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まだ着かない?強気相場の道のりは続く可能性

まだ着かない?強気相場の道のりは続く可能性
〔要旨〕
  • 一部のクレジット市場では選別が厳しくなったが、ストレスはクレジット市場の全領域には広がっていない。より健全なバランスシートとキャッシュフローを持つ企業は、引き続き資金調達が可能と考えられる
  • 最近のインフレデータは警戒感を抱かせるほどの高い数値を示したが、長期のインフレ期待は比較的抑制された状態を保っており、米国資産への信認をめぐる懸念は限定的である可能性
  • 私たちが注視する指標からは、相場の上昇のペースが減速しつつある可能性が示唆されるものの、強気相場が終わりを迎えようとしているようには見えず、当分続く可能性もある
信用ストレスは高まったが、広がってはいない

市場は一段の引き締めに備えている模様

旅路は続く、重要なのはクオリティ

注目の日程
 

先日、長女を大学まで車で送り届けました。10時間も車に乗っていると、考える時間はたっぷりあります。道中、自分が昔、長いドライブの途中で両親に投げかけていた質問を思い出しました。

「まだ着かないの?」

「まだだよ」

「いつ着くの?」

「まだしばらくかかるよ」

「そろそろ近づいてる?」

「もちろんさ」

このやり取りは、今日の投資家に驚くほど当てはまるように感じられます。

米国株式市場は、長く好調な旅路を続けてきました1。歴史を振り返れば、こうした状況がどのように終焉を迎えてきたかについて、いくつかの警告サインが見て取れます。過度の借入れ。過度のインフレ。過度の金融引き締め。クレジット・スプレッドの拡大。デフォルトへの備えに高いコストを支払う投資家。景気敏感株への売り。投資家が安全資産を求める中での国債利回りの低下。米ドルの上昇。

これは、ここ数週間のニュースの流れのまとめと言ってもおかしくない内容ですが2、だからといって必ずしも強気相場が終わりつつあることを意味するわけではありません。

 

信用ストレスは高まったが、広がってはいない

まずはレバレッジから見ていきましょう。人工知能(AI)インフラの急速な整備は、ますます負債による資金調達に依存するようになっており、債券市場は借り手を選別し始めています3。その最新の例がコアウィーブです。同社の無担保債の一部では利回りが約15%まで上昇し、同社債務のデフォルトに備える保証コストも急騰しています4。6月以降のハイイールド債の借入コスト上昇のおよそ半分は、クレジット・スプレッドの拡大によるものです5。この上昇は、もはや単なる金利の問題ではなくなっているのかもしれません。クレジット・クオリティ(信用力)に対する懸念を反映する様相をますます強めています。

これは軽視すべきものではありません。しかし私の見るところ、これは即座にAI投資サイクルの終わりと解釈すべきものでもありません。コンピューターの計算能力への需要は依然として旺盛です。資本の配分先がより選別的になる可能性が高いのではないかと私は考えています。より健全なバランスシートや見通しの立つキャッシュフロー、契約上の裏付けを持ち、より優れた資金調達構造を備えた企業は、引き続き資金調達できる公算が大きいでしょう。一方、より脆弱でレバレッジの高いプロジェクトは、資金調達コストが法外に高くなるか、資金そのものを調達できなくなる可能性があります。重要なのは、債券市場の中でもよりハイクオリティ(信用力の高い)領域のスプレッドは比較的タイトな水準を維持していることであり、クレジット市場全体にストレスが広がっているわけではないことを示唆しています6。これこそが、クレジット市場の本来の姿です。市場が借り手を選別するのです。

レバレッジは一つの要素ですが、レバレッジと米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが組み合わされば、話は変わります。金利の上昇に伴って資金調達コストが高まり、経済は減速する傾向にあります。それは旅路が終わりつつあることを意味するわけではありませんが、終わりに近づいている兆候かもしれません。

市場は一段の引き締めに備えている模様

ここでインフレに目を向けてみましょう。直近のインフレデータは、警戒感を抱かせるほどの高い数値でした7。しかし債券市場は、高い消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表を受けて上昇しました8。これは、市場が既に利上げを織り込んでおり、経済活動を減速させる引き締め的な金融政策への備えを進めていることを示唆していると私は考えます。重要なのは、長期のインフレ期待が比較的抑制された状態を保っているという点です9。最近の米国債の上昇と米ドルの底堅さ10は、米国資産への信認をめぐる懸念が限定的である可能性を示唆していると私は考えます。これは、最近の利回り上昇の主因が、そもそも財政の持続可能性への懸念ではなかった可能性を示すシグナルのように思われます。

