マーケット・アップデート

米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年5月

US Loan Market Snapshot
4月のバンクロ-ン市場はB格中心に回復が継続

 

4月のバンクローン市場動向

当月のバンクローン市場は月間で+1.23% 、年初来で+0.75%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは+0.61%、金利リターンは+0.62%となりました1

ローン市場は3月からの勢いを4月へと引き継ぎ、中東紛争の解決期待、好調な決算シーズン、そして底堅い経済データを背景に、当月はここ1年で最も強いリターンを記録しました1。しかし、市場の回復は二極化が続いており、ソフトウェア業界においては、AIによる影響の「勝ち組」と「負け組」との間で認識の乖離が広がっています。額面以上で取引されるローンの割合は、前年末の14%から今月末には39%まで上昇1しましたが、2025年末の58%をいまだ下回っている状況です。

格付別のリターンは、BB格(+1.00%)、B格(+1.32%)、CCC格(+0.26%)となりました1。ローン市場の平均価格は、月末時点で94.47となり、前月末(93.81)から上昇しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.56%のイールドとなります1

当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(+1.69%)、投資適格社債(+0.45%)を上回りました2

ファンダメンタルズ
  • 5月上旬、国際貿易裁判所(CIT)は、トランプ大統領による大半の米国輸入品への10%の関税賦課を違法とする判決を下しました。現政権はすでに、過去に徴収した関税1,660億ドルの返金手続きを進めています。
  • パキスタンの仲介による休戦を経て、4月にイランおよび中東地域での停戦が合意されました。当初の合意期間は14日間でしたが、この壊れやすい停戦は同月後半に無期限で延長されました。ホルムズ海峡は依然として主要な対立点であり、イランが実質的に通航を制限している一方、米国は「プロジェクト・フリーダム(自由作戦)」のもとで米国船の護衛を行い、船舶航行の流れを回復させようとしています。外交交渉は継続中であるものの、双方とも不満を示し続けています。
  • 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の1.44%から1.34%へ低下しました3。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の7.23%から上昇して6.83%となりました3。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の3.30%から2.84%へ低下しました3
市場の需給環境
  • 4月のローン市場では、CLOの組成ペースが鈍化したことで需要が減退し、市場は数ヶ月ぶりに供給過剰へと転じました。
  • 当月のCLO発行は、65案件で総額265億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が198億ドル)となり、前月の68案件で308億ドルと比べて14%減少しましたが、2012年以降の同月平均値である185億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4
  • 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額13億ドル(うち、前者から7億ドルの資金流出、後者から20億ドルの資金流入)の資金流入となりました4
  • 当月のローンの発行総額は278億ドルとなり、前月の282億ドルからは2%減少しました。これは2010年以降の同月の平均発行額(381億ドル)を下回っています4 。新規発行の内訳としては、リファイナンス案件(116億ドル)、買収案件(79億ドル)、リプライシング案件(52億ドル)が中心で、一般目的案件(8億ドル)、配当リキャップ案件(4億ドル)が続きました4
投資機会

年初に起きたソフトウェアおよびAIへの恐怖に端を発する売り浴びせの後、ローン価格は下落幅の約40%を買い戻し(図1参照)、この資産クラスの底堅さを示しました。しかし、図2に示されている通り、ソフトウェア・ローンとそれ以外のローン市場との間では、二極化が一段と進んでいます。これは、AIリスクの見極めミスによって不当に安く値付けされている、一部の優良なソフトウェア銘柄に投資する潜在的に魅力的な機会をもたらしています。

図表1:ローン価格は下落幅のほぼ半分を取り戻す
図表2:ソフトウェアセクターとそれ以外の市場との二極化
相対利回り
  • 1.

    S&P UBSレバレッジド・ローン・インデックス。2026年4月30日現在。

  • 2.

    S&P UBSレバレッジド・ローン・インデックスならびにブルームバーグ。2026年4月30日現在。
    ハイイールドはブルームバーグ米国ハイ・イールド社債指数、投資適格はブルームバーグ米国投資適格社債指数。

  • 3.

    Pitchbook。2026年4月30日現在。

  • 4.

    JP Morgan。2026年4月30日現在。

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