マーケット・アップデート

米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年7月

US Loan Market Snapshot
6月のバンクロ-ン市場はソフトウェア関連とそれ以外のパフォーマンスが二極化

 

6月のバンクローン市場動向

当月のバンクローン市場は月間で+0.13%、年初来で+1.36%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは▲0.50%、金利リターンは+0.63%となりました1

6月のローン市場のスプレッドは、2.5ヶ月ぶりの高水準まで拡大しました。この背景には、セクター間の格差が生じたこと、およびCLOの発行減少によるテクニカル面の悪化があります。当月はソフトウェア関連クレジットとその他セクターとの二極化が一段と拡大しました。同セクターの先行きに対する市場の関心が改めて高まったほか、AIの普及による中間業者の役割縮小(ディスインターメディエーション)の可能性についても注目が集まりました。額面以上で取引されるローンの割合は、前月末の40%から今月末の24%へと減少し、2025年末の58%を大きく下回っている状況です。

格付別のリターンは、BB格(+0.27%)、B格(+0.00%)、CCC格(+0.40%)となりました1。ローン市場の平均価格は、月末時点で94.04となり、前月末(94.42)から下落しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.93%のイールドとなります1

当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(+0.27%)、投資適格社債(+0.19%)を下回りました2

ファンダメンタルズ
  • 6月上旬、米国通商代表部(USTR)は、1974年通商法301条に基づき、十数カ国を対象に10%から12.5%の関税を課すことを提案しました。この301条に基づく関税は、強制労働問題への対処が不十分であるとされていることへの対抗措置です。5月には、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて徴収した1,660億ドルの関税について、還付金の支給を開始しました。この関税については、2月に米国最高裁判所が違法であるとの判決を下していました。6月には、米国司法省(DOJ)が連邦国際貿易裁判所(CIT)の出した一斉還付命令を不服として控訴を提起しました。司法省は、還付対象は提訴した企業のみに限定されるべきであると主張し、還付手続きを一時停止するための差し止め命令を求めています。
  • 2026年6月17日、米国とイランは中東における停戦を60日間延長し、ホルムズ海峡を再開するための覚書に署名しました。同海峡を通過する海上輸送は再開されましたが、依然として議論の余地が残っており、戦前の水準を下回っています。さらに、敵対行為が停戦や同海峡の通航を脅かす事態となっています。この紛争を解決するために、外交的な努力が現在も続けられています。
  • 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の1.35%から0.97%へ低下しました3。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の6.53%から上昇して6.87%となりました3。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の3.11%から2.77%へ低下しました3
市場の需給環境
  • CLOの新規発行額は減少し、前月比で鈍化しました。これにより、ローンの供給過剰感が市場で広がりましたが、CLOのリファイナンスは途切れることなく続いたため、6月は年間でも最も活発な月のひとつとなりました。
  • 当月のCLO発行は、97案件で総額454億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が358億ドル)となり、前月の120案件で544億ドルと比べて17%減少しました。また、2012年以降の同月平均値である217億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4
  • 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額12億ドル(うち、前者から0.34億ドルの資金流入、後者から12億ドルの資金流入)の資金流入となりました4
  • 当月のローンの発行総額は787億ドルとなり、前月の1,081億ドルからは▲27%と減少しました。これは2010年以降の同月の平均発行額(529億ドル)を上回っています4 。新規発行の内訳としては、リファイナンス案件(336億ドル)、リプライシング案件(215億ドル)、買収案件(177億ドル)が中心で、配当リキャップ案件(29億ドル)、一般目的案件(24億ドル)が続きました4
投資機会

ソフトウェアセクターとそれ以外のレバレッジド・ローン指数との格差は、引き続き拡大しています。AIによる中介機能の排除への懸念を背景に、ソフトウェア関連ローンのスプレッドは、現在、2020年3月のコロナ禍の時期(図表1参照)よりも拡大しています。現在、ソフトウェアセクターの組み入れ比率をアンダーウェイトにしているマネージャーにとって、このダイナミクスは、大幅なディスカウント価格でローンを追加し、追加的な利回りを獲得する魅力的な機会を提供しています。一部のソフトウェア関連のクレジットは、AIによる破壊に対して耐性があるとみられます。それらは、実際にAIによって排除されるリスクがあるというよりも、セクター全体に広がっている無差別な圧力に巻き込まれている状況にあります。

図表1:ソフトウェア関連ローンのスプレッドはコロナ禍を超え、さらに拡大
相対利回り
  • 1.

    S&P UBSレバレッジド・ローン・インデックス。2026年6月30日現在。

  • 2.

    S&P UBSレバレッジド・ローン・インデックスならびにブルームバーグ。2026年6月30日現在。
    ハイイールドはブルームバーグ米国ハイ・イールド社債指数、投資適格はブルームバーグ米国投資適格社債指数。

  • 3.

    Pitchbook Data, Inc。2026年6月30日現在。

  • 4.

    JP Morgan。2026年6月30日現在。

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