米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年6月
5月のバンクロ-ン市場では4か月ぶりの高水準まで新規発行が回復
5月のバンクローン市場動向
当月のバンクローン市場は月間で+0.48%、年初来で+1.23%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは▲0.11%、金利リターンは+0.59%となりました1。
5月のローン市場における新規発行は、好調な企業決算や中東紛争の解決に対する継続的な期待感を背景に、4ヶ月ぶりの高水準まで回復しました4。ソフトウェア関連銘柄とそれ以外の市場との二極化は続けているものの、額面以上で取引されるローンの割合は、前月末の39%から今月末のの40%へと僅かながら上昇しました。ただ、2025年末の58%をいまだ下回っている状況です。
格付別のリターンは、BB格(+0.37%)、B格(+0.55%)、CCC格(+0.54%)となりました1。ローン市場の平均価格は、月末時点で94.42となり、前月末(94.47)から小幅に下落しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.73%のイールドとなります1。
当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(+0.49%)、投資適格社債(+0.76%)を下回りました2。
ファンダメンタルズ
- 5月上旬、国際貿易裁判所は、トランプ大統領がほとんどの米国輸入品に対して10%の関税を課したことは違法であるとの判決を下しました。同月下旬、トランプ政権は、2月に連邦最高裁判所が違法と判決した「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づいて徴収された1,660億ドルの関税の払い戻しを開始しました。関税を巡る状況は変化し続けており、同政権は1974年通商法301条に基づき、不公正な貿易慣行の可能性があるとして10カ国以上を調査しています。
- 中東紛争は引き続き関心の高い材料となりました。4月にパキスタンの仲介で合意されたイランとの最初の14日間の停戦は、同月後半に無期限で延長され、その後も維持されました。5月は、交渉の進展に関するいくつかの報道が好材料となりました。5月末には、停戦を正式に60日間延長し、核協議を再開するという暫定合意のニュースが流れましたが、この合意は両国の首脳による署名には至っていません。外交努力は継続したものの、ホルムズ海峡、レバノンでの戦闘、そして核開発能力が依然として争点となっています。
- 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の1.34%から1.35%へ小幅に上昇しました3。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の6.83%から低下して6.53%となりました3。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の2.84%から3.11%へ上昇しました3。
市場の需給環境
- 当四半期に入って、一時、停滞していたCLOの発行は再開に転じ、5月のローン市場における需要は回復し、再び需要が新規供給を上回る状態になりました。こうした需給環境を踏まえ、格付けの高い銘柄を中心にリプライシングの動きが拡大しました。
- 当月のCLO発行は、120案件で総額544億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が360億ドル)となり、前月の65案件で265億ドルと比べて105%増加しました。また、2012年以降の同月平均値である193億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4 。
- 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額25億ドル(うち、前者から1億ドルの資金流出、後者から26億ドルの資金流入)の資金流入となりました4。
- 当月のローンの発行総額は1,081億ドルとなり、前月の278億ドルからは+289%と大きく増加しました。これは2010年以降の同月の平均発行額(524億ドル)を上回っています4 。新規発行の内訳としては、リプライシング案件(490億ドル)、リファイナンス案件(322億ドル)、買収案件(184億ドル)が中心で、一般目的案件(68億ドル)、配当リキャップ案件(8億ドル)が続きました4 。
投資機会
イランにおける紛争が原油コストと利回りを押し上げ、固定利付債券よりも変動利付債券に有利な環境を作り出しています。レバレッジド・ローンは、ハイイールド債券市場と比較して(図表1参照)、全体の水準および同一格付けベースの双方において、魅力的なイールド・プレミアムを提供しています。これにより、特に債券とローンの両方を発行している発行体において、債券からローンへと乗り換えて追加の利回りを獲得するという、潜在的に魅力的な機会が生じています。
G2026-06-010
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