米国バンクローン市場、月次アップデート 2026年9月
8月のバンクロ-ン市場は好調な勢いを維持
8月のバンクローン市場動向
当月のバンクローン市場は月間で+0.95%、年初来で+3.15%のリターンとなりました1。また、月間の価格リターンは+0.34%、金利リターンは+0.61%となりました1。
当市場は良好な需給環境と堅調な企業業績に支えられ、8月も好調な勢いを維持しました4 。ソフトウェア関連は、AI関連の警戒感による下落から回復が続いており、2ヶ月連続で市場を牽引しました。ただし、同セクターの年初来パフォーマンスは、市場全体と比較すると依然として遅れをとっています2 。額面以上で取引されるローンの割合は、前月末の34%から今月末の42%へと上昇しましたが、2025年末の58%を大きく下回っている状況です2 。
格付別のリターンは、BB格(+0.76%)、B格(+1.03%)、CCC格(+0.32%)となりました1。ローン市場の平均価格は、月末時点で94.64となり、前月末(94.31)から上昇しました1。現在の平均価格を踏まえると、ローンはフォワードカーブを含めて8.98%のイールドとなります1。
当月のバンクローンのリターンは、ハイ・イールド社債(+0.97%)を僅かに下回り、投資適格社債(+0.43%)を上回りました3。
ファンダメンタルズ
- 米国の通商環境は変化し続けています。 7月、米国は北米諸国間の自由貿易協定であるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の更新を拒否し、10年間のサンセット期間(失効に向けた経過期間)が開始されました。8月には、米国とカナダの間の通商交渉がさらに悪化し、両国から追加の関税措置が発表されました。投資家や政策立案者は、これらの措置や以前に発動された関税が、サプライチェーン、インフレ、消費者需要、そしてより広範な経済活動に与える潜在的な影響を引き続き評価しています。
- 中東の緊張は8月を通じて高い水準を維持し、エネルギー価格のボラティリティ上昇や、定期的なリスクオフ・センチメントの継続をもたらす要因となりました。 断続的な外交努力や戦闘の一時停止にもかかわらず、イランや主要なエネルギー輸送ルートを巡る不確実性は、世界的なマクロ経済動向を左右する要因として引き続き注視されています。
- 12ヵ月累計の額面デフォルト率は、前月の0.83%から0.87%へ僅かに後退しました2。80ドル未満で取引されるローンの割合は、前月の6.89%から低下して6.50%となりました2。法廷外での債務再編や債務不履行を含めると、デフォルト率(発行体ベース)は前月の3.35%から3.53%へ上昇しました2。
市場の需給環境
- リテールファンドへの流入、CLOの組成発行、新規ローン組成活動の季節的な鈍化がテクニカル面を支え、供給不足の状態は8月も継続しました。
- 当月のCLO発行は、98案件で総額446億ドル(うち、リファイアンス案件とリセット案件が256億ドル)となり、前月の110案件で460億ドルと比べて3%程度減少しました。また、2012年以降の同月平均値である206億ドルを大幅に上回る水準を維持しました4 。
- 個人投資家向けローン・ミューチュアル・ファンドとETFは、総額27億ドル(うち、前者から4.1億ドルの資金流入、後者から23億ドルの資金流入)の資金流入となりました4。
- 当月のローンの発行総額は、季節的な鈍化を反映し、301億ドルとなり、前月の748億ドルからは▲60%減少しました4 。これは2010年以降の同月の平均発行額(339億ドル)を下回っています4 。新規発行の内訳としては、リファイナンス案件(173億ドル)、リプライシング案件(62億ドル)、買収案件(36億ドル)が中心で、配当リキャップ案件(14億ドル)一般目的案件(12億ドル)が続きました4 。
投資機会
CLOや個人投資家からの根強い需要が、ローンの純供給量を引き続き上回っています。 図表1に示されている通り、市場では年初来、利用可能な供給量に対して大幅な需要超過が発生しており、これがマクロ経済のボラティリティが高まった時期であっても、ローン価格のバリュエーションを下支えする要因となりました。堅調なテクニカル要因が、このアセットクラスにとって引き続き有利な環境を提供しています。
G2026-09-013
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