23日、事前に発表していた50カ国以上に対する10%〜12.5%の関税を法制化しました。この新関税は、適用除外とならないすべての品目を対象としていた暫定的な10%のグローバル関税が期限を迎えたことに伴い、7月24日に発効しました。米国政府が貿易政策の評価を進め、また裁判所での法的異議申し立てが進行する中で、米国の貿易環境は変化を続けています。
- 中東における地政学的な動向は、7月を通じて引き続き注視されました。イラン戦争をめぐる不透明感が続いていることが、原油価格の乱高下や、Fedのより慎重な見通しにつながりました。当月は再び戦闘が一時停止して月末を迎え、紛争解決に向けた外交努力が現在も続けられています。
- 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の1.35%から0.93%へ低下しました2。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の6.87%から上昇して6.89%となりました2。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の2.77%から2.87%へ上昇しました2。
市場の需給環境
- 7月はCLOの発行額が改善し、リテールファンドへの資金流入も見られたことで、需給逼迫が生じ市場のテクニカル面を支える結果となりました。
- 当月のCLO発行は、110案件で総額460億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が327億ドル)となり、前月の97案件で454億ドルと比べて1%程度増加しました。また、2012年以降の同月平均値である196億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4。
- 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額24億ドル(うち、前者から2.82億ドルの資金流入、後者から21億ドルの資金流入)の資金流入となりました4。
- 当月のローンの発行総額は748億ドルとなり、前月の787億ドルからは▲5%減少しました。これは2010年以降の同月の平均発行額(417億ドル)を上回っています4 。新規発行の内訳としては、リファイナンス案件(307億ドル)、リプライシング案件(293億ドル)、一般目的案件(74億ドル)が中心で、買収案件(48億ドル)、配当リキャップ案件(25億ドル)が続きました4。
投資機会
当市場は全体としてプラスリターンを記録し、堅調に推移していますが、個別銘柄間の価格格差は引き続き大きな状況にあります。図表1に示されているとおり、市場の大半のローンは依然として額面未満で取引されており、ディストレストおよびストレス状態にあるローンの比率も、過去数年と比較して高水準にとどまっています。このような価格のばらつきは、ファンダメンタルズに基づく銘柄選択の機会を創出しています。発行体間の価格差は、市場全体の方向性よりも、各企業固有の要因に起因するケースが多いためです。
G2026-08-014
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