グローバル・ビュー

10月FOMC:想定通り、「ややタカ派的」

Invesco Global View
要旨

10月27~28日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、市場の大方の想定通り、FF金利の誘導目標が3.75~4.00%で据え置かれました。次回12月会合での利上げの可能性が非常に高いとの市場予想が支配的となる中、今回のFOMCにおける情報発信は、市場の想定通り「ややタカ派的」でした。金融市場では、今回の会合でややタカ派的な情報が発信されることが想定されていたため、今回の会合後の株式、債券、為替の各市場における反応は限定的でした。市場では、12月FOMCでの追加利上げが広く織り込まれており、私も同じ見方をしていますが、今後の金融市場ではその確度を探る観点から、今後公表される月次の雇用統計やインフレ統計が注目される展開が続くと予想されます。

 

 10月27~28日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、市場の大方の想定通り、FF金利の誘導目標が3.75~4.00%で据え置かれました。9月のFOMCでは、年内の金利見通しを明らかにした18名のFOMC参加者のうち、16名が年内の追加利上げを予想していました。12月8~9日に開催が予定される次回のFOMCでの利上げの可能性が非常に高いとの市場予想が支配的となる中、今回のFOMCにおける情報発信は、市場の想定通り「ややタカ派的」でした。 第1に、今回のFOMCでは、クック理事とハマック・クリーブランド連銀総裁が利上げを求めて反対票を投じました。第2に、ウォーシュFRB(米連邦準備理事会)議長は、記者会見において、前回9月会合での利上げの結果として金融・信用環境が全体として引き締め方向に変化したものの、金融・信用環境は依然として、とても引き締め的とは言えない状況であると述べるとともに、前回会合での利上げによる効果が、高すぎるインフレへの対応として十分であるかどうかはまだ結論づけられないという趣旨の発言を行いました。また、経済活動についての声明文での記述も、前回9月の「堅調な(solid)ペースで拡大している」から、今回は「力強い(strong)ペースで拡大している」に上方修正されました。第3に、ウォーシュ氏は、AI関連支出はこのところの米国の経済成長率を大きく押し上げているが、最近では設備投資の増加が他の分野にも広がっている、との見立てを示しました。 

 他方、記者会見でのウォーシュ議長は、近年上昇している米国の生産性について、ハト派的と思える発言もしています。具体的には、正確な計測は困難であるものの、AI投資が活発化する前から米国の労働生産性が上昇しており、それに伴って、米国の力強い経済成長がインフレを押し上げていないように思える、とウォーシュ氏はコメントしました。ウォーシュ氏は、①このところのエネルギー分野の価格上昇が米国経済に広く波及しないようにすること、そして、②インフレ期待がアンカーされている状況を維持すること、が現在のFRBの責務であると述べました。これらの発言からは、「経済が力強く成長しているからといってインフレ圧力が過度に高まるわけではない。したがって、経済の力強い成長が、そのまま利上げの必要性につながらない」というウォーシュ議長の見方がうかがえます。以上を総合して考えると、今回のFOMCでの情報発信はややタカ派的であったと判断できます。

 金融市場では、今回の会合でややタカ派的な情報が発信されることが想定されていたと考えられます。このため、今回の会合後の株式、債券、為替の各市場における反応は限定的でした。市場では、12月FOMCでの追加利上げが広く織り込まれており、私も同じ見方をしていますが、今後の金融市場ではその確度をさぐる観点から、今後公表される月次の雇用統計やインフレ統計が注目される展開が続くと予想されます。

 なお、今回のFOMC後の記者会見において、ウォーシュ議長は、年8回開催される毎回のFOMCで金利などの政策を議論するスタイルを改め、金融政策の戦略について議論するためだけの会合を設ける方針を発表しました。この戦略の議論に特化したFOMCは、2027年秋から開催されます。現在公表されているスケジュールから考えると、2027年10月26~27日に予定されているFOMCがこの「戦略特化型」FOMCになるとみられます。2028年には8回のFOMCのうち、2回が「戦略特化型」FOMCになる見通しです。

 ウォーシュ議長は就任とともに、5つのタスクフォースを立ち上げ、今後の金融政策運営をより時代にあったものにする方向に変えていく方針を打ち出しました。「戦略特化型」FOMCは、ウォーシュ体制の下で、FOMCの戦略や運営方法をより頻繁に見直す動きを後押しするものと言えるでしょう。

 ところで、タスクフォースについては、現時点ではまだ勧告が示される段階になっていません。しかし、今回のFOMC後の記者会見では、FRBのバランスシートを議論するタスクフォースが2027年1-3月期に勧告を出す予定であることが表明されました。ウォーシュ議長は、その勧告が現在の政策に対して重大なインパクトをもたらすことにはならないだろう、との見通しを明らかにしました。ウォーシュ議長は過去のFRBによる量的緩和政策に対して批判的であるとの見方が多いことから、この発言は金融市場における懸念を一定程度取り除くことになると思われます。

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