米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年3月
2月のバンクロ-ン市場は、AI懸念によるリスクオフの展開が継続
2月のバンクローン市場動向
当月のバンクローン市場は月間で▲0.82% 、年初来で▲1.08%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは▲1.38%、金利リターンは+0.56%となりました1。
AIが将来的に既存ビジネスモデルを破壊するのではとの懸念や広範なリスクオフ・ムードを背景に、 1月末に始まった株式およびローン市場の軟調な動きは当月も継続しました。その結果、このアセットクラスは2カ月連続のマイナスリターンとなりました。こうした影響はソフトウェア関連の業種で最も顕著に現れましたが、AIを巡る懸念は他の業種にも波及しました。セカンダリー市場の低迷を受け、額面以上で価格設定されたローンの割合は、前年末の58%から18%へと低下しました1 。
格付別のリターンは、BB格(▲0.03%)、B格(▲1.07%)、CCC格(▲2.67%)となりました1。ローン市場の平均価格は、月末時点で94.06となり、前月末(95.23)から下落しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.38%のイールドとなります1。
当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(+0.19%)、投資適格社債(+1.29%)を下回りました2。
ファンダメンタルズ
- 最高裁判所は、トランプ大統領には輸入関税を広範囲に課す権限はないとの判決を下しました。
しかし、トランプ政権は、大統領の権限がより明確な他の法律を用いて、違法とされた関税を代替する意向です。そのため、関税の状況は昨年4月の「リベレーション・デー(解放の日)」以降とおおむね同様、流動的なままとなっています。 - 2月28日(土)、アメリカ軍とイスラエル軍は共同軍事作戦によりイランを攻撃しました。今回の攻撃規模は過去最大級であり、最高指導者アリ・ハメネイ師が死亡する事態となりました。これに対し、イランは地域一帯のアメリカ軍施設へミサイルやドローンによる報復攻撃を行いました。これまで連邦準備制度理事会(Fed)は2026年内に追加利下げを実施すると予想されていましたが、この紛争によってエネルギー価格が上昇し、すでに目標の2%を上回っているインフレをさらに押し上げる可能性があり、金融政策も先行き不透明感が広がっています。
- 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の1.29%から1.38%へ上昇しました3。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の5.31%から上昇して6.43%となりました3。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の3.53%から3.54%へ小幅に上昇しました3。
市場の需給環境
- 当月もCLOが主要な買い手でしたが、個人投資家需要の減退がその勢いを一部相殺しました。しかし、当月のローン新規発行が限定的であったことから、ローン市場における需給の不均衡は継続しました。
- 当月のCLO発行は、90案件で総額401億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が206億ドル)となり、前月の69案件で301億ドルと比べて33%増加し、2012年以降の同月平均値である175億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4 。
- 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額15億ドル(うち、前者から11億ドルの資金流出、後者から4.5億ドルの資金流出)の資金流出となりました4。
- 当月のローンの発行総額は314億ドルとなり、前月の1642億ドルからは81%減少しました。これは2010年以降の同月の平均発行額(570億ドル)を下回っています4 。新規発行の内訳としては、リファイナンス案件(169億ドル) 、買収案件(77億ドル) 、リプライシング案件(53億ドル)が中心で、配当リキャップ案件(12億ドル)、一般目的案件(3億ドル)が続きました4 。
投資機会
2026年に入り、AIを巡る懸念がローン市場の軟調さを招いています。しかし、下の図表1に示されている通り、ソフトウェア・セクターとそれ以外の市場とのパフォーマンスの間には、乖離が広がりつつあります。
2月において、ソフトウェア以外の正常債権ローンの加重平均ビッド価格は75bps下落し96.12となりましたが、ソフトウェア・ローンの価格は392bpsも急落し87.64となりました。現在、ソフトウェア・セクターをアンダーウェイトとしている運用者にとって、直近の売り浴びせは、大幅なディスカウント価格でローンを組み入れる魅力的な機会となります。これらの債権の一部はAIによる破壊的影響に対して耐性があると考えられ、実際にAIに取って代わられるリスクがあるというよりは、セクター全体への無差別な圧力に巻き込まれている状況にあるとみています。
G2026-03-009
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