旅路は続く、重要なのはクオリティ

だからといって、投資家が現在の状況を無視してよいというわけではありません。景気サイクルは概して、何の前触れもなく終わることはありません。資金調達コストが上昇し、与信の選別が強まり、市場のより投機的な領域で弱さが見られるようになります。

こうした道しるべは、重要です。

これは私たちの投資のあり方へも影響を及ぼします。クレジット市場の選別が厳しくなり、経済が減速するなかで、私たちはよりハイクオリティなクレジットや、株式市場の中でもよりディフェンシブなセクターを選好します。また、原油ショックの解消や債券価格の上昇(あるいはその両方)に伴って起こり得る、経済活動の再加速の兆しにも注目しています。

では、もうその段階に達しているのでしょうか?

いいえ、私はそうは思いません。

近づきつつあるとは言えますか?

はい。長い旅路では、1マイル進むごとに目的地に近づくのですから。

私たちが注視する指標からは、相場の上昇のペースが減速した可能性が示唆されますが、私は強気相場はまだ終わっておらず、当分続く可能性もあると考えています。

注目の日程

公表日

国・地域

指標等

内容

10月19日

中国

国内総生産(GDP)(第3四半期)

鉱工業生産、小売売上高(9月)

経済成長、工場活動、消費需要を幅広く把握する指標

10月19日

カナダ

消費者物価指数(CPI)(9月)

カナダ銀行の次回の政策決定に向けた見通しを形成し得るインフレ動向

10月20日

米国

住宅着工件数、建設許可件数(9月)

中古住宅販売成約指数(9月)

新規着工と契約の動向が、住宅需給を読み解く手掛かりとなる

10月20日

中国

最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)

成長と住宅市場に対する政策的支援の度合いを示唆し得る基準貸出金利

10月20日

英国

雇用統計

イングランド銀行のインフレ見通しに影響し得る雇用と賃金の動向

10月21日

英国

消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)(9月)

金利見通しを形成し得る消費者物価と生産者物価のインフレ動向

10月22日

米国

新規失業保険申請件数

解雇と労働市況をタイムリーに把握できる指標

10月23日

米国

購買担当者景気指数(PMI)速報値(10月)

ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値、10月)

企業の景況感と消費者信頼感が経済見通しに関するタイムリーな示唆を与える

10月23日

日本

消費者物価指数(CPI)(9月)

購買担当者景気指数(PMI)速報値(10月)

インフレデータと企業活動の速報値が日銀見通しの判断材料となり得る

10月23日

英国

小売売上高(9月)

購買担当者景気指数(PMI)速報値(10月)

個人消費と企業活動が経済の勢いをタイムリーに示す

10月23日

ユーロ圏

購買担当者景気指数(PMI)速報値(10月)

製造業・サービス業の速報データが、成長が勢いを増しているのか失速しているのかを示し得る

  • 1.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、2022年10月12日に記録した20%の下落(ピークから底まで。この幅の下落ではこれが最も直近)以降のS&P500種指数のリターン(128.15%)に基づく

  • 2.

    出所:ブルームバーグL.P.、米労働統計局、2026年10月15日、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、フェドファンド・インプライドレート(理論先物金利)、ブルームバーグ米国ハイイールド債指数のオプション調整後スプレッド、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのCDX投資適格指数、S&P500種指数のシクリカル・セクター、米国10年物国債利回り、米ドル指数に基づく

  • 3.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、ブルームバーグ米国ハイイールド社債指数のオプション調整後スプレッドに基づく

  • 4.

    出所:CNBC、“CoreWeave credit default swaps hit distress levels as investors sour on AI debt”、2026年10月15日

  • 5.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、ブルームバーグ米国ハイイールド社債指数のオプション調整後スプレッドに基づく

  • 6.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、ブルームバーグ米国社債指数のオプション調整後スプレッドに基づく

  • 7.

    出所:米労働統計局、2026年9月、米国消費者物価指数(CPI)および米国生産者物価指数(PPI)に基づく

  • 8.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、米国10年物国債利回りに基づく

  • 9.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、米国5年物国債のブレークイーブン・インフレ率に基づく

  • 10.

    出所:ブルームバーグL.P.、2026年10月15日、米国10年物国債利回りおよび米ドル指数に基づく

